第45話 殺し屋殺しの殺し屋
「α1!!。確か、死んだはずじゃ」
俺が死んだという情報は闇影の中でも知っている人間は少ない。
そう、ボスや、俺が所属していたΩの人間しか知らないはずだ。
まあ、今の俺には関係ないことか。
「そうだな、死んだことになっている。」
「何かしらの要因で生きていたと?」
「そうだ。」
少女は一度長考し、やがて結論を出した。
「では、こうしよう。私とお前で協力体制を取らないか?」
「具体的には?」
「私は御覧の通り体格には恵まれず、戦闘力が一般人程度だ。だが、頭脳面ではお前をこえているだろう。だから、私はお前の頭脳になろう。だから、お前は私の身を守れ。さっきも言った通り雷鳴の人間が私を狙ってきている。」
リスクはある。
だが、その分リターンも大きい。
確かにこの少女は俺よりも頭脳面では優れている可能性がある。
戦略を立てる人間が俺以外にいると色々と便利だ。
それに、ボスを殺すにも味方がいたほうが心強い。
「一つ確認なんだが、君を仲間にしたら、白石たちはどうなる。」
「そりゃ、彼らも仲間になってもらう。一応私の友達だからな。」
やはりこの少女は俺と状況が似ている。
俺も、勇人や晴翔、歩を守りつつゲームをしている。
ここで、俺が少女だけを仲間にすると言ってもダメなことは想像できる。
俺がそうだから。
「分かった。ただし、基本的には俺の指示に従ってもらう。」
「α1にそう言われたら従うしかないな。」
彼女は俺への警戒を解き少し微笑んだ。
「それと、2人でいるとき以外俺の事をα1と呼ぶなよ。」
「そんなことは分かっている。あと、私の名前は冬川夢羽だ。気軽に夢羽と呼んでくれ。」
「了解。冬川」
「夢羽とは呼んでくれないんだな。」
「いや、名前で呼ぶと、なんか親しい感じになるだろ。」
「もう、秘密を共有した仲じゃないか。十分親しいだろ。」
冬川は一気に距離を地締めてきた。
まあ、これで大きな戦力が加わったと思えば良いだろう。
それから、2人で皆の場所に戻る。
「遅くなったな。」
「いいよ。それに、椿ちゃんたちと話すの楽しかったし。」
愛奈たちはすでに仲良くなっていた。
さすがはコミュ力お化けだ。
「それで、何話してたの?」
俺は言い訳を考えるのを冬川に任せることにする。
彼女に目線で合図を出した。
すると彼女の表情が悪戯する少年の顔になった。
「そうだね。私が暁に告白してたんだ。」
やはり、自分で言い訳を作るべきだったと後悔する。
「それで、結果は?」
愛奈の表情が怒りと不安を表している。
「勿論。OKだったよ。私、可愛いからね」
確かに冬川はかわいいと自負できるほど顔が整っている。
だが、体格は小学生だ。
本当に俺がOKしていたら、変な誤解が生まれてしまう。
愛奈を見ると、俺をさげすんでいるのが分かる。
「違うからな。告白もされてないし、OKもしてない」
そう言うが、愛奈は信じてくれない。
それに、追い打ちをかけるように冬川が俺に抱き着いてきた。
「ひどいよ、暁。私たち付き合ったんじゃなかったの?」
俺は、愛奈の時とは違い冬川を容赦なく振り払って弁明する。
「前と俺は初対面だろ。」
「そうだけど、一目惚れしたんだからしょうがないじゃん。」
冬川は演技で涙を出している。
仲間にするのやめようか本気で悩んでしまった。
その後、頑張って誤解を解き、事のいきさつを話す。
「それで、俺たちのチームと冬川のチームを融合することにした。」
「え、でも大丈夫?私たちのリーダーは雪ちゃんでしょ。勝手に決めていいの?」
愛奈や勇人には雪がチームのリーダに見えているが実質的なリーダーは俺だ。
俺が全ての決定権を持っている。
もちろん、これから作る融合チームでもリーダーは俺だ。
「それなら、栗花落に電話をしてOK貰ってるから大丈夫だ。」
「そう、ならいいけど。椿ちゃんたちはそれでいいの?」
「私達のリーダーは夢羽だから夢羽が良いって言うなら文句ないよ」
彼女たちは冬川に絶対の信頼を置いているらしい。
これが、冬川がマインドコントロールで洗脳しているのか、それともただ、彼女たちが信用しているだけなのかは定かではないが、こういう圧倒的実力を持った一人が指揮系統の全ての権限を持つことは悪いことではない。
俺も昔経験したことがあるが、権限を持つものが複数いた場合その組織はいずれ、派閥が生まれ壊れていく。
まあ、一人が権限を持つことのデメリットは独裁政治になる可能性があることだ。
その可能性も、少数のチームであれば大丈夫だろう。
非常に理にかなっている。
やはり、元雷鳴だけあってそこら辺がしっかりしている。
「で、拠点はどうするの?」
「栗花落たちに、こっちに来てもらう事になった。病院よりもこの学校の方がセキュリュティが良い」
そういって俺は適当に理由を付け一度、外に出る。
端末を取り出し、雪に電話を掛ける。
2回ほどコールが鳴り通話状態になった。
「何か用?」
声を聴く限り不機嫌ではなさそうだ。
良かった。
これから不機嫌になることは確実だからな。
「用ってほどでもないが・・・」
そして俺は事の経緯を話した。
数秒の沈黙のあと、かなり不機嫌な声が帰ってきた。
「なんでいつも急に大事なこと言うの!!」
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