第26話 塔6
「悪いな、お前の相手は俺だ」
俺はそう言って雪たちを追おうとしたボスの前に立つ。
「ほー、我に勝てると」
「お前喋れるのかよ!」
思わず声に出してしまった。
「誰も喋れないとは言っていない」
「確かに、悪いな。それよりもあいつらが戻ってくるまでおとなしく待っていてくれないか?お前じゃ俺に勝てない」
「若造が舐めやがって」
ボスはそう言って持っている剣を構え斬撃を俺に放った。
俺はそれを難なく避ける。
「やるな。儂の斬撃を躱す者など滅多にいないぞ。お前さんの能力が関係しているのかね?」
「素の身体能力だよ。能力を使ったら面白くないだろ」
「能力を使わずに儂に勝てるとでも?たかが人間風情が」
「ああ、悪いがお前に負ける未来が見えない」
「そうか、なら、」
その瞬間ボスは目の前から消えた。
いや、消えたのではない高速で移動しているだけか。
俺はボスを目で追いつつ警戒する。
ボスから一瞬目を離すと俺の首元に剣が出現した。
俺はその剣をナイフで防ぎついでにボスの腕に10回程度ナイフを刺す。
「お前単純だな。俺が目を離したすきに攻撃を仕掛けるなんて」
「お前さん、狙ってやったのか」
「そうだ、だが今の攻撃でお前の底が見えた。やっぱりお前じゃ何回やっても俺には勝てない」
「クソがー!!」
ボスはとうとう本気を出したのか斬撃数百本を俺めがけて放った。
普通に避けるのは簡単だ。
だが、それじゃ面白くない。
俺はその斬撃を全てナイフを巧みに使いボスめがけて跳ね返す。
勿論ボスが死なないようにギリギリ当たらない程度に調整した。
ボスは疲れなのか絶望なのか定かではないがその場に跪いた。
「儂の負けじゃ」
そうしてボスは白旗を上げるように降参した。
「いや、絶望されても困るんだが。あいつらが来たら相手してくれよ」
「一度負けたのにまた儂を戦わせる気か」
「そうだ。じゃなきゃ俺が困る」
「まあ、勝者に絶対服従というのが儂のルールじゃからな。よかろう」
そして俺も3人が来るまでボスの隣に座り少し雑談することにする。
ここで色々情報を手に入れることが出来れば今後のゲームが有利に働く可能性もあるしな。
「一つ聞いても良いか?」
「何じゃ?儂に答えられる事だったらなんでも答えるぞ」
「じゃあ、お前はどこから現れた」
ゲームの核心に触れる。
今までの敵、守護神などは会話が成立しなかったためこういった事を聞くことが出来なかった。
だが、目の前のボスは話が通じる。
「それだけは話せん」
「いや、お前勝者に絶対服従じゃないのかよ」
「ぐぐ、そう言われては仕方ない」
そしてボスは話し出す。
自分がどこから来たのかを。
神殺人殺の核心を。
「儂はお前さん方と同じようにもともとゲームのプレイヤーだった。そして第4ステージである人物に敗れた。その後の事はあまり覚えておらんがこのゲームの運営に回された」
「まて、このゲームはこれが初めてじゃないのか?」
こいつの言っていることはおかしい。
だが、嘘をついているようには見えない。
「そうじゃ。詳しいことは儂にも分からん」
1回目じゃない。
つまりこのゲームは2回以上開催されていることになる。
というとボスの姿から推測するに異なる時代で開催されているのか?
いや、そう結論付けるには早すぎる。
そこで俺はある考えにたどり着く。
「平衡世界」
俺がそう言った瞬間にとてつもない殺気が襲ってくる。
その殺気は俺に向けられたものではない。
隣にいるボスに向けられたものだ。
俺はその瞬間反射的にその場から離れた。
俺がいた場所は空間ごと削られているような地形になってしまった。
勿論ボスの姿は跡形もなく消えてしまっている。
「まったく、規約違反ですよ」
殺気は瞬く間に俺の方へ向いた。
やばい。
こいつは本当に・・・
俺の目の前にいるのはこのゲーム(神殺人殺)を始めた当事者、神を自称している、名前は確かヨネアだった。
「まだ、第一ステージなのにそこまでの情報を手に入れるなんて良くないですよ。ゲームバランス崩壊です」
「いや、俺はただ気になったことを聞いただけだ。これはお前のミスだろ。」
「そうですね。申し訳ありません。でも、ゲームを円滑に進めるためにあなたにも死んでもらいます」
そう言ってヨネアは再び攻撃を放った。
威力は今までで見た能力で一番と言っていいほど強力だ。
避けることは出来るが避けてしまったらこの学園ごと吹き飛んでしまう。
学園の中には3人が残っている。
仕方がない。
俺は能力を使いその攻撃をヨネアに返した。
ヨネアはその攻撃を片手で受け止め吸収した。
「第一ステージの段階でここまで能力を使いこなすなんてすごいですね。あなた現在星何個獲得しているのですか」
「教えたらこの場は見逃してくれるのか?」
「それは無理な相談です。まあ、あなたの口から聞けなくても調べればすぐ分かりますが」
そうしてヨネアは俺たちと同じ端末を取り出し何かを確認する。
「へー。名前は如月暁。最強の殺し屋として裏世界で名を馳せていた。現在の星の数は260個、ほぼ一晩で入手。なるほど、すごいですね。歴代1位かもしれませんよ。」
ヨネアは俺に関しての情報を一つずつ声に出して読み上げた。
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