第21話 塔
栗花落雪のグループを仲間にして翌日となり俺たちは今日も作戦会議をしている。
議長は栗花落雪、副議長は勇人だ。
今回の議題は今後何のゲームをするかだが、俺は栗花落雪にある方向へと話を持っていくように指示を出した。
「これからのゲームは基本的に3チームに分かれて挑戦することにするわ」
雪はそう言ってグループを開示した。
Aチーム:栗花落雪、如月暁、八乙女柚、一色愛奈
Bチーム:栗花落雪、如月暁、星月歩、安藤季里奈
Cチーム:栗花落雪、如月暁、矢野勇人、原晴翔
「3チームに分かれてゲームに挑戦することには賛成だが、このメンバーになった理由を教えてくれ。君と暁が全てのチームに入っているじゃないか?」
勇人の質問は不満ではなく純粋な疑問だろう。
俺が勇人の立場でも疑問に思うはずだ。
「そうね、まず私が全てのチームに入っている理由は全チームのリーダーを担当するからよ。別に彼方でもよかったのだけれど一度あなた達は死にかけたらしいじゃない。だから私が担当させてもらうわ。不満があるなら変わるけど?」
説得が上手いな。
この聞き方であれば勇人はリーダーに志願しないだろう。
「分かった。それで、暁が全てのチームに入っている理由は?」
「それは、如月君には申し訳ないのだけれど彼の能力は私たちに比べたら多少劣っているからよ。私も少し見させてもらったけど現状彼の能力は一般人より多少運動神経が良くなる程度だと思っているわ。まあ、オリンピックのほとんどの種目をギリギリ優勝することが出来るくらいかしら。強いとは思うのだけれど私たちのように人外の力ではないわ。」
「なるほど。そういう事なら了解した」
「あと、私がゲームで不在の間は矢野君がリーダーってことで拠点の防衛を任せたわよ。命最優先で。あと、beastビーストには十分注意をしておいて。」
栗花落雪が言ったbeastというのはここ最近この近辺を統括している元軍人のKINGと呼ばれている人物がリーダーのクランだ。
beastは国家機関を潰しまわり仲間に加わらない一般人を虐殺しまわっている。
彼らに対抗しようと一部の勢力が抗ったが、何の成果もなく死んでいったそうだ。
今、神殺人殺しんさつじんさつのフリーチャット欄ではこのチームの事で話題沸騰中だ。
「beastか。いっそのこと俺たちも入らない?」
歩は冗談なのか本気なのか微妙な声色で言って来た。
「馬鹿かお前は。仮に入れたとしても恐らく自由がなくなる。生殺与奪の権を人殺しに握らせるのは愚策だ。」
「そこまで言わなくても・・・。柚ちゃん何か言い返してくれよ」
歩は昨日からずっとこの八乙女柚という女にアプローチしているが毎度の如く流されている。
「ごめんなさい、私も反対です。まあ、雪ちゃんが言うなら別ですけど」
「私も加入には反対ね。それよりもあと少ししたらAグループはゲームにエントリーするから準備して頂戴。」
栗花落雪の発言で会議を終了した。
俺はゲームの準備のために再びあの部屋に入る。
今回もこのナイフにするか。
そう思い俺はナイフを懐にしまった。
諸々準備をしているとこちらに近づいてくる気配を感じた。
この部屋を見せるわけにはいかない。
という事で俺はその気配がこちらに来る前に部屋を出た。
「何か用か?」
目の前にいるのは栗花落雪だ。
「ええ。そのつもりだったけどその前に一つ、彼方この部屋に何か隠しているわね。それは彼方の強さの秘密かしら?」
「どうしてそう思う?」
「まず一つ目はこの部屋だけ鍵が掛かっていること。その時点で怪しいとは思っていたのだけれど今あなたは私の気配を感じて部屋を出てきた。つまり見せられない物があるという事になるわね。」
「そうだな。確かに隠しているものはある。だが、それは俺の強さの秘密とは何ら関係ない。」
「まあ、そう言うことにしておいてあげる。どうせ問い詰めても話さないだろうし」
「賢明な判断だ」
「で、話って言うのは今回のゲームは私に対しての試験って認識で良いのよね」
「驚いた。そこまで読んでいたとは」
俺がそう言うと雪は腕を組み誇らしげな顔をした。
「あと、俺からも一つ。もし俺が・・・」
そう話すと雪は少し考えこんだ。
「分かったわ」
俺と雪は一通り話した後2人でリビングに戻った。
「愛奈と柚は準備出来た?」
2人の準備完了が分かったところで俺たちはゲームにエントリーする。
「勇人、この拠点とみんなの事を頼んだぞ」
俺と雪が居ないのは心配だがこのマンションはセキュリティーが頑丈な上にここは最上階だ。
恐らく大丈夫だろう。
まあ、最悪何かあっても死んでなければ俺が何とかしよう。
今回俺たちがエントリーしたゲームは
ゲーム名:塔
参加人数:4人
難易度:Lv7
クリア条件:塔の最上階に行きボスを討伐する。
Lv7という少し高い気もするが雪の実力を把握するには最低ラインだと俺は判断した。
それにこれも何かあれば俺が何とかすれば良いだけの話だ。
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