第20話 自己紹介
俺の家に到着し彼女らをリビングに案内した。
「飲み物何が良い?」
俺が皆に聞くと一人を除いてお茶を要求してきた。
「俺はコーラ」
歩はこの家にジュースの類が無いことを知っているにも関わらずコーラを要求してきた。
俺はその要望を無視し8人分のお茶を用意する。
すると一人の気配が近づいてきた。
「私も手伝うわ」
そう言って来たのは栗花落雪だ。
そうして2人で手分けしてお茶をコップに注ぎリビングで待ってるみんなの前に置く。
「ありがとうございます」
全員にコップが行き届いたのを確認し俺は早速会議を始める。
本来は勇人の役目だとは思うが彼女たちを招待したのが俺という事もありとりあえずは俺が司会進行をすることにする。
「それじゃあ、自己紹介からするか」
俺がそう言ったとたん歩は真っ先に立ち自己紹介を始める。
「俺の名前は星月歩。趣味は運動することです。よろしく。」
それから、一人ずつ名前と趣味を言っていった。
俺は自分の番が来る前に趣味を考えなければならない。
本来ならこのような事態が起こらないように俺から名前だけを言うはずだったが歩が割って入ってしまったため趣味まで言わなければいけなくなってしまった。
勇人は勉強、晴翔は読書と言った。
俺にはこれといった趣味がない。
強いて言うなら仕事用のナイフの手入れだったがそれはこの場ではふさわしくない回答だ。
だが、一般的な高校生の趣味というのがあまり分からない。
ここは、勇人か晴翔に合わせて読書か勉強と言うべきだろうか。
そう考えていると正面に座っていた栗花落雪が俺の足を軽く蹴ってきた。
ふと考えるのを止め周囲を見渡すと全員が俺に注目している。
どうやら順番が回ってきてしまったようだ。
俺が頭をフル回転させて導き出した答えはこうだ。
「えー。名前は如月暁。趣味は料理です。よろしく」
以前歩たちが俺の料理はプロ級だと言ってくれたこともあり咄嗟に思いつくことが出来た。
「すごいですね。今度教えてください。」
そう言ってくれたのは先ほど自己紹介を終わらせた八乙女柚だ。
彼女は宝探しゲームで俺たちを案内してくれた子だ。
印象的には礼儀正しくて育ちがよさそうと言ったところだろうか。
彼女だけが育ちが良さそうというわけではなくここに居る女性陣全員から育ちの良さが感じられる。
それから数分で全員の自己紹介が終わった。
特に印象がなかった女1女2の名前は一色愛奈、安藤季里奈らしい。
「じゃあ、これからの事を話すか」
俺はそう言って色々なことを決めた。
会議の成果は色々あったが重要な点が2つある。
1つ目はこのチームのリーダーが栗花落雪になり副リーダーが勇人になったこと。
女性陣は元々栗花落雪を中心としてゲームを攻略していたらしく何も揉めることなく決定した。
俺たちは事前に話していたからこちらも異議なしという事ですぐに決定することが出来た。
2つ目は全員で能力を共有することが出来た。
これには勇人が反対していたが栗花落雪が良い感じに言いくるめてくれた。
その様子を見ていてやはり栗花落雪を仲間に加えたのは間違いではなかったと再認識することが出来た。
女性陣の能力は案外使えるものが多かった。
栗花落雪 能力:火、水、風、土を生み出すことが出来る。
八乙女柚 能力:少し先の未来を見ることが出来る。
一色愛奈 能力:他人の傷を癒すことが出来る。
安藤季里奈 能力:他人の五感を奪うことが出来る。
特に一色愛奈の他人の傷を癒すことが出来る能力はバトルロワイヤルで会ったあの男ほどの力であればかなり役に立つといって良いだろう。
そして一番気になるのは八乙女柚の少し先の未来を見ることが出来る能力。
もしかしたら・・・。
俺は一つの可能性を考え一応警戒しておくことにする。
もちろん俺は身体能力を向上することが出来る能力という事にしておいた。
本当の能力は誰にも教えるつもりはない。栗花落雪にも。
その後お互い打ち解けあうためにいろいろな話をした。
その中で個人的に腑に落ちたことは彼女たちが名門のお嬢様高に在学中という事だ。
通りで皆育ちが良さそうなわけだ。
その事実に歩はオバーリアクションで驚いていた。
話し合いも終わり皆が眠そうにしていたこともあり俺は彼女たちのために用意した部屋へ案内することにした。
4人で寝るには少し狭いかもしれないが我慢してもらおう。
その後俺は全員が寝静まったことを確認し栗花落雪をチャットでマンションの屋上に呼び出した。
「悪いな、こんな遅くに。」
「別に良いわよ。で、話って」
「ああ、お前には今日の夜から毎日第一ステージが終わるまで勇人たち全員の護衛をしてもらう。」
「護衛ってもちろんそのつもりだったわよ。ゲームで皆を引っ張れって事よね」
「勿論それもやってもらうが今日から俺は夜、星を入手して能力を強化するためにゲームに挑戦する。だから、俺が不在の間みんなの護衛をして欲しい。」
「別に私がしなくてもここは安全でしょ」
「そうだな。確かに安全だ。だが、確実ではない。だから、お前には俺が戻ってくるまで寝ずにずっと警戒しておいてほしい。」
「彼方も用心深いのね。良いわ。ただし一つだけ条件を聞いてもらえる」
「またか、あの時と同じだな。で、条件ってのは?」
「私の事をお前って呼ぶのはやめなさい。歩君みたいに雪ちゃんでも良いわ」
栗花落雪からは想像できないような条件ができ来て俺は少し動揺する。
だが、俺は自分が目の前にいる少女に向かって雪ちゃんと呼ぶ姿が想像できずにいる。
「せめて雪にしてくれないか」
俺がそう言うと彼女は微笑した。
「まあ、良いわ」
「それと、皆の前では栗花落と呼ぶ。じゃなきゃ怪しまれる。俺は女性を下の名前で呼ぶようなキャラじゃないからな。」
「確かにそうね。でも2人の時は雪と呼ぶように」
俺は分かったと返事して早速最難関であるLv10のゲームにエントリーした。
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