第13話 帰還
ゲーム開始時の転送と同様に一定以上身体の粒子化が進んだとたん睡魔に襲われた。
一応この睡魔に抗ってみたが何かに意識を刈り取られるような感覚がしたと同時に意識を失った。
これが神の力なのか。
目を覚ますと見覚えのある物がたくさんある。
どうやら俺の家に戻ってきたらしい。
横を見てみると勇人、歩、晴翔の三人がまだ寝ている。
一応こいつらは本来死んでもおかしくないようなケガをしたから俺のベッドで休ませておくか。
そう思い一人ずつベッドに運んだ。
3人で使うには少し狭いがまあいいだろう。
その後ゲームに持って行ったサバイバル道具や俺専用のナイフなどを片付けて3人が目を覚ますまで神に配られたスマホで情報収集をすることにする。
このスマホは俺たちが普段使っているスマホよりも正直言って性能がいい。
特に耐久力とバッテリーには目を見張るものがある。
おそらく水に沈めても壊れないだろうし数メートルの高さから落としても傷一つつかないと思う。
バッテリーは表記が無いが全く減っている感じがしない。
こんなことは今の科学力では実現できないが、まあこれも神の力として受け入れるとするか。
そんなことを思いながら神殺人殺のアプリを起動しフリーチャット欄を見ると俺たちがゲームに参加している間に色々なことが起きていたようだ。
まず警察などの国家機関が全く機能しなくなったこと。
初めは政府が能力の使用を禁止し、使用すれば警察や自衛隊により取り押さえられるとあったが、能力次第では一般人の方が強い事が分かり国家に恨みを持った人間が警察官や自衛官を殺しているらしい。
これを受けて一つの国家権力に代わる数名の一般人が作った大規模なチームが出来たようだ。
このチームは東京に本拠地を置き軽い面接をすれば誰でも入れるというものでチームで苦手なことを補いながらゲームクリアを目指すという方針を掲げている。
フリーチャットでは(入隊希望:今から向かいます)という声が現在もたくさんあり相当な規模だということが分かる。
他に有名人が死亡したなどのニュースが流れてきたが俺には関係ない事なので即座にスクロールした。
30分ほど経過すると3人が寝室からリビングに来る気配を感じた。
どうやら目を覚ましたようだ。
少し安心しスマホを閉じる。
「目を覚ましたようだな」
俺はこちらに向かってくる3人に声を掛けた。
3人はあまり本調子ではないようだ。
まあ、傷は治っても死にかけた記憶、痛みは残ったままだからな。
仕方のない事か。
「暁、一つ聞いてもいいか」
「何だ?」
「俺たちは他の参加者に殺されたはずだがなぜ生きている、俺の切断されたはずの足はなぜ戻っている」
俺が想定していた質問を勇人がしてきた。
「確かに俺が戻った時には勇人たちは死んでいた。いや、実際に死んでいたかは分からないが勇人は足が切断されていたし晴翔も腕を切断されていて悲惨な状況だった。その近くには勇人たちを倒したであろう4人組がいた。」
「まさか暁、そいつらを倒したっていうのか?」
4人組という言葉に反応したのか歩が怯えながら訪ねてきた。
「そんなわけないだろ」
「まあ、そうだよな」
「で、俺は隠れていたがそいつらの誰かの能力が探知系の能力のせいで居場所がばれガタイの良い男に殴られて気を失いそうになった。でもここで意識を失ったら本当に死ぬと思って気合で耐えていたら原因は分からないけど4人が突然喧嘩し始めて次第にヒートアップし殺し合いにまで発展した。その殺し合いの末残ったのがガタイの良い男だったが失血死したようだった。そのあとすぐにゲーム開始時と同じように体が粒子化していき気が付いたらこの場所に居たというわけだ」
俺は用意していた架空の話を3人に話した。
「なるほど、そのガタイの良い男が死んだことにより残りのチームが俺たちだけになりゲームクリアといわけか。おそらく俺の足も晴翔の腕も粒子化により再生したと見ていいだろう。」
「そうかもしれないが確定したわけじゃない。今後のゲームで足や腕を失っても勇人の仮説が外れて再生しない可能性がある、だからその前提はやめておいた方がいい」
勇人の仮説である粒子化による体の再生は俺が話した架空の話なら可能性が高いが現実は違う。
あの男に出会わなければ勇人たちのケガは治らなかっただろう。
だから俺は勇人の仮説を否定しておいた。
「そうだな、俺としたことが早とちりだった。とりあえず今はゲームクリアを喜んでおくべきだろう」
「そうだね。皆で祝杯をあげよう」
歩がこちらを見てそう言ってきた。
歩の意思をくみ取り珍しく家にあった貰い物のお菓子をテーブルに出した。
面白ければ評価、ブックマークをお願いします。




