〜ドキドキ!肝試し大会!in 帰り道♡〜
こんばんはー!
実はね、今から肝試し大会をするんだ! え?誰とするのって……もちろんオレ1人でさ!
ぼっち肝試し! イエーイ!
さてさて。現在オレは懐中電灯を手に持って、いつも登下校で使っている道を歩いている。
オレって道を愛しているけどさ、道といえば帰り道! 帰り道といえば遠回りしたくなるよね!
……だけど、やっぱり普段使っている道に行ってみよう!
腕時計を見るともう22時。空は真っ暗。周りも真っ暗。お先も真っ暗! なんつって。つまんねぇな。1人でやってて寂しいわ。
1本道だから面白みはないけど、左右を見ると木。木。木。森に近い道で、薄暗い。肝試しにはいい場所だろ!?
「誰かいませんかー!」
人の気配はないし、大きな声を出してもいいだろう、ということで声を出してみる。
「誰かー!」
シーン……。誰からも返事はない。
もう少し奥に進んでみよう。ザクザク、と足音だけが耳に入る。
さすがにこんなところで肝試しはしないか。
“こんなところ”はどういう意味か……って、実はこの道で5人亡くなったんだ。つい最近な。
普段からこの道を利用する人は全然いないけど、オレは登下校で使っているしこの道しかないから、いつも通り使っている。
田舎だからさ、人は少ないし、家も限られている。怖いよなぁ。
はははっ! オレって良い度胸してるだろ? かっこいいよな、オレ!
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あー、やばいかも。寒気がしてきた。
結構奥に進んでいるんだけど、途中から寒気がひどくて風邪を引きそうだ。夏風邪っていうやつ?
しかも何か音、いや、声が聞こえる気がする。“返して“って。何を返してほしいんだろう。
ここで引き下がるのもダサいよな、と思いつつ進んでいく。やばさがあるけど、好奇心の方が勝ってるわ!
「カエシテカエシテカエシテカエシテ」
やべぇよ。ガチだよ。はっきり聞こえるよ。
しかも、なかなか近い。
「ワタシノ、イノチヲ、カエシテ」
”私の命を返して“って言ってるのか。もしかして例の事件で、ここで亡くなった人の幽霊かもしれないな。
「オマエノセイダ! オマエノセイダ!」
えっ。え!? オレのせい!?
”お前のせいだ“と幽霊は喋っている。
オレは一旦足を止めて冷静になった。
「い、いやー……幽霊の声って聞こえるんだな」
自分の少し笑った声が森の中に響く。
幽霊の声ってはっきり聞こえるんだよな。すげぇな。オレって霊感あったんだ。
「……成仏してないんだ。可哀想に」
姿は見えないけど、近くに“いるんだ“と感じることはできる。
「まだ死体も見つかってないんだよな」
「本当、可哀想に」
涙が自然と溢れてくる。でもオレはどうすることもできない……!
「ごめんな。力になれなくて」
幽霊達はどんどん声を上げていく。オレの耳がちぎれそうなくらいに、頭も壊れてしまいそうだ。
「_____オレに殺されて可哀想に」
大丈夫。
オレが5人のことを覚えておくからさ。
みんなが見つけるときには既に白骨化されてるかもだけど。
さっきから声がめちゃくちゃ聞こえてくるんだ。
またオレがここに来て嬉しかったんだろうなぁ。幽霊になってまでオレに会いにくるなんて、オレってば愛されてる!
「じゃあな! みんな! また会いにくるよ!」
肝試し大会、終了!
「オレ」が”お先真っ暗“と思っていたのもあながち間違ってないですね。
ありがとうございました。