表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
種族の輪 《サークル》 ~精霊術師は今日も巻き込まれる~  作者: 蒼田
第九章 心強き婚約者 下 その陰謀に終止符を!
360/442

第三百四十話 領地経営初心者王子様の苦労

「一応領内の一掃(いっそう)は出来たが」

「恐らくこれでも一部、でしょうね」

「……弁明(べんめい)余地(よち)もございません」


 ここは元ブルード伯爵家の屋敷の一室。

 荒れたブルード伯の屋敷を改築(かいちく)しエレク王子用に改造(かいぞう)したのだがそこには重苦しい雰囲気が(ただよ)っていた。


 頭を(かか)えるエレク王子を筆頭(ひっとう)毅然(きぜん)としながらもどこか疲れた雰囲気を出す副官の一人ベレス・ドーマ、そしてこの地を治めていた領主の息子でありもう一人の副官でもあるドドリ・ブルードは申し訳なさそうにしていた。


「一体どれだけの犯罪組織がここにいるんだ? 」

「……この地に住んでおりましたが正直ここまでとは」

「それだけ必要とする者がいた、ということでしょう」


 そう言いつつ彼らは思い返した。


 そもそも彼らは領主代行としてこの地へ来たのだが、一方でこの地に住まう犯罪組織の一掃(いっそう)も目標とし気付かれぬように徐々に、そして大量に騎士のような人員を北の地へ送り込み組織の拠点(きょてん)(つぶ)していった。


 順調(じゅんちょう)(つぶ)していったのだが終わりが見えない。

 拠点(きょてん)(つぶ)し、組織も(つぶ)し、組織員を捕縛(ほばく)した。

 それこそ数え切れないほどに。

 だが終わりが見えない。この領地だけでもすでに数十は軽く超えている。


「しかもなんだこれは」

「違う領地に本拠地があることを(ほの)めかしていますね」

「さてこれが本当なのやら、偽情報なのやら」


 そう思いつつ全員何枚にも(かさ)なった書類の(たば)を見た。

 そこにかかれているのは拠点(きょてん)情報。

 一見するとすべてがバラバラなのだが良く読み取り、解析すると違う場所を、少なくとも二つ示している。


 一つは北の地のどこか。

 もう一つは南東の方角のどこか。


「フェイク情報も考えつつも貴族達との(つな)がりだね」

「すでに決定している者も多数存在します。更に出ることが予想されるでしょう」


 頭から手を離し副官達の方を見てそう言った。

 今回の一件、というよりも貴族による貴族の暗殺失敗により(つな)がりを持つ者が大量捕縛(ほばく)された。

 領地持ちの貴族もいれば王都で働く者まで多種多様。

 しかし一貫(いっかん)して言えることは北の地で働いたことのある者ということだ。


 これには王子も(まい)った。

 何せ予想をはるかに超える量の貴族が検挙(けんきょ)されたのだ。

 これからの領地運営に支障(ししょう)をきたしかねない。

 そう判断したエレクはすぐに国に人員補給を要請(ようせい)。それに(おう)じた国が各領地へ領主代行を送り領地を仮運営した。

 結果として王城の人では少なくなりアンデリック達に回す人員が少なくなったのだがこれは彼らはあずかり知らない所。


「後は関税と食料か」

「食料に関してはどうにも」

「……長年の懸念(けねん)材料ですので」


 そう言いつつも腕を組み考える。

 北の地の食料事情は他領と比べて厳しい。

 これにはあまり農作物が育ちにくい土地(がら)であることに起因(きいん)している。

 精霊が少ないというわけではない。

 ここにもきちんと精霊がいるがその種類が異なるだけで。


 何はともあれここに住む者には死活(しかつ)問題である。

 これを発端(ほったん)として『北方軍閥(ぐんばつ)』として固まっているのだが、その場所が犯罪組織の根城(ねじろ)だらけとなっていては元も子もない。


「何もないわけではないのですが」

「貴族達はそれを食料として見ていないだけ、か」

面目(めんもく)ない」

「現実として領民はそれを食べているようで」

「ならば食べれないことは無いね」

「しかし彼らの口には合わないのでしょう」


 はぁと溜息(ためいき)をつくエレクとベレスに肩身(かたみ)を狭くするドドリ。


「ならばそれを食べれるように技術指導員を呼ぶ、か」

「呼ぶのならばドラグ伯爵領からでしょうか? 」

「研究職としてはありだけど……。貴族に合わせるなら王城か」

「国は流石にこれ以上人員は出せないと思いますが。目下(もっか)北の地の犯罪組織を摘発(てきはつ)中です。これ以上の派遣(はけん)要請(ようせい)は無理かと」

「ならば中立派閥から呼ぶか」


 そう考えつつも資料を手に取る。

 そこにかかれているのは派遣(はけん)してもらった人員の数とかかった費用。


 莫大(ばくだい)である。


 しかし国としても放っておけない事案(じあん)でもあった。

 なので今回は出してもらえた。

 これ以上派遣(はけん)要請(ようせい)するのも(こく)というものであろう。

 少しそれを(なが)めながらふと思いつく。


「ならば直接シリル公爵の所へ行こうか」

「「え?!!! 」」

 

 突然の言葉に驚く二人。

 突如(とつじょ)として(こと)なる派閥(はばつ)、しかもその派閥(はばつ)長の所へ行こうというのだから無理もない。


「流石に公爵だ。無策(むさく)なはずはない」

「いえ、しかし……」

「ちょっと様子見しにいくだけだから大丈夫、大丈夫」


 大丈夫じゃないとおもうのですが、と言いかけ口を閉じた。

 もう言っても無駄なことを知っているからである。


 彼らは身支度(みじたく)をして、シリル公爵の所へ向かうのであった。


 ★


「……人の地を()み荒らしおって! 」

「全くですな。礼儀というものを知らない」

「王子といえどこのような蛮行(ばんこう)許されるはずがない」


 とある屋敷の一室。

 そこには北方貴族数名と明らかに貴族でない人物が机を囲っていた。


 この貴族達は裏社会と(つな)がっている者達でとりわけその貢献(こうけん)度が高い。

 もう一人は裏社会、とりわけ闇ギルドと呼ばれる犯罪組織集団の一組織長だ。


 彼らがこうして集まっているのは他でもない。

 最近多くの騎士達を(したが)強硬(きょうこう)手段で犯罪組織を(つぶ)しまわっているエレク王子の件で話し合うためだ。


 犯罪組織側もこれを(こころよ)く思っていない。

 商売(がたき)とはいえかなりの数がやられた。次は自分達かもしれないのだ。

 そんな時につてのある貴族から依頼をしたいと話が舞い込んだ。

 ことの重大性から組織長が来ているわけなのだが、来てみれば王子への愚痴(ぐち)ばかり。

 正直(あき)れてものが言えない。

 早くここから脱出したい彼は王子に対する不敬(ふけい)ともとれる罵詈雑言(ばりぞうごん)飛び()う中、口を開いた。


(くだん)の件はなかったこと、ということでよろしいのか? 」


 怒気を込め強めに言ったためか罵詈雑言(ばりぞうごん)の嵐は止んだ。

 逆に彼を引き()めようとそれぞれが口にする。


「ならいい。早く話を進めてくれ。ここにいるだけでも私はリスクを背負(せお)っているんだ」

「す、すまなかったね」

「そうだ。王子暗殺の件受けてくれるかね? 」

「……引き受けよう」

「はい。聞いちゃいました」


 突然の声に全員が驚く。

 貴族達は突然のことで固まったままだが犯罪組織側は戦闘準備をする。

 しかし同時に分からない。

 声はするものの誰もいない。気配もない。魔力感知にも引っ掛からない。

 それゆえ困惑していた。


「じゃぁ皆さん後はよろしく」


 と、言う声と同時に複数の騎士達がなだれ込むように入ってきた。

 何が起こっているのかわからないまま彼らは裁判にかけられることとなった。

ここまで如何だったでしょうか?


面白かった、続きが気になるなど少しでも思って頂けたら、是非ブックマークへの登録や広告下にある★評価をぽちっとよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新しく始めた異世界転生ものになります!
ハズレ枠の転生貧乏貴族は武姫を継承し最強へ至る
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ