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種族の輪 《サークル》 ~精霊術師は今日も巻き込まれる~  作者: 蒼田
第八章 心強き婚約者 中 ドラグ伯爵領に巣くう闇
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第二百九十二話 親ばかと爺ばか

 (さわ)やかな風が過ぎ去る中、俺はアクアディア子爵の屋敷の庭で虹色の髪を(まと)った少女と(たわむ)れていた。


「ほら、レイ。土が動くぞ」

「おおー。レイも、レイも」

「お? レイも出来るか。えらい、えらい」


 その輝く髪を形を崩さぬようゆっくりと()でると俺を見上げて気持ちよさそうにする。

 庭で二人(たわむ)れていると奥の方から男性の声が。


「お、少年に。レイか。じいじが来たぞ」

「じいじ、じいじ」


 八歳くらいに見える我が娘は俺から離れ祖父に当たるこの屋敷の持ち主の所へ向かっていく。

 途中転びそうになるもギリギリで転ばず当主コウの元へ。


「ほーれ。じいじが遊んでやろう」

「じいじ、精霊遊び! 」

「せ、精霊?! いやじいじは精霊術師(エレメンター)じゃないからできないな」


 ぶー、っと言いながら(ほほ)(ふく)らませて不満をあらわにするがすぐに元に戻った。


「って、違う! 」

「何がだ? 少年」

「第一レイはコウ様の祖父(そふ)じゃないでしょう! 」

「少年の子供だったらわしの孫だ! 」

「いや、どうみても年齢がおかしいでしょう! 」

「いつの間に娘に手を出したのかわからないが、(あと)取りがいることは良いことだ」

「何(うなず)きながら納得(なっとく)してるんですか! どう見たって血は繋がっていません」

養子(ようし)か? 」

「ちーがーいーまーす! レイ! 」


 呼ぶとレイは軽く(うなず)き剣の姿をとって俺の方まで飛んできた。


 ここ最近でわかったことなのだがレイは人型だと七属性全ての精霊魔法が使えるようだ。

 加えて呼ぶことにより剣に戻り俺のところまで飛んでくる。

 前は手を直接(にぎ)らないと剣になれなかったのだが今は呼ぶだけでいい。

 俺の成長かレイの成長かわからないがいい事だ。


「にしてもこの目で見ても信じられんな。剣が人型をとるなんて」

「俺も信じられませんよ。考えるのを諦めただけです」


 俺の手元に戻ったレイは再度人型に戻り龍作りを再開し始めた。

 それを見ながらコウ様が少し笑いながら声を上げる。


「はは。時に諦めることは重要だ。こういうのはそうした専門の者に任せればいい。セレスティナのような、な」

「セレスは……専門なのですか? 」

「いや、専門じゃないが……。確か精霊や魔法に関しては他よりも熱心に勉強していたからな。少年の事もある。積極的に調べてるんじゃないか? 」


 それを聞き、若干顔を強張(こわば)らせる。

 セレスに(まか)すと何をするかわからないからな。

 サンプル、と言って俺の髪の毛をちぎっていったほどだ。レイを(けず)りかねない。


 結局俺の髪の毛はどうなったんだろうか。

 髪の毛の心配をするなどかなり先だと思っていたが、まさかこの歳で心配することになるとは。

 セレスのことだ。隠れて何か薬品につけて反応を調べてそうで怖い。


「そう言えばセレスは()()、どうしました? 」

「……。何だあの凶悪な罠は。屋敷の者が知らず入ったら即死するぞ? 」

「どこが凶悪なのですか? 」


 俺とコウ様が話していると彼の後ろから声が聞こえた。

 いつの間にかセレスがそこにいたようだ。

 と、言うことはさっきまでの話が聞かれていたということで。


「お父様。これでも即死しない程度には抑えていますので大丈夫ですよ」

「……俺は大丈夫だとは思うが」

「あの魔法の秘匿(ひとく)性を考えればまだ甘いほどです。正規(せいき)の手順で入らないとこの屋敷全体が無くなるほどの魔法を発動させないだけマシと思ってください」


 彼女はそう言いながらコウ様から顔を()らした。

 今話しているのは転移魔法陣だ。

 俺がアクアディアに滞在(たいざい)後ドラグ伯爵領へ急遽(きゅうきょ)行くことになったことを伝るためセレスは転移魔法陣を新たにここに描いた。


 描いた後今までのように殺意(さつい)(あふ)れる罠を張ったようで。


「『誰もは行ったらいけない秘密部屋』、そう聞いたらいきたくなるのが心情(しんじょう)というものだと思うけど? 」

「行ってしまった人は仕方ありません。屋敷の(あるじ)忠告(ちゅうこく)を聞けないのですから命の保証はしませんわ。忠告(ちゅうこく)して尚そこへ向かうというのならきっとその者は他家の間者(かんじゃ)だったのでしょう」


 そう言いながら青い髪を(なび)かせ俺の方に近付いて来る。

 精霊魔法を使い土で何か巨大な龍のような物を作っていたレイのところまで行くと彼女も気が付いたのか手を止めて見上げた。

 レイはセレスに両手を上げると彼女を抱き上げぎゅっとする。


「あら、お上手。レイは龍を作ったのですか? 」

「ゼン。作った!!! 」

「確かにゼン様に似ていますね」

「ほう。これが蛟龍(こうりゅう)に成った初代様か! 何と雄々(おお)しい! 」


 ……俺はツッコまないぞ。

 レイの身長程ある土の龍が動いていることにツッコまないぞ。


「確かに似ているが……」

「どうしたのですか? アンデリック。いえ、貴方」

「パパ? 」

「おい、少年。娘に悲しそうな顔をさせるんじゃない! 」

「いや。凄い才能だなと思って」

「確かに。龍鱗(りゅうりん)の一つ一つまで再現されていますね」

「見ただけでここまで再現できるとは。将来は芸術家かな? レイは」


 親ばか、孫ばか二人を見ながらも青い空を見上げて屋敷の中へ戻った。


 ★


「セレス、で王城に報告は? 」

「ええ。(こころよ)く受けてくださいました」


 少し暗めの一室で俺の隣から答えが聞こえた。

 ここはドラグへ向かうまでの間、執務(しつむ)用に使ってもいいと与えられた部屋だ。

 ソファーの隣に座る彼女は「(こころよ)く」と言ったのだが王城の文官達のストレスが心配だ。

 本当に(こころよ)く受けてくれたんだよな?

 (おど)してないよな?


「ワタクシとケイロンが王都とバジルの屋敷に転移し事情を説明し、帰りが遅くなることを伝えています」


 彼女はソファーから立ち、俺の前まで来ると腕を後ろにし体を前にしてそう言う。


「なので「何かあった」と騒ぐことは無いでしょう」


 態勢を戻し少し笑みを浮かべながらそう言った。


「じゃ、すぐに転移魔法陣と罠を消そうか」

「え」


 俺がそう言うとセレスが固まった。

 そして少し震える声で聞いて来る。


「あ、あの芸術的な罠を消さないといけないのですか?! 」

「いや。用が無くなったら消した方が良いだろ? 」

「いえいえ、消すなど勿体(もったい)ない! せめて。せめて罠だけでも残してください! 」

物騒(ぶっそう)な! 屋敷の人にどれだけ迷惑かけるんだよ?! 」

「大丈夫です。このくらい慣れっこなはずです」

「慣れてる方が怖いわ!!! 」


 物騒な罠を消させるために説得したが少し(うる)んできた彼女の瞳には(かな)わなかった。

 結局の所、コウ様の了解を得ることが出来たらそのままでいいということで終わりこの場は解散となった。


 許可は下りなかった。

ここまで如何だったでしょうか?


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