【コント】 ドッキリ殺人事件?
ボケ 「これは……まさか」
ツッコミ「(いつからだろう?ボケが自分を名探偵だと思い込むようになったのは)」
ボケ 「脈が無い……」
ツッコミ「(数年前、お笑いコンビを組んでから本当に殺人事件に巻き込まれて、それを偶然解決に貢献してしまった時はまだまともだった)」
ボケ 「死んでる……殺人事件だ」
ツッコミ「(このドッキリで正気に戻ってくれれば……でも競馬狂いは治ったままでいて欲しいが)」
ボケ 「なんか看板に書いてある……『ドッキリ』?……これはダイイングメッセージ?」
ツッコミ「おいボケ。看板を持ってる人をよく見てみろ。ヘルメットを被ってニヤついてるだろう?」
ボケ 「持ってる人?この看板……人が持ってる?これは何かの手がかり……犯人の特定に繋がるかも!ツッコミ、よく気が付いたな!お前は最高の助手だ!」
ツッコミ「……そうかい。ついでに死体も見てみろ。心の目を使わずにキチンと目で見るんだ!死体が目をパチクリパチクリ何度も開閉しているぞ」
ボケ 「本当だ!震えてもいるな。これは死後硬直っ!殺害時刻の特定に繋がるかも!ツッコミィ、よく気が付いたな!お前は最高の助手だ!」
ツッコミ「違う。その人は笑いをこらえてるんだ。生きてる」
ボケ 「バカな。死者を冒涜するな。脈は無かったぞ」
ツッコミ「それはお前が心の目で脈を測ってしまったからだ。いや、はっきり言おう。お前が心の目で見てるのは願望だ。探偵への憧れだ」
ボケ 「人が死んでるんだ。ツッコミィ……人が……死んだんだぞ」
ツッコミ「その死体が立ち上がって、お前の肩をつついてるんだが」
ボケ 「そんなはずは無い。……うえっ!生きてたのか。良かった……でもこれは」
ツッコミ「殺人未遂って言いたいのか?」
ボケ 「ツッコミィィ!よく気が付いたな!お前は最高の助手だ!よし、犯人を俺たちで捕まえよう!まずはダイイングメッセージの解読からだ!『ドッキリ』……ドッキリ、ドッキリ?ツッコミ、お前はこの4文字から何を連想する?」
ツッコミ「後ろで爆笑してる被害者さんに聞いてみればいいだろ」
ボケ 「その手があったか!よく気が付いたな!ツッコミィィィ!お前は最高の助手だ!……このダイイングメッセージは一体何を指した暗号なんですか?」
ツッコミ「いっそ犯人聞いちまえよ」
ボケ 「そ、その手があったかぁ!ツッコォミィィィ!お前は最高の助手だっ!……犯人は……えっ!……何で……ツッコミ、この人がお前を指差しているんだが」
ツッコミ「そりゃドッキリの仕掛人は俺だもの」
ボケ 「『ドッキリ』は……お前を示したダイイングメッセージなのか。お前から連想される人物が犯人……」
ツッコミ「いや!俺だから。俺が仕掛人だから!」
ボケ 「お前が犯人……バカな、現場は密室。お前には不可能だ」
ツッコミ「TV局の近くの公園で、人もスタッフもたくさんいる。お前の女性ファンも黄色い声援送ってるな……お前に。ロケそのものも5分前に始まったばかり。お前はロケ地に重役出勤!いくらでもどうにでもなるこの状況のどこに密室要素がある?そもそも捜査したわけでもないのに、何を持ってして密室と言い張る?」
ボケ 「何か……トリックがあるのか……」
ツッコミ「何を目的としたトリックだよ!」
ボケ 「ツッコミ……もしかして誰かをかばっているのか?それとも脅されて……」
ツッコミ「ドッキリなんだよ!ドッキリ!」
ボケ 「ドッキリ……それが……トリック?」
ツッコミ「目を覚ましてくれ。スタッフもギャラリーもドン引きしてるぞ!もう笑えなくなってるぞ!」
ボケ 「お前が……助手のお前が犯人?まるで有名な推理アドベンチャーゲームじゃないか」
ツッコミ「犯人じゃねーよ!仕掛人っ!頼むから『ドッキリ大成功』って言ってくれ!正気に戻ってくれ!」
ボケ 「俺は正気じゃない……のか?」
ツッコミ「思い出せ!普通の芸人だった頃を!」
ボケ 「思い……出し……た」
ツッコミ「そうか、正気に戻ったか」
ボケ 「思い出したぞ……俺が犯人だ……死体役の人を殺したのは……俺だ……」
ツッコミ「生きてるよ!生きてる!ピンピンしてる!また爆笑始めたぞ!」
ボケ 「自首して……罪を償ってくる……」
ツッコミ「存在しない罪は償えないからっ!おい、待て!どこへ行くっ?」
ボケ 「………………警察だ」
ツッコミ「そっちは警察じゃなくて競馬場だ!おい!待てっ!おおおおおおおおおおおおおい!」
死体役「行っちゃったよ……」
ドッキリの看板を持っていた人「……」
死体役&ドッキリの看板を持っていた人「「ありがとうございました」」
ボケ 「あの人……おかしいぞ。あんな当たりそうもない馬券を買ってる……怪しい」
ツッコミ「推理してる体で同じ馬券を買うな!」