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18/30

7/26-大氾濫、その予兆

全略



ドーモ、ドクシャ=サン。リラです。


串焼きをむしゃむしゃしながらお送りします。



それにしても美味しいなこの肉、なんの肉だろ?

 聞くの忘れてた、今度寄った時にでも聞いとこ。



「おじゃましまーす。……昼間より増えてるねぇ。」



串をどこに捨てるか悩んでいるうちに組合に到着したわけだけど、人の数が多くなってる。

 受付は6個全部に人が座り、そのうち5個が既に埋まっていてなお、傭兵の人たちはそれぞれ座って受付が空くのを待っている。

 1個空いてるのに順番待ち待ちしてるのはなんでだろ?



「…あっ、空いてるのオグマのところだ。」



なんで空いてるのかは気になるけど、都合は良いからとりあえずオグマのところに行って色々報告とか終わらせておこう。



「やっほー、戻ったよ、オグマ。」



挨拶しながらオグマに声をかけると、作業の手を止めて顔を上げるオグマと目があった。

 んー、なんか周りからめっちゃ見られてる気がする?



「ご無事そうでなによりです。……お一人ですか?」



「1人だよ。ついでに言うと今は無事だけど、さっきまでは無事じゃなかった。」



話しながら周りを見ると、受付の人と傭兵の人たちが驚いたようにこっちを見てた。

 オグマの受付だけ空いてるし、話すだけで周囲からこの反応、オグマって自分で言ってた以上に偉い人なのでは?



「どこか怪我を?」



「いや死に戻ってきたの。鈴火たちはそのうち戻ってくると思う。」



「死っ!?……っいえ、リラさん達は"来訪者"でしたね。」



オグマが一瞬目を見開いて驚く。

 まあ流石に"ちょっと死んできた"とかいきなり言われたらビビるよね。

 それでもすぐに"来訪者"のことを思い出して冷静になるあたりオグマが優秀であることが分かる。



「そゆこと。1人で先に戻ってきちゃったから、報告も済ませておこうと思ってね。」



「なるほど……ではお伺いします。」



オグマに街道で戦ったフォレストウルフのこと、街道を暫く進んでから森に入ったこと、森で数十匹の群れに襲われたことを話す。



最初は普通に聞いてるだけだったけど、最後の森で群れに襲われた話をすると、オグマの顔が少し険しくなった。

 話が聞こえてたのか、周りも少しざわついている。



「数十匹の群れ……ですか。確認ですが、街道から街に出る方の森に入ったのですね?」



「そうだね、方角は意識してたからそれは間違いないよ。……なにか気になることでもあるの?」



「…………そう、ですね……少し厄介なことになりそうです。」



真剣な顔で、少し考え込んだオグマが口を開く。

 いつのまにか周りの傭兵たちも受付の人も静かになっていた。

 みんな真剣な顔でオグマに注目してる。



「普通、街のある方、つまり浅い方の森に出るフォレストウルフの数は多くても20匹程度です。それが50匹以上もいたとなると…………大氾濫、の可能性があります。」



「大氾濫?魔物がいっぱい出てくる、みたいな?」



周りがまた騒めきだす。

 大氾濫、ねぇ。語感的には魔物が溢れかえるってところかな。

 それならまあ街から近い場所で魔物が溢れかえるんだから、騒ぎたくなる気持ちもわかるけどね。



「はい。魔物の異常繁殖、それによって縄張りを広げ街や村へ侵攻することを指して大氾濫と言います。」



「んー、でもそれってよくあることじゃないの?今までなかったわけじゃないんでしょ?」



傭兵や騎士団だけでこの国の全てを見れるわけじゃないんだし、魔物が街や村まで来ることが珍しいなんてことはないはずだ。

 だけど、周りの騒ぎはどんどん大きくなっていく。

 まるで、初めて経験したような……?



「はい。大氾濫自体は偶にですがあります。ですが、リーコス森林地帯でそれが起きるのは……およそ50年ぶりですね。」



「50年?…いやでも街から近いしそんなもんか。」



街から近く、常に数に制限のない討伐依頼がある場所だから、それだけの年月がたっても異常繁殖が起きなかったんだろうね。

 それか、異常繁殖が起きても問題ないくらいに狩り続けてたか。



でも、まだ分からないことがある。

 この街は首都だ。当然、傭兵の数も多いだろうし、騎士団だってある。

 中には腕のいい人もたくさんいるだろう。

 それでもなお周囲のこの反応、50年前に何かあったのかな?



「当時の記録には、被害は甚大で、街のおよそ3分の1を更地にする程の戦いの後に終結したとあります。……私も、親からいかに酷いものだったか教えられました。」



だから組合は、大氾濫が起きないよう常に討伐依頼を張り出し、定期的に偵察の依頼も出していたと語るオグマ。



「でも、50年も持ったんだから十分なんじゃないの?それだけ時間があれば対策の1つ2つはあるでしょ。」



「いいえ。リーコス森林地帯は国から特級管理地区に認定されている場所です。本来であれば50年どころか二度と起きないように管理されている………はず、だったんですが……。」



二度と起きないようにするから、対策も必要ないものとし、マニュアルなんかもない、と。

 でも今回、僕たちが街道から街側の森で大量の群れに襲われたから、大氾濫が起きる可能性があり、どうしようってなってるわけだ。



「とにかく、一度調査依頼を出します。リラさん、報告ありがとうございます。……みなさんも!まだ確定したわけではありません!調査が完了し次第情報をお伝えしますので!冷静な行動を心がけるようお願いします!」



おおー、見事に騒ぎがおさまった。

 オグマが声を張るだけで全員が落ち着きを取り戻し、各々の仕事に戻っていく。



「それじゃあまあこの話は終わりにして、フォレストウルフの討伐証明部位と解体についてなんだけど。」



「討伐証明部位はのちほど皆様がお集まりになった時で構いません。解体についてですが、組合でも手数料はいただきますが請け負っていますよ。」



「組合でお願いします。ついでに解体してるとこ見せてもらえたりする?」



組合でやってくれるなら楽だけど、組合に寄れない時は腐る前に自分で処理しなきゃいけないし、見せて、なんなら教えてもらえると嬉しいんだけど。



「構いませんよ。組合でも傭兵の方が自ら解体されることを推奨していますから。」



「やった。また明日来るからその時お願い。」



「はい、お待ちしていますね。」






「ふむ?昼間とはまた印象が違うな。」


「人、多いですね……。」


「…………」



オグマと話してると、後ろから仲間の声が聞こえた。

 振り返って確かめると、3人が組合に入ってくるところだった。

 鈴火は傭兵の数に物珍しそうにし、桜は人の数にうんざりしたような顔をしてる。

 スーは俯いていて顔が見えないしちょっとふらついてるように見える、ちょっと心配だ。



「あっ!鈴火、桜、スー、おかえりー!」


「ああ、ただいま。」


「ただいま戻りました。」


「…………み………ん。」



挨拶すると鈴火と桜は普通に返してくれる。

 変に気にしてなくて良かった。

 スーふらふらとこっちに近づきながらがなにか呟いたけど、はっきりとは聞こえなかった。



「スー、今なんて言ったの?」


「……みー……ん。」



段々スーとの距離が近くなる。

 もう10mないくらいだ。

 ここまで来れば聞こえるかな?



「スー?どうかし




ーーー「みぃーちゃぁん!!!!!」


がふぅぅぅ!!」



近づいてくるスーに声をかけようとした瞬間、僕は宙を舞っていた。



お腹にくる強烈な痛みと共に。




リアルパートとVRパート、比率が難しい。

どっちもいっぱいやりたいけど、話が前に、というか次の日に進まない…。


今は何も考えず、書きたいものを書くことにします。



ちなみに前書きのは一番好きなネタです。

あれ見た時に生まれて初めて大爆笑しました。

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