7/26-数の暴力って怖い
あらすじにアクションありって書いちゃいましたからね。
あんまり戦闘から逃げちゃダメですよね。
みなさま、お元気でしょうか?
僕は今、街の中央にある広場で仰向けに寝転がり、1人で空を見上げています。
さっきまで痛みで悶えてました。
……はい。お察しの通り死にました。
仕方ないよね、ステータスもレベルもない、急に力が目覚めるとかもない、これそういうゲームじゃないし。
でも結構粘ったよ?多分5分くらいは頑張ったし、鈴火たちが逃げる時間くらいは稼げたんじゃないかな。
え、詳しく?しかないなぁ、じゃあ具体的な回想でもしてみようか。
はーいここから回想入りまーす。
グロ注意!苦手な人は飛ばしてね!
「はぁ……はぁ………」
大き目の木の幹を背にして盾を構える。
前も後ろも警戒とか出来ないから、後ろから攻める選択肢をフォレストウルフから消す。
その代わりに完全に足を止めさせられた上、包囲も最初より酷くなってるけどね。
「いやさすがに多すぎでしょ。」
フォレストウルフの数は最初の倍、およそ30匹くらい見える。
この分だと鈴火たちを追ってる方から何匹かこっちに来たっぽいね、この場合は好都合だよ。
「確実に仕留めたいっていうのは分かるけどねぇ…。」
いくら数が多くても同時に攻めてこれる数には上限がある。
おまけに木の幹にがおるからさらに数は限定される。
この魔物たちも頭は良いんだろうけど、興奮状態で目の前の狩りやすい獲物しか目に入ってないようだ。
と、考え事をしてるといきなり4匹突っ込んできた。
「しッ!」
「ギャンッ!」
1匹目、跳びかかってきたやつに盾を振り上げて弾き飛ばす。
盾をあげ切り、すぐ後ろにある幹に当てた反動で体の前まで素早く戻す。
「らぁッ!」
「…ッ!!」
2匹目、盾を振り上げた隙を突こうと下から迫っていたやつに、戻してきた盾そのままを振り下ろし、盾の縁で首を砕く。
「ッこの!!」
「ゴッッ!」
3匹目、左から噛みつこうとしてくるフォレストウルフの口の中に左手を突っ込む。
走ってくる勢いのまま自分から手を飲み込んだフォレストウルフの中身を掴む。
「おぉりゃぁぁ!」
「グゥッ!」
4匹目、右側から走ってきていたフォレストウルフに、振り返って左手についてるやつをぶん投げる。
「ぐぁっ!」
凌いだと思っていた息入れようとすると、最初に盾で殴ったやつに後ろから肩に噛みつかれ、バランスを崩して地面にうつ伏せになる。
「くぅッあぁ!!」
「ガァゥッ!!」
肩痛くて泣きそう。これで3割減ってほんと?
若干潤んでぼやける視界を無視し、左手で腰に刺してる解体用のナイフを抜いて、上に乗っかって噛みついてるフォレストウルフに突き立てる。
キィィンッ!
「いい加減退いてってば!」
「アァァッ!!」
刺したことでフォレストウルフが暴れ、その衝撃でナイフが折れた。
戦闘用じゃないから仕方ないけど、もったいないことしたかなってちょっと後悔。
肩から口が離れた瞬間にうつ伏せから仰向けに身体を回し、ついでに盾でフォレストウルフを殴り飛ばす。
「速く構えな……い…と……。」
背中の重りもなくなり立ち上がろうとする僕の両足を、何かが押さえつけた。
「あー、これは……………もうだめですね。」
「ガルルルルル」
フォレストウルフが2匹、それぞれの足に乗っかっていた。
おまけに一瞬固まってしまってる内に、他のフォレストウルフも近寄っていて、もう盾を振り回すスペースもない。
「で、できればー……、一瞬で殺してくれると、嬉しいなーって思うんだけど……。」
「ガァッ!」
1匹のフォレストウルフが口を開けると他のフォレストウルフも一斉に口を開き…………。
「あんなんトラウマになるわッ!」
回想は終了です。最後の映像はお見せできません。
ともかく死んでしまった僕はこの広場に戻され、死因からくる幻痛とも言うべきものに悶えていた。
急に叫んだせいでめちゃくちゃ見られたけど気にしない。
なんなら最初生き返ってすぐ転げ回ってたときから見られてるからね。
「はぁー…、あっデスペナ……、ん〜特にないっぽいね……。」
服は元通りだし、ステータスもレベルももともとない、インベントリに盾とその他諸々もちゃんとある。
回収したフォレストウルフの死体と分けておいた尻尾もある。
なくなったのは壊れた解体用のナイフだけ。
死ぬの前提みたいなゲームだし、その辺は緩くしてくれたのかな?もしかしたら気付いてないだけで何かあるかもだけど。
「消耗とかもないし、このまま組合行こうかな。」
スーたちにはもう死亡連絡は入れてある。
MMOお馴染みのフレンド登録、道具屋に行く前にしておいたんだよね。
メッセージで組合集合って伝えたから、そろそろ組合に移動して、みんなを待つことにする。
ポーションとかそもそも買ってないから、買い足しに行かなくていいし。
でもその前に、
「おじさん、その串焼き1本ちょうだい。」
広場で転げ回ってる時からすごくいい匂いしてたし、食べたかったんだよね。
「お、おう、大銅貨2枚だ。もう大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃないけど?銀貨でいい?」
悶えてるのとか急に叫んだのとか見ていたようで心配された。
どうせなら可愛い女の子に心配されたいなどと思うまい。
「あいよ、釣りの大銅貨8枚な。なあ、何があったんだ?」
「ちょっと狼に貪られただけだよ。」
全然"ちょっと"でも"だけ"でもないけど、刺激が強すぎるからオブラートに包んで答える。
「…………中々に壮絶な経験だな。…よっし、サービスだ!もう1本持ってけ!」
「いいの?」
なんか同情されたんだけど…。
この見た目のせいかな?貪られた方かな?
………………いやどっちもか。
「いいぜ。その代わりまた買ってってくれや。」
「美味しかったらね。ばいばい、ありがと。」
「またな!」
"また"って……、よっぽど自信あるんだろうなぁ。
でも僕、結構自炊歴長いから味には煩いよ?
「もうみんな戻ってきてるかなぁ?……………あ、おいしい。」
次は5本くらい買お。
主人公以外の視点でも書くべきなのか考え中です。
そのうち拍視点で過去回想とかしてみたいですね。




