7/26-VRゲームで死んだらトラウマになりそう
ぎりぎり間に合いました……。
1分くらいは誤差ですよね。
「せっかくなんだ、森の中での移動、戦闘も経験しておかないか?」
あれから街道を、フォレストウルフを倒しながら進むこと30分ほどが経過した。
そろそろ帰ろうかという話になって、急に鈴火がそんなことを言い出した。
確かに一度位は経験しておくべきかもしれない。
でも無事に街まで戻るよりも死ぬ可能性の方が圧倒的に高い。
最悪死んでもデスルーラしたことになって、帰り道の時間短縮にはなる。
経験を得ながら時間を短縮する、両方を取れる効率的な案と言えなくもない。
ただ問題もある。
とても大きな問題だ。
このゲーム、感覚までなるべくリアルに作ったらしく、痛覚軽減率の最低値が0%まで存在するんです。
ちなみに、他のゲームでは大体最低値が70%です。
僕とスーの軽減率は30%、つまり大怪我しても普通にめちゃくちゃ痛いくらいで済む。
推奨は50%だけど、僕は体の動きに違和感があったから、スーは魔力の動きを正確に把握するために、7割の痛覚を残すことになった。
鈴火と桜の軽減率は0%、つまり大怪我したら普通に発狂する可能性がある。
2人は感覚が鈍るからとか言ってた。
改めてこの2人の頭のおかしさを再確認した。
まあつまり何が言いたいのかというとね。
"死んだら痛い"
30%とかなんの気休めにもならないでしょ。
結局7割痛いんだし。
設定を変更しようにも、一度いじると2日は変更できなくなるんだよね。
だから気軽に何度も変えられないし、死ぬときだけ100%まであげてリスポンしたら戻すっていうのが出来ない。
「普通に死にたくないから嫌なんだけど。」
「私は良いと思いますよ?死ななければ良いだけですから。」
「…私も、森の中でも使える魔法の参考にしたいから、行ってもいいと思う。」
「…なんでさ。」
桜が賛成するのは読めてた。
まあ言ってることは分かる。理解できないけど。
スーが賛成なことにはびっくりした。
魔法を楽しそうに使ってはいたけど、その魔法のために自分から危険な場所に行こうとするとは。
「みーちゃん。」
スーが僕の服の袖を掴んで、まっすぐに僕の目を見る。
「…なに?」
「私も、ちゃんとみんなの役に立ちたい。一緒に戦いたい。足手まといは嫌。だから、手を貸して欲しい。迷惑…かもしれないけど…。」
スーの声は段々萎んでいき、目は潤んでいく。
「はぁー……。分かったよ。だからそんな泣きそうな顔しないで?」
スーの頭をなでなでしながら答える。
いやこれは勝てないって。
可愛い妹分の泣き顔とか反則もいいところだよね。
「っみーちゃん!」
「ぐふぅッ!」
スーが感極まったように抱きついてくる。
ここで一つ思い出してほしい。
鞘がある鈴火と桜はともかく、僕とスーはインベントリに戻さない限り武器を手に持つ必要がある。
そして僕たちはさっきまで戦闘中だった。
つまり、僕とスーは今も武器を手に持っている。
結論、背中に杖が当たってめっちゃ痛い!
スーに正面から抱きつかれ、背中には杖の先端が当たり、お腹と背中をそれぞれ圧迫してくる。
「で、出る……、内臓でるぅぅぅ。」
「スー、もうそろそろ離してやれ。流石に友人の口から臓器が飛び出る瞬間は見たくない。」
「え?…あっ!ご、ごめんなさい。」
「き、気にしなくていいよ。…………し、死ぬかと思った…。大丈夫だよね?僕の背中へこんでないよね?」
鈴火ナイス!よく止めてくれた。タップも出来なかったからほんとに助かった。
危なかった。もう少しで新しい何かが生まれるところだった。
ていうか小さな女の子に抱きつかれて死ぬとか、字面がやばい。
スーの肩をぽんぽんと叩いて気にするなと伝えた後、桜に確認してもらう。
「大丈夫、いつも通り前も後ろも綺麗に真っ平らですよ。」
「貴様桜ぁッ!言ってはならんこと言ったなッ!」
戦争か?戦争だよなぁ!
人が気にしてることを言いやがって!
「てか桜も僕とそう変わらないまな板でしょ!」
「なぁっっ!言いましたね、言ってしまいましたね!いいでしょうお望み通り街まで送ってあげます!この刀でねっ!」
「盾で押し潰して、もっと平たくしてあげようか?」
「斬り刻んで、もっと小さくしてあげますよ?」
桜と2人、お互いフォレストウルフに負けないレベルでガルルッて睨み合う。
この頭のおかしい斬るkill娘に勝てるとは思わないけど、簡単に負けてやるつもりもない。
「ちょっと落ち着け2人とも、私は2人くらいのサイズが丁度いいと思うぞ?」
「……私も、2人くらいのがよかった。」
……一時休戦だ、と桜と視線で伝え合う。
頷きあってから、お互いにそれぞれの標的に向かって行動を開始する。
「中学に入ってからは同じものしか口に入れてないはずなのに、なんでこんなに違いが出るんですか!?私の知らないところで何をやったんですか!?」
「きゅ、急に何だ!?ちょ、やめ、…揉むな!?」
「生意気なことを言う子にはこうだよ?」
「ご、ごめん…失言、だった、謝る、から…やめて。」
桜が鈴火早口に捲し立てながら、僕は静かにスーに詰め寄って、どことは言わないけどもみもみする。
「………もうやめません?」
「………同感。虚しくなってきた。」
「やっと……終わったのか…。」
「うぅ……、みーちゃん、恐ろしい子。」
格の違いを分からされて、段々悲しくなってきた。
もう早く次に行こう。
「さ、気を取り直して帰ろうか。なるべく死なないようにね。」
「安心しろ、私と桜がいる。いざという時は囮になるさ。」
「私と鈴火ならフォレストウルフ程度、森の中でも問題ありませんから。」
「魔法…もっと上手く使えるようにならなきゃ。」
「新しい魔法、今度一緒に創ろうね、スー。」
「うん!」
なんとか1日1話を守り切りました。
明日もなんとかやってみせます。
私、やればできる子なので。




