フルチンマンの誕生
ここから物語はスタートしていきます。
【翌朝】
(ギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!
死にたい!死にたい!死にたい!死にたい!死にたい!死にたい!死にたい!死にたい!死にたい!死にたい!死にたい!死にたい!死にたい!)
俺は朝から布団の中で悶絶した。昨日フルチン姿を桜部さんに見られたのだ。
「お兄ちゃん大丈夫?」
朝食中、妹の伊織が心配してくれたが、声は届かない。
「お兄ちゃん、何してんの!?」
放心状態の余り、朝食のゆで卵を殻ごと食べてしまった。
通学中も俺は、上の空だった。
学校に着くと事態は更に深刻化していた!
俺が桜部さんを助けた直後、フルチンで逃げ去る姿を一部の女子生徒に目撃されていたのだ!
助けた恩からか、当の本人である桜部さんは「菊宮かどうか分からない」と濁してくれたようだが、時既に遅し、放課後になる頃には、全校生徒中に俺の噂が広まり、俺は、『フルチンマン』として、完全に定着していた。
俺のルックスも、フルチンの露出狂という噂の前には何の役にも立たない…。
終わったァァァ…俺の学園生活終わった…。
絶望感に打ちひしがれながら、俺は唯一の受け入れ先である、洋菓子カンフー部への部室へと向かった。
扉を開けると、部長、百合平、梨倉、桃原が既にいた。
「よくやったぞい菊宮!!!!」
部長がいきなり声を掛けてきた。
俺は全く身に覚えのない感謝をされた。
まさかここはフルチンになることが部活動なのか…?
「どういうことですか?」
「いや、昨日菊川が麦川を倒したと聞いたぞい」
「え?何で知ってるんですか?てか、何で麦川を倒すことが感謝に繋がるんですか?」
「麦川は異能の力によって、操られておったのじゃ。
目もおかしかっただろい?」
「え?え?どういうことですか!?(てか、そもそも俺以外に能力を使える奴がこの世に存在するのか!?)」
「麦川は奴がワシらを潰そうと、送り込んできた刺客だぞい。だから断ったんじゃ。泳がせて様子を見ようと思っての。だが、生徒が襲われそうになったとなれば話は別。お前がその場におって助かったぞい!」
「え?え?!?どどどどういうことですか!?!?」
「なんじゃ菊宮、百合平から聞いてないのか?ここ洋菓子カンフー部は、異能の力を持つ生徒が集まる特殊集団ぞい」
「(ハァァァァァァ〜〜〜!?!?!?!?
コイツ、そんなこと一言も言ってなかったじゃねぇか!!」
「麦川は、奴らの刺客の1人に過ぎぬ。今後はどんどん敵は力を増してくるぞい」
「ちなみに敵って誰なんですか?」
「和菓子カポエラ部じゃ」
なんじゃそりゃ〜!?!?!?
この学校の連中ってエリートじゃなかったのか?
全員アホなのか!?
「ワシら、洋菓子カンフー部と和菓子カポエラ部は長年戦争をしてきた。だが、いつも力は亀甲、そんな中、お主が現れた。フルチンになることで万物の力を操ることができる最強の存在、それが菊宮、お主じゃ。お主が外部との接触を断ち、少しでも動きやすいよう、百合平に頼んで、菊宮は露出狂のド変態だという噂を流しておいたわい!」
お前の仕業かよォォォォ〜!?!!!!!
「さぁ菊宮、最強の能力者『フルチンマン』として、この能力戦争に終止符を打つのじゃ!!」