その女、百合平潤。
2人目のヒロイン登場です!
「ごめん、今は誰かと付き合うつもりは無いんだ…」
「そうだよね…、私なんかじゃ菊宮君と釣り合わないよね…!」
「いや、でも嬉しかった。本当にありがとう。」
一体何度目の呼び出しだろうか。
明帝高校に入学して、はや1週間、既に20人には告白された。俺は首席で合格だった。
無事、報奨金も振り込まれ、我が家の家計も潤い始めた。
俺は中学時代、モテモテでいながら、家事をするため一度も付き合ったことが無かった。
だが、今年から妹の苗も家事をすると言ってくれている。
また、「お兄ちゃん、いい加減彼女作ったら?」と応援もしてくれている。
気の利く優しい妹だ。
先程告白してくれた田中さんには、「誰かと付き合うつもりは無い」と言ったが、これは嘘だ。
交際経験は無くとも、俺はモテモテの人生を歩んできた。
狙いはただ1人、学年1の美少女にして、受験会場で一目惚れした桜部さんである。
さらに桜部さんとは同じクラスに振り分けられた。
これはもはや神が俺たちの交際を後押ししてくれていると言える。
「おい、お前また告られたのか?笑」
コイツの名前は稲村翔。
イケメンにして首席ということで、俺がクラスメイトから腫れ物に触るような扱いを受けていたところを
気軽に話しかけてくれた良い奴だ。
出席番号が前後ということもあり、すぐに意気投合した。
「他クラスの女子達も、イケメン、イケメンって正宗の話題で持ち切りらしいぜ」
「照れ臭いな。でも、そのせいでみんな中々、翔みたいに話しかけてくれないんだよ。嬉しい反面、寂しさもあるよ」
「あ〜?コッチからしたら羨ましい悩みだぜ〜。
そういや何部入るか決めたか?」
「多分、陸上部だな〜。中学時代も入ってたし。」
「陸部って、ますますモテそうだな〜。
そういや知ってるか?この学校、洋菓子カンフー部っていうめちゃくちゃ変な部活があるらしいぞ。何でも、変人ばっかの集まりらしくて、シュークリーム食ったりしながら、カンフーで戦う部活らしいぞ」
「どんな部活だよ…。てか、そんな部活、誰がそんな部活入るんだ…?」
「よっぽどの洋菓子かカンフーのマニアか、ド変人だけだろな」
菊宮と稲村は、靴箱を開ける。
「ん?なんだこりゃ?」
手紙が菊宮の靴箱に入っている。
「18:00、B校舎の屋上に来てください…って、またラブレターか…?」
「お前、本ッッ当にモテるのな。んじゃ俺、先帰るわ」
「おう、また明日な。」
また告白か〜、また断るのやだな〜。
俺はそんなことを考えながら、屋上へと向かった。
屋上に着くと青い髪の女が1人立っていた。
「菊宮くん、わざわざ呼び出してごめんなさい」
「いや、別に大丈夫だよ。それで何の用?(ん?コイツ、どっかで見たな)」
「私の名前は百合平潤。今日は、菊宮くんにお願いがあって、呼び出したの。洋菓子カンフー部に入ってくれないかしら?」
(唐突だなオイ、しかもその部活って、変人集団なんだろ?流石に入りたくねぇぜ…)
「ごめん、誘ってくれて申し訳ないんだけど、俺、陸上部に入ることを決めてるのよ。だからごめんね」
「けど、このままじゃ部員が足りなくて廃部になってしまうわ。助けて菊宮くん」
「本当に申し訳ないんだけど、俺、陸部って決めてるから(あんな噂が流れてりゃ、そりゃ誰も入部しないよな…)」
「そこをなんとかお願いするわ。洋菓子カンフー部はみんな個性的でとても楽しいわ。それに変人の集まりって意味では、受験会場でフルチンになる菊宮くんにはピッタリな部活よ」
「(本当に変人集団だったのかよ…って、ん?今なんて言った?って、エエェェェェエエエェェ!?!?!??何でコイツ知ってるの?どどどどどういうこと!!??!?!)」
「ゆ、ゆ、ゆ、百合平さん!?!??何を言ってるの!?!!!?!
どどどどどういう意味かな??!?!?」
「あら、私、受験会場であなたの隣の席だったわよ。
急にパンツ脱ぎだしたからビックリしたわよ。」
「(けど何で!?!?あの時、能力でフルチンは隠しただろ!?!?どういうことだ!?!!?)」
「アナタ完全にフルチンだったわよ」
「けど俺がフルチンだった証拠がどこにあr…」
写真を胸ポケットから出す百合平。
写真には受験会場でのフルチンの俺が写っていた。
「(ギャァアョョァァァァァァァ!!!!!!!!)」
「勿論この写真はこれ一枚だけでなくパソコン・USBにもバックアップを取ってあるわ。
もし断ればこの学校の生徒全員に写真をばら撒くわ。さぁ、菊宮くん、洋菓子カンフー部に入りなさい!」