美男子と入試とフルチン
初投稿です!
よろしくお願いします!
「嘘だろ?透視能力が使えない…!?」
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突然だが、自己紹介しよう。
俺の名前は菊宮正宗、中学3年生だ。
自分で言うのも何だが、俺はめちゃくちゃイケメンである。
今まで告白された回数は数知れず、誰もが羨むモテモテ人生を送ってきた。
だが、俺の人生が順風満帆かと聞かれれば、決してそんなことは無い。
2年前、両親が不慮の事故により他界してしまったのだ。
以来、俺は、妹の伊織と二人で暮らしている。
伊織を悲しませないと、俺は必死に家事をこなし、家計をやりくりしてきた。
伊織は俺にとって何よりも大切な存在だ。
だが、そんなある日、事件は起こった。
俺に異能の力が目覚めたのだ!
シャワー中、俺は『念力』の力を使い、無意識に石鹸を浮かせていたのだ!
さらにいえば、俺の能力は『念力』だけではなかった!
『透視』や『浮遊』、『念写』などいくつもの能力が俺にはあった!!
だが、もし俺が能力者であることが世間に知られたら、政府に捕まり、実験台にされるかもしれない…。
そうなれば伊織とは二度と会うことできなくなるかも…。
そう考えた俺は、力の存在を伊織にさえ秘密にし、風呂場だけでしか力を使わないという自分ルールを課してきた。
そして日々、風呂場で密かに特訓をしてきた俺は、現在あらゆる能力を操ることができる万能の存在になっていたのだ!
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そして今日は、高校受験当日だ。
俺が受ける高校の名前は『明帝高校』。
日本中の超秀才が集う国内有数の超名門校だ。
この高校を志望する理由はただ一つ。特待生として入学すれば、報奨金100万円が貰えるのだ。
既に我が家は両親の遺産も尽きかけ、家計は火の車。
さらに、伊織は今年から中学生だ。
せめてセーラー服は新品で買ってあげたい…。
なんとしても特待生入学せねば…。
そんなことを考えながら会場に入ると、席順表が黒板に掲示されていた。
「俺の受験番号は4076番、最後列の左端か…」
俺は席へと足早に向かった。
隣の席には髪の青い女が既に座っていた。
椅子に座り、ふと斜め右前の席を見ると、そこにはとんでもない美少女がいた。
受験票に彼女の名前が書いてあるのが見えた。
『桜部光さんと言うのか…彼女にふさわしい美しい名前だ…』
そんなことを考えていると問題用紙が回ってきた。
「ダメだダメだ…雑念を捨てねば…
絶対合格しなければいけない…」
ちなみに中学時代、俺の成績は、上の中だった。
そのまま行けば、地元のそこそこの高校に合格できただろう。
だが、ここは明帝。日本中の秀才が集まる高校だ。
普通に受けて合格できる学力は俺に無い。
だが俺には異能の力がある!
家計と伊織のためだ。
今日だけは自分ルールも特別改変だ!
このテスト、全て透視してカンニング合格してやるぜ!!
「透視‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
「ん?」
「あれ?」
「おかしいな…もう一回やってみよう…」
「透視‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
「あれれ?」
「全然透視できねぇや…」
「透視‼︎‼︎‼︎ 、透視‼︎‼︎、透視‼︎、透…」
「って、全ッッッッッッッ然透視できねぇェェぇぇ!??!!!!?!?!?」
「ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!!!!?!!!!何で何で何で何で!?!?!?!?えぇぇぇぇぇぇえぇぇえ!?!?!??!!!!??!?」
俺はめちゃくちゃパニクっていた。
どういうことだ!?
毎日、風呂場じゃ透視もできたじゃないか!!?
能力が発動しなかったことなんか今まで一度も無いぞ!!!
まさか、俺ん家の風呂場が特別ってことなのか!?
あの風呂場じゃ誰でも能力が使えるってことなのか!?
いや、でも伊織に能力が目覚めた様子なんて全く無かった!!
もしかして、水に濡れていることが発動条件なのか!?!?
全く分からん!!
とりあえずこうなったら自力で問題を解いて…
「フゴォォォォ〜!!!!!?!?!?
なんじゃこの問題!?!?
本当に高校受験の問題か…!?
一問も分からん!!!!!」
もうこうなったら、能力に頼るほか無い。
濡れていることが発動条件に賭けてやる!!
「すみません!トイレに行っても良いでしょうか!?」
「大丈夫ですが、カンニング防止のため、答案はこの時点で回収となりますがよろしいですか?」
「大丈夫です!」
俺は許可を貰うと大急ぎでトイレへと向かった!
そしてトイレに着いた俺は水を被った!!
めちゃくちゃ被った!!!
全身ビショビショになるまで被った!!!
だが、能力は発動しなかった〜!!!!
俺は泣きそうになった。
俺は1人個室トイレの中に入った。
失意の底でふと、「上半身を露出していることが発動条件なのかな…」と考えた。
シャツを脱いでみた。
だがやはり、能力は発動しなかった…。
俺の目から一筋の涙が溢れた。
「ごめんな、伊織…」
ん…?
ちょっと待てよ…?
俺にはまだ一つだけ確認していない発動条件があるじゃないか…
けどそんなことってあるのか…?
いや、だがこの条件だ。
それに賭けるしか手はない…。
俺は恐る恐るズボンに手を伸ばし、下まで下ろした。
そしてパンツも同様に下ろした。
俺はフルチンになった。
その瞬間、俺は気付いてしまった…。
奥の予備のトイレットが浮遊していることに。
「発動条件コレかよォォォォぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!」
フルチンが発動条件ってどうすりゃ良いんだ!?!?そんなことを考えていると一科目終了のチャイムが鳴った。
教室に戻った俺は必死に打開策を考えたが、何も思い浮かばない…。
二教科の問題用紙が回ってきた。
科目は社会だった。
「ヤバイ、このままじゃ何もできず終わる…。
もう伊織の為にやるしかない!!
一瞬の内にズボンを脱ぎ、フルチンになった瞬間、クラスメイト全員に幻覚をかける!
それで俺がズボンを履いている幻覚を見せる!
幸い俺の席は最後尾の左端!
フルチンになるまでの間、バレなければ俺の勝ちだ!!」
俺は勢いよくズボンとパンツを下げた!!
「幻覚!!!!!」
良し!誰も気づいていない!!
行くぜ!!
「透視!!!!!!!!!!!」
俺は周囲に幻覚をかけたままフルチンで問題を全力で解いた。
無我夢中で解いた。
その後もフルチンで解き続けた。
全てのテストを解き終えた頃には憔悴しきっていた。
帰り道の記憶はよく残っていない。
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(そして合格発表当日…)
4072
『4076』
4081
俺は明帝高校に合格していた。