プロローグ
どこの世界にも魔王といえば、国を支配したり人々を傷つけたり……なんていうイメージがあります。
この物語には、数多く居る魔王の中でも一番気弱なディアルートという名前の魔王が出てきます。
ディアルートは、仲間達から"ディア"の愛称で呼ばれ、魔王とういうことを認められています。
気弱だけれど、魔王様。
魔王様だけれど、寂しがり。
ディアは、魔王の城"夜行城"に一人で住んでいましたが、広い城に一人。
臣下は居ますが、自分を包み込んでくれる人が居ません。
それに耐えられず、魔王らしく様々な国の王女様を攫っていました。
……ですが、攫ったのは良いけれど、良心が痛み、王女様を助けに来た勇者にすんなりと倒されてしまうのでした。
毎日一人寂しく暮らすディア。
そんなディアが住む"夜行城"に、ある日、侵入者が現れます。
その侵入者は、それはそれは、とても美しい女の子でした。
ディアは今まで何度も美しい王女様を見た事がありましたが、そんなの、比べ物にならない位に、その女の子は綺麗だったのです。
その子は、
「私はココに住む為に来たのよ」
と、言いました。
話を聞けば、その子はとある国の王女様なのでした。
もちろん、毎日寂しい思いをしていたディアが断るはずがありません。
少し気の強い王女様ですが、そんなところもディアは大好きになりました。