表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/47

国境の町 オデルローザ 変革の逆風



【追加登録された魔法】

★《冷風》送風に温度変化を加え冷たい風を送る

★《製氷》水を冷却して氷を作る。サイズ調整可能

★《凍結》対象を凍らせる。ある程度の温度調整可能

★《氷弾》氷の弾を射出

★《氷矢弾》氷を槍のように尖らせ射出

★《エフェクト氷》〈氷〉を纏い、氷像と化す

 演出は、美しさ?


【強化された魔法】

★《エアコン》冷暖房調整可能に

★《全身空調》体に〈風〉を纏わせ空気の層をつくり、

 各属性で空気を調整する。断熱性、遮音性あり

 空気を循環させ吸排気も行う

 〈火〉暖房〈水〉加湿〈風〉除湿〈雷〉防虫〈氷〉冷却

★《濃霧》素早く霧を発生させ、〈送風〉で指定した方向に

 爆発的に広げていく


◆瞬間最大値・上限◆

★《土壁》3000×3000×500mm

 →4000×4000×600mm(長さ×幅×厚さ)

★《落とし穴》3000×3000×3000mm

 →4000×4000×4000mm(長さ×幅×深さ)

★《砂地》《沼地》3000×3000×2000mm

 →4000×4000×3000mm(長さ×幅×深さ)

★《飲料水》800ml→1000ml


★《土》の魔法の射程:90→120cm

★《火弾》時速250→300km


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 うん。出来なかった。『消滅魔法』。

 でも、確かに消えたよ? どちらかが。右手の炎か、左手の氷がね。『生活魔法』だから、オイラの魔法。期待しちゃダメって知ってたのにね。


 2つの大きさを合わせる事自体が出来なかった。無理・無駄・ムラの3Mだね。『極大』じゃないから出来なかったっていうレベルじゃなくて、ダメだった。もうやりません。反省もしません。いい夢見たよ。最強の生活魔法使いの称号は、夢の中。いや、妄想の中か。




 ツッコミ専用ページは、変わり無しっと。いや、あった。しっかり【称号】が追加されてた。



【追加された称号】

★規格化・標準化の啓発者

★土魔法建築の啓発者

★労働基準監督者

★地下開発事業者


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 だってさ。ここは、ツッコんじゃダメって決めてるから、もう《スルー》。本当はツッコミたいんだよ? でもダメだ。ここは触れちゃダメなトコだから。なぜかそう思うんだよね。


   

 えっ、『簡易アイテムボックス』は、まだ『簡易』なの? これでも簡易って、基準が謎過ぎる。もう、ここもツッコんじゃダメって決めようかな? この(こだわ)りの『元』が知りたいわ。



■簡易アイテムボックス強化版(25/50)■

【追加された項目】

★□野菜庫

★□チルド庫

★□氷温庫

★□パーシャル庫

★□冷凍庫

★□製氷庫

★□資源専用保管庫

★□MP専用貯蔵庫


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 さすが、生活魔法と言うべきか、さすが〈氷〉と言うべきか。冷蔵庫の温度調整による使い分けが可能になった。凄いね。さすが俺。知識と努力の成果です。


★□野菜庫には、野菜や、温度が低いと劣化が進む食材を。約3~8度、湿度は約90%で管理。


★□チルド庫には、乳製品、漬け物、練り製品、発酵食品を。凍結寸前の0度だから、凍らせたくないモノを。


★□氷温庫には、スライスしたお肉やお魚を。凍り始める-1度で、美味しい状態をキープします。


★□パーシャル庫には、お肉や魚介類を。半凍結、微凍結。解凍要らずの約-3度。


★□冷凍庫には、マジックバッグに入りきらない食材を。-60度以下で保存しておきます。業務用ならぬ、ボックス用? 全てが凍り付く世界。記憶にある凍てついた映像がこんな感じ。バナナで釘を打つには、-40度の世界が最適らしいから、それよりも冷えてるね。バナナの皮が欠けちゃったし。


 もう少しくらいなら温度を下げられそうな気もするが、止めておこう。危ない気がする。オイラの思考がね? 戦いで使っちゃダメな気がする。だって寒いのイヤだから。オイラには、スベった時の冷たい空気で十分です。


★□製氷庫は、何気に有り難い。自動的に氷を作ってくれるんだよ。ありがとう。ありがとう。これで食生活は、より快適に。食卓に彩りと笑顔を届けてくれる事でしょう。


 ちなみに、□冷蔵庫には、生鮮食品や常温保存に向かない食材を。3~7度で管理します。


 まあ、マジックバッグに入れておけば時間経過しないから、使い方次第なんだけど、食材をより良い状態で保管する事により、更においしく頂けるようになる訳でして、そこはオイラとハサミは使いよう? 調子に乗せ過ぎないように、うまいことコントロールしていきましょう。



★□資源専用保管庫。これは、あれか、洞窟で掘り進めるのに、アイテムボックス活用してたからか? でも、中には大したモン入ってないぞ? 量が足らないのかな? まあいいや。


★□MP専用貯蔵庫。これも有り難い。前回と同じように、□貯蔵庫をMP貯めるのに使ってたからでしょ? これで、□雷とは別々に貯めておけるから、攻撃も出来て、MP補給のサポート役も出来るって事だよね。うん。凄いと思う。ありがとう。



 じっちゃん! まだ謎は解けないのかな?


「生活魔法王に、また1つ近づいたかも?」



 おし。今度こそ飲み会だ! レベルアップ祭りだ!



  * * *



 じゃかじゃん、じゃかじゃん、じゃーじゃーーん!


 事件です。


 オイラが調子に乗って講演会なんてするからだよ? 違うか。レベルアップ祭りだって、1人で飲んでたからだよ? これも違うか。じゃあ、何なのさ!



 町長が、この町を隣国に売ってやがった。


 国境の町というだけあって、大きな長い壁を抜ければ、別の国。金と地位に釣られて、この町を隣国に譲り渡すつもりだったらしい。はい。死になさい。いや。死よりも辛い報いを受けなさい。


 セバイスさん。まさか、ここまで分かってて、町長には【青い首輪】をはめてたのか? まさかね。そんな事もし知ってたら、もっと大騒ぎしてたはずだし、準備も整えてたはずだ。



 ジャッジメントの件については、町長は、あくまでも『グレー』判定だった。金である程度融通を利かせたり、悪さに目を瞑ったりもしてきたらしいが、まさか、隣国と悪巧みしていたとはね。譲り渡す予定だったから、町の事なんて、どうでも良かったのかもね。目を瞑るだけで余分に金が貰えたんだから、いい小遣い稼ぎくらいに思ってたのかもな。



 でもそのせいで、ジャッジメントの件が目隠しとなっていたんだな。何てタイミングだ。奴隷狩りなんて大問題の糸口が見つかってしまったが故に、団長への聞き取りを優先していたからな。でも仕方ないか。少し罪悪感を覚えてしまったが、そもそも、この件がなければ、町長の件は何も知らずに決行されていた可能性が高かったはずだからな。うん。そうだ。俺が罪悪感を覚える必要なんてないんだ。悪いのは、町長とジャッジメントだ。くそぉ、何かムカついてきたぞ。


 俺の善良な気持ちを、(もてあそ)びやがって。



 町長の金の使い道がおかしかったり、警備を手薄にさてさせた理由は、これだったのか。まさか、この町を隣国に譲り渡すつもりだったなんて。救いようがないな。この国がイヤなら別の国に行けばいいのに。自分の金と地位の為にって。やれやれ。やはり、人間の本質は変わらないのかな。環境次第で何とでも変わってしまう。


 せめて、奴隷制度に反対して、その意思を示すためとか、もうちょっと、それらしい大義は無かったのか?



 今回は、隣国の思惑と、町長の欲望が合致したために進んでいった悪巧みだったようだ。

 



『ソロラモン王国』。奴隷制度に反対している国。奴隷制度を無くす為の活動も行っており、過去に、戦争や紛争を繰り返していたが、戦争で一番犠牲になるのは、その守るべき対象である奴隷であると気付き、争いを止めた経緯がある。


 未だに、各地で衝突、紛争は起きていて、何かと暗躍もしているらしい。恐らく、その工作に乗ったのが、ここの町長という事だ。やれやれだな。


 俺達がいるのは、『ロジアーブ王国』。奴隷制度がある国で、近年は戦争も行われておらず、比較的平和な国として発展してきている。


 商業ギルドによって基盤がガチガチに固められ、商売での新規参入ができない状況にある事から、他国を目指そうと思っていたが、比較的平和で過ごしやすい国であった事は間違いないと思う。まだ1か月程しか滞在していないので、見えてない部分も多いとは思うが、まあ、それ程間違っていないと思う。



 両国が、それぞれに思いを主張するのは間違いではないし、反対もしないが、だからと言って戦争は止めて欲しい。巻き込まないで欲しい。それが単純な願い。


 同じように、町長が何を感じ、何を思って行動に移したのか、そんな事はどうでもいい。俺達を巻き込みやがった。それが許せん。首輪を着けてて、丁度良かったね。争いの種を持ち込んだ報いは受けてもらえばいい。


 1人で突貫させる? 自爆魔法とかないのかな? 悪巧みした奴らの真ん中でちゅどーんって感じ?


 冗談はさて置き、【青の特殊奴隷】だからね。絶対服従で、何でも言うこと聞くんだよね。何させる?



 聞けば、『ソロラモン王国』の軍隊を引き入れ、実質的に町を占領してしまうつもりだったらしい。実効支配というヤツだ。


 計画は1週間後。その後も、この町を足掛かりにして領土を広げていくという、とんでもないモノだった。戦争になる。そういう事だ。上手くいってればね。残念でした?


 計画による軍隊の引き入れは阻止出来ると思うけど、すぐそこまで軍隊が来ている事には変わりない。何があってもおかしくないからね。今後どう動くべきか。


 別にどちらを応援するでもないが、争いに巻き込まれたくはない。やるなら勝手に余所でやってね? あ、俺が余所者だ。じゃあ、早く出て行かないとね。やれやれだ。


 1週間もあれば、戦火からは離れられると思うけど、折角いいモノ作れたと思ったのに。破壊しないで欲しいよね。どうしようかな。うん。やっぱり、みんなと相談だな。



  * *



『第5回これからを考える大人だけの全体会議』を始めます。議題は『これからどう動くか』。



「これもいい機会だ。みんなの考えも聞いておきたいしね。どうだろうか。選択肢は3つくらいかな。


 1つは、軍隊の引き入れには失敗しそうだから、このまま静観。何なら、この町を守るために追い返す手伝いでもするか。


 1つは、奴隷制度には反対だから、あっちの軍隊と合流して、一緒に奴隷解放を叫んで戦うか。


 もう1つは、どんな理由があろうと、国同士の争いには巻き込まれたくないから、全てスルーして、この国から離れるか。


 

 俺の考えは、町の立て直しの手伝いも終わった事だし、ここに留まる理由もない。奴隷制度云々は、正直どっちでもいい。有効活用できそうな事も分かったし、そうでない利用をしている場所もあるかもしれないから、善悪の断定はできない。だから、お逃げって訳じゃないけど、戦争にならない事を祈りつつ、自分達の事を優先すべきだと思う。そう。安心して平和に暮らせる場所作り。それは、ここじゃなさそうだから、早めに離れた方がいいかもね。どうかな?」



「そうじゃの、わしも『奴隷狩り』は許せんが、奴隷自体については、反対でもないからの。この町でやったような活用が出来るなら、尚更なのじゃ。かと言って、この町を守ってやる義理もないのじゃ。おぬしが戦いたくないと言うのなら、そうするのじゃ。ストレス発散に暴れたいという訳でもないからの。事が起きる前に、なるべく離れておいた方がいいと思うのじゃ」


「私は、特に何が出来るという訳でもありませんから。タビトさんに従います。奴隷制度も使い方だと分かりましたので、特に何とも思いません。勿論、『奴隷狩り』は許せませんけど。だから、それで争う必要もないと思います。そんなのに巻き込まれたくないです」


「私達は、タビトさんに従います。国には国の方針があります。それに異を唱える意味はありません。だから私達は、逃げてきたのですから。しかし、そこに大義があるのなら、戦えと言うなら戦います。自分達を守る為なら戦います。どうぞ、判断して下さい」


「はい。その通りです。私達の思いは、争いのない平和な暮らしです。その為なら戦います。こちらから仕掛けるつもりはありませんが、やられる前に行動は起こすべきです。その判断は、タビトさんに任せます」


「「任せるー!」」



「そうか、みんなの考えは分かったよ。ありがとう。じゃあ、セバイスさんに挨拶だけして、この町を離れる事にしようかな。長居しても、いい事なさそうだしね。それでいいかな?」


「ふん。そうくると思ったのじゃ。なら、早々に準備する事にするのじゃ。食料もしっかり買い込む必要があるからの。忙しくなるのじゃ」


「はい。タビトさんが決めた事なら、それでいいと思います。では、準備に掛かります。ミラさん。一緒に行きましょう」


「そうですね。その方が賢明かと思われます。それでは、最後の打ち合わせだけして、『お手伝い』は、お仕舞いにしましょう」


「はい。安心して暮らせる場所作りに力を入れましょう。私も、最後の打ち合わせは、しておきたいと思います。最後ですからね」


「「お逃げー!」」



 さてと、なら、セバイスさん見つけて、お別れの挨拶でもしておきましょう。お世話になったし、お世話もしたし、いい関係だったと思うからね。


 結局、大人用おむつは、自分で作らないと無いな。お世話にならずに済んで良かった。はっ、これこそフラグか? 最後にしでかしちゃうのか? オイラが?


 いや~~!



  * *



 やっぱり国境付近は危ないね。自国だけじゃなく、他国の情勢にも影響を受けるから。平和な世の中ならまだしも、そうでもないみたいだし。やはり、早めにお逃げです。サヨナラ! 元気でね?


 俺の会心の作品となった『地下の秘密基地』いや『数々の地下施設』。どうか大事に使って欲しい。忘れた頃にやってきて、集金するからね? 金利手数はサービスしたけど、毎月の施設使用料は、しっかりいただきますからね。しっかり貯めておいてくださいよ。ビタ一文負けませんからね?


 一撃必殺の〈バルシュ〉で大崩壊しちゃうからね。俺を怒らせると怖いよ? セバイスさん程じゃないですが。〈土〉属性物を問答無用で〈解放〉する俺専用魔法で、定着物にも有効なんだよね。発動中は手を離せないって欠点もあるけど、凶悪な魔法だよ? 自分で登録しといて何だけど。


 ついでに、地盤沈下も出来ると思うよ。ヤバいでしょ? あっちの軍隊の方が可愛いかもよ? 敵対するつもりはないので、安心して下さい。せっかく作った大事な我が子です。大事に育てて下さいね。金の()()()ですから。



 え? 何ですと?



『領主さん』だそうです。初めまして、こんにちは?


 えっ? 初めましてじゃないって?


 うっそーん。オイラの嬉し恥ずかし『講演会』聞いてたの?


 いやーん。



 もう、帰りたい。どこに? ……





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ