表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/47

検証タイム おまっちぃ お待たせ



 セバイスさんから貰った『小さな箱』。中身は、思った通り『指輪』でした。俺が指輪持ちだと判断して、渡すべきモノだと用意してくれたらしい。なんていい人。怖いけど。


 デザイン、色、共に以前のモノと同じモノ。シルバーのシンプルなデザインで、装飾などはない。何のチカラかは、『着けてからのお楽しみ』なんだそうだ。それでも、俺の反応がいまいちだったから、少しがっかりしていたかな。


 いや、その小さな箱を見れば、あー、それ、指輪が入ってる、パカッと開くヤツだなって、分かるからね? オイラじゃなくても、気付くと思いますよ?


 次こそは、思いっきり驚かせて差し上げましょうと意気込んでいたんだけど。もう流石に次はないのでは? 無理矢理作ろうとしてないよね? 言えないけど、格好いいとは思うけど、マジで怖いんだよ? トイレ近くなっちゃうんだよ? いい歳してさ。はっ。もうそういう年齢なのか? 介護用オムツ売ってないかな? 備えとして? セバイスさんに会う時には必要になるかもしれないからね。あー。やれやれ? よっこいしょ。



 貰ったからには、装着しないなんて、あり得ない。着けますよ。ちゃんと着けます。でも気合いが必要なんです。だって、あのセバイスさんからの贈り物。普通じゃない気がしてなりません。おいらデリケートなんだよ?


 ふー。よしっ。はめてみますかね。


 ちなみに、アイテムボックスの表示では、『強化の指輪』だってさ。だから、強化してくれるんだよ? 俺ってば、これで憧れのムキムキバデーを手に入れられるんだよ? でもムキ過ぎてもイヤだからな。悩ましい所なんだよね。



 グッと軽く押し込んで、左手中指に並べて装置。前回と同様に、スーッと指輪が調整されてピッタリフィット、同時にポワーンと暖かい光を放ち続けた。



「はい。ありがとう。これで3回目。またかぁ! とはなりませんよ。オイラも経験して成長してるんだ」


 その光は全身を優しく包み込み、暫しばらくすると消えていった。身体が温かい。


 指輪が合わさって1つになり、色が、『青』っぽくなっている。やっぱりそうだったんだ。魔石のランクと同じ考えで良かったんだ。という事は、次は『黒』なんだな。よしよし。いいぞ。

 試験の答え合わせに、全問正解した気分だ。何の試験かは内緒。またの機会に? まだ1つだけだけど。この調子なら他のも当たってる可能性が高いぞ。ふふん。


 あ、でも、憧れの、すっきりムキムキないすバデーに強化される訳じゃなかったか。知ってたけど、ちょっと期待したオイラもいたんだよな……


 気を取り直して、まずは、『ステータスブック』だな。

 ……よっと。


★はnew 投稿後に追加されたもの

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

『生活魔法』

 《火》《水》《土》《風》

 《光》《雷》★《闇》

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 増えてるね。そうだよね。それだけだよね。お約束だったね。また検証しろって事だよ。知ってた。



 今回は《闇》か。確か『導きの祠』で、2択であったヤツだよね。プレートに『《闇》カーテン、精神耐性、MPドレイン』ってあったはずだ。オイラ記憶力だけはいいからね。こういう時に役に立つ。執念深いなんて思ったら負けなんだからね。おえ。



 生活魔法で言う所の〈闇〉だからなぁ。オイラはもう、過度な期待はしていない。〈闇〉は、光のない状態とはいえ、〈光〉で照らしてやる事はできるはず。そこは、大好物の検証あるのみであります。


『カーテン』は、やっぱり窓際に吊す布って感じでいいと思うし。間仕切りとしても、装飾用にいろんなデザインがあったりするんだろうけど、『闇』だからね。あくまでも、黒一色。出来ても、薄くしたり、濃くしたりするくらいかな?


 レースのカーテンから、分厚くて、光、音、熱、紫外線まで(さえぎ)るような高性能のカーテンまで。保温、撥水(はっすい)、防炎素材のモノ、ミラー機能なんてのもあったよね。


 外から中が見えないとか、見えにくいヤツ。プライバシーに配慮された機能なんだけど、一般的なミラーレースカーテンは、夜になると、反対に、中から外が見えなくなって、外からは、中が丸見えになっちゃうんだよね。知らないで使ってると、怖いよね。夜に、そのレースのカーテンだけでいると、外から丸見えなんだよ? いや~~。オイラ男だけど、ゾッとするわ。はは。


 でも、ちゃんと、ミラー機能を更に強めた『遮像カーテン』ていうのもあって、昼も夜も、目隠しが出来るようになってたんだよね。


 うん。これは、使えうだな。以前に諦めた、忍術。復活させねばなるまいて。ふはふ。


 今回は、これまでの反省を活かして、ちゃんと《生活魔法》の射程を忘れずに。あくまでも発動起点としては、『手』が基準だけど、そこは、『カーテン』ですからね。いい仕事してくれますよ? 


『影絵』〈陰〉で作ったカーテンに、対象物を〈光〉によって映し出してやる。体の一部でも、全身でもできる。なんなら、武器を大きく見せる事だって可能なはずだ。オイラのハッタリ大作戦。得意な戦術です。ふふふ。これ、昔、よく遊んだけど、今でも結構楽しいかも?


 前回諦めた、〈分身の術〉〈錯覚の術〉。

 両手をおおきく広げたくらいの、狭い範囲であれば、分身させたり、体をブレさせたり、大小の虚像を見せる事もできるはずだ。全部真っ黒だけどね。使うか使わないかは、あなた次第です。


 でもさぁ、陰に影を映したって、陰だよね? なんとなく? うっすらと判別可能? それって、意味ある? お化け屋敷の、お化け役? ふん。いらない。お化けも、お化け役も、関わりたくない。ただそれだけ。だって、怖いじゃないかぁ。



『精神耐性』は、スルースキルを欲しているオイラには、必要不可欠なモノ。ありがとう。オイラはまだ、スルー出来る。しまくって、闇に溶け込んでしまうほどにね……。ふふふ。歩が3つ。スベリ倒しても、もう気にならないのだよ? さらに加速していくのだよ? 堪えられるかな?  君は、オイラの涙を見る……


 いや、そんなに便利なモノじゃない。早速常時発動させてやる。登録してからだけど。


『MPドレイン』は、オイラには、関係ないと思うんだけど? うーん。どうでしょう? 長嶋さん?


 元々は、流出・放出・排出でしょ? ドレインって、液体とかを排出させる排出口。でも、『MP』が付いてるからな。敵の水分とか、血液とか、体力とか、髪の毛とか? それっぽいモノを排出させられたら、凄い怖いと思うんだけど。オイラじゃなくても、それは使いたくはない。ちょーグロいでしょ? うぇぇ。ダメージが入った。想像だけでこれだ。コイツはヤバい。


 あれれ~~? これって、普通に対象からMP吸い取って、貯めておけるよね? オイラアイテムボックスに『□貯蔵庫』持ってるからね。〈雷〉はいつも〈チャージ〉してるから、同じ事だよね? MPも貯めておけそうだ。ふふふ。オイラには使い所がないんだけど……


 あ、またヤバそうな事思い付いた。それを、魔石に注入してみれば? 爆発しちゃうかな? ランクが変化するのかな? うーん。どうでしょう? また、長嶋さん?


 ふんふんふん。また、試そう。オイラには、MPがどれくらい在るのかも分からないから、誰かさんから、提供してもらいましょう。こういう時に、アホアホジャッジメントの皆さんが居てくれたら良かったらのにぃ。残念。


 あ、また行くんだった。奴隷商館に。


 えへへ。忘れてた。いろいろ考えてたからね。しょうがないよね。商館だけに。今更思い出したし。よし。後で、ちょいと抽出してこよう。ちゅーーっとね。おぇ。


 落ちろ! 蚊トンボ! ぐぇっ



〈闇〉こいつの凄い所は、体に(まと)わせた時。闇に溶ける。正にそれ。二カッと笑っても、白い歯も光ません。芸能人は歯が命なのに、オイラは芸能人じゃなかったからね。真っ暗闇です。隠密なんて、生易しいモンじゃない。暗闇と同化してしまう。そんな感じで溶け込んでしまう。やはり、『忍者になれ』と。そうおっしゃるのですな。誰が?


 いかんな。自重していかないと、〈精神耐性〉向上によって、キレは増していないのに、バンバン思考が飛んでくぞ?


 はっ。しまった。まだ発動させてなかったか。抜かったわ。これにてゴメン! 


「★《エフェクト闇》」〈闇〉を纏い、暗闇に同化する。でも今は夜じゃない。存在感がハンパない。黒いモヤが部屋に立ち込めてるからね。




 スルーだ。次は、ツッコミ専用ページかな。ここは、ツッコんじゃダメって決めてるから、見るだけね。


 ……やっぱり。何か称号増えてるし。


★はnew 投稿後に追加されたもの

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【名 称】旅人


【訪問地】旅人の砦

     始まりの町

     導きの祠

     リーレイの町

     サウンの町

     王都ファーダム   

    ★国境の町オデルローザ


【称 号】生活魔法の探求者

     半日で砦を築きし者

     導かれし者

     強化を読み解きし者

     メッセージを受けし者

    ★生活魔法を昇華せし者

    ★毒の征服者


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




 おっ、『簡易アイテムボックス』も順調に強化されてる。

 よしよし。思ってた通りだ。オイラの推理もなかなかのモンだ。こんなに嬉しいことはない。オイラにはまだ、帰れる場所ができるかもしれないんだ。自分次第だけど。みんなで作っていくんだから。


 項目まで増えてるし。これでもまだ『簡易』なの? そこには、まだ(こだわ)るのね。


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


■簡易アイテムボックス強化版(16/40)■

□クローゼット

□靴箱

□パントリー

□冷蔵庫

□食器棚

□キッチン用品

★□書庫

★□美術品保管庫

★□物置→倉庫

★□魔石保管庫

□貯蔵庫

★□雷専用貯蔵庫

□武器庫

□財布

・旅人の小屋

・旅人の生活小屋


■ゴミ箱■

 空

 ―――――――――――――――


(『ステータスブック』)使用中


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『□物置』は、★『□倉庫』になってるんだね。確かに、『物置』から『倉庫』だから、強化された感じがするけど、そこが拘りなんだね。沢山入るならいいや。うん。ありがとう。


 何か、俺の持ち物を考慮して『強化』されてる気がしてならない。有り難い事なんだけどね。★『□書庫』★『□美術品保管庫』★『□魔石保管庫』なんて、正にそうだし、ジャッジメントから頂戴したブツが収納されてたからだよね?


 しかも、□貯蔵庫まで、★『□雷専用貯蔵庫』が新しく増えてるし。凄いよね。ほんと俺は、どこに向かって感謝すればいいんだろうか。謎だ。


 じっちゃん! お願い! 名に懸けて解いてみて!



 流石に、旅人の小屋と、旅人の生活小屋だけは、仕分けられなかったけど、他の物は仕分け完了。随分余裕ができた。もうスッキリ。またしても、使い勝手が強化された。名前は変わらないのにね。何でだろ?


 でもありがとう。これからきっと必要になるチカラだ。『理想の場所作り』頑張ります。


「生活魔法王に、俺はなれるかも!」



 おし。飲み会だ! レベルアップ祭りだな!

 違った。また、奴隷商館に行かなきゃだった。みんなと一緒にお昼食べようと戻ってきたんだった。また遅くなると心配掛けるからね。


 このまま飲んでたら、ぶっちぎる所だったよ。危ない危ない。これは、命の危険がある問題だったからね。セバイスさん恐ろしや。登録はまた、朝の妄想の時間にでも改めて行うとして、ぼちぼち行きますか。墓地じゃないよ? まだ死にたくないからね? やめてよ、セバイスさん。



  * *



 セバイスさんに、この町の立て直しの手伝いを依頼された。町長をはじめとして、抜本的な構造改革をやっていく必要があると。


 それって、よく政治家が言うヤツですな。自分達を差し置いて、『抜本的』という、具体的にどこを指しているのかよく分からない言葉を使い、その場を誤魔化す。みたいな? 結局また、同じ事の繰り返し。『アタマ』もそうだけど、それを取り巻く連中も一掃しないと無理なんですよ? ガッチガチに固められたお金の流れ。人の欲望。皆殺しにするくらいの覚悟はありますか?



 コンサルティングは、上手くいっても、いかなくても、誰かに恨まれる事が多いから、決して割のいい仕事とは言えないっていうのがオイラの見解。経験者談。



 だから、多分無理だと思われるような条件を提示してみた。


 俺の顔、名前は一切出ないようにする。これまでの関係者には、基本的に【緑】でいいので、隷属の首輪をはめてもらう事。掛かった経費は、勿論精査してもらい、基本的にはそちら持ち。日々の対価はいらないが、成功報酬として、俺が驚くようなモノを提供してもらう事。以上。


 ね。無理でしょ。だから、諦めて下さいね。


 まさかです。


「はぁっ、はっはっは! そんなに表に出るのがお嫌いですか。まあ、分からなくもないのですが、それはそれで面倒な性分ですな。ですが、そんな事でよろしいのですか? 難しいのは、貴方が驚くようなお品くらいですか。


 ふむ。まあ、何とかなるかもしれませんな。既に、いろいろと手配しておりますので。では。こちらとしては、その条件でお願いする事に致しましょう。早速ですが、よろしくお願い致します」



 うっ。マジですか? そこまでやれるの? やっちゃうの? 知らないよぉ。オイラ。基本的に部外者として、指図しちゃうんだよ? 厳しいよぉ。オイラ。容赦しないからね。これまで悪行を重ねてきたような奴らなら、尚更だよ? 一度やってみたい事も沢山あったし。最悪、本当に皆殺しになっちゃうかもよ?


 でも、確かに、『首輪』があるならやれそうだしな。最悪は、顔出ししないなら、お逃げできるし、【青】の首輪まで用意する覚悟があるって言うのなら、いいのかな?


【青魔石の特殊奴隷】。名前こそ『特殊』だが、その実『絶対服従奴隷』。想像通り、怖い契約。死を前提とした『契約』で、戦争時や死刑執行の代わりに結ばれるモノ。自我が保てなくなる事もあり、『奴隷商の腕輪』でも『開放』できない。


 俺への気遣いなのか、そこまでして変えていきたいと思っているのか。でも、それ着けちゃったら、もう『解放』できないんですよ? そう聞いてますけど? あなたから。セバイスさん。あなた本当に何者ですか? いろんな意味で怖いです。大人用おむつは、まだ手に入っておりません。大惨事が目の前にっ!



『次こそは、思いっきり驚かせて差し上げましょう』って、マジでそのつもりだったんだね。『既に、いろいろと手配しておりますので』って、ブレないね。流石です。



「これから一緒に旅立とうとしている仲間もいますので、一旦持ち帰って、相談させて貰ってもいいですか?」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ