プロローグ
「それじゃあ、今後の話をしようか」
休憩を挟み、再開した最初の話がこれだった、頭の整理が済んだとは言えそれなりにハードな内容は勘弁して欲しい
「残りの話は後これだけだからもうちょっと我慢してね」
「俺は生き返る事が出来るのか?」
「それは無理、一度死んだら、戻ることは出来ないの」
「そうなのか…」
何となく、無理だということは予想していたからか、思っていた以上にダメージは小さかった
「生き返ることが出来ない代わりに、君に別の世界をプレゼントしてあげようと思うんだけど、どう?」
「別の世界?」
「そう、君達の言うところの転生ってやつ」
…いきなり、転生と言われると、案外反応に困ってしまう、一応生きている時には、転生する話なんかはよく読んでいたが、実際現実で言われると、どうにも反応しずらい、やはりこれは夢なのではないだろうか
「これは現実だよ、夢じゃないよ」
「とは言っても、いきなり転生って言われてもな…」
「とりあえず、話を進めるよ、いい?」
「ああ悪い、進めてくれ」
「それじゃあ、進めるよ、まず君が転生する世界の説明からするね、君に転生してもらう世界は、魔法が存在するんだけど、そのレベルはとても低いの、わかりやすく言うと、メラとかヒャドとかしか使えないみたいな感じ、一部の人たちはメラミレベルまで使えるけど、その程度あと、その世界には魔物が生息し
ていて、町を襲ったりすることもあるみたい」
魔法のレベルがすごい低い事は理解した、しかし神様ですら知ってるんだな、あのゲームの事
「たまに下に降りて、やってるからね、総プレイ時間100時間以上はやってるよ」
「…いや、神様仕事しろよ…」
「意外と神様も暇なのよ?…で何か聞きたいことはある?」
「神様の仕事内容が聞きたい」
「後で教えてあげる」
聞きたい事だらけ過ぎて、どれから聞けばいいかわからなくなってきた
「ゆっくり考えていいよ」
「じゃあ、まず、転生って死んだやつ全員してるのか?」
「そもそも、死んだ人達はここには来ない、もっと下のほうで処理されることになってるんだけど、君は特別に連れてきたから、転生するのは、君だけだよ」
「なんで、俺だけ?」
「君が気に入ったから…次の質問は?」
俺のどこを気に入ったのかすごく気になったが、聞いてはいけないような気がしたので次の質問を考える、
「じゃあ、別の世界ってのには、他には何があるんだ」
魔法以外には何があるのか、国はいくつ存在するのか、そのへんが分かればいいんだが
「魔法以外だと、君が思い描いている通り、剣とかだけど、こっちもそんなに進んでないんだよね、国は大きく分けて3つ存在してるよ」
「その3つってのはなんて名前なんだ?」
「レムリアとメガラニカあとパシフィスの3つだね、その中に町やら都市やらが点在してる感じだね、ちなみに一番大きな国はパシフィスだよ、次の質問は?」
思って以上に国が少ないと思ったが、異世界だしこんなもんなのかな?
しかし、異世界でレベルの高い物は一体何だろうか、魔法もダメ剣もダメ、と言うか一体どうやって町を魔物から守っているのだろうか?
「異世界の魔物はすっごく弱いのだから町を守れてる、最初の町に出てくるスライムとほぼ変わらない感じかな」
なるほど、魔物が強くないから魔法も剣もレベルが上がらないのか
「よくわかったね、その通りだよ」
「だと、したら異世界に強い魔物は存在しないのか?」
「いや、いるよドラゴンとか普通に生息してる、ただ人を襲うことはほとんどないからね」
「そうなのか…」
平和な世界だなと心底思う
「それじゃあ、最後に、今何が欲しい?」
「何が欲しいって何?」
「いきなりは難しかったかな?…えっとね、異世界に行く前に君の欲しい物をプレゼントしてあげる、物じゃなくても、スキルでも、魔法でも、なんでもいいよ」
「なんでも?」
「そう、なんでも」
どうして、メリダはここまでしてくれるのだろう、さっき気に入ったと言っていたが関係があるのかだろうか、と言うか僕のどこを気に入ったのだろうか、今になって疑問が湧き上がってくる
「僕は君が気に入っただから、好きな物を与える、そしてなんで君かは秘密、言ったら面白くないじゃないか」
物を与えるって何だが、家畜に餌を与えるのと似た何かを感じる、まさか…そんな訳ないよねと思いながら、メリダの顔を見ると、ばっちりと目が合う、その瞬間メリダが笑顔になる
「そんなに見つめられると照れちゃうよ、…話を戻そうか、今すぐは決められそうにないからちょっと休憩しようか、あと、好きな物はいくら言ってくれてもいいよ」
「何個言ってもいいのか?」
「いいよ、全部持たせてあげる」
あまりの大盤振る舞いにしばらくの間言葉を失った
さすがに、気に入ったからと言う理由では通らないと言うか心配になってくる、俺は何かに騙されてるんじゃないかと、まあ…騙す意味がないから、絶対に無いと思うんだけど
「深く考えずにほら、ほら欲しい物を考えて」
いきなり考えてと言われても何にしたらいいのかさっぱりわからん
「深く考えなくてもいいんだよ?」
「それが一番難しいんだよな」
この選択を間違えれば、最悪異世界で死んでしまうかもしれないのに
「それじゃあ、君が生きている時に好きだったものは何?」
「生きている時か、ミリタリー関係は好きだったな、よくプラモデルとか作ってたし、一度だけだけど護衛艦も見に行ったことがある、もう一回見に行きたいな…そういえば、死ぬまでに作ってみたいと思ってたプラモ、結局作れなかったな…」
「ふむふむ、なるほどなるほど、他には?」
「他には、アニメとかゲームとかラノベとかも好きだったな、そういえば俺の欲しかったゲーム今週発売だったんだよな、あと確か、今月から見たかったアニメ放送されるんだよな…もうちょっと生きてたかったな」
今になって、やりたかった事がどんどん思い出すな、あれ?おかしいな目頭が熱いぞ?
「えっと、その、なんかごめん」
一度鼻をすすり、気持ちを落ち着ける、一応言っとくと決して泣いてたわけじゃないからな
「いや、でも、目から涙が出てたよ」
「いや、それは涙じゃなく、大粒の汗だ」
「そっか、汗か、まあそういうことにしていてあげる…さて話がそれたけど、とりあえず私が考えたんだけど…聞きたい」
そこでそう聞かれたら聞きたいと言うほかないのだが
「そんなに聞きたい?」
「早く聞かせてくれ」
「しょうがないな聞かせてあげる、…まず一つ目が[兵器召喚]二つ目が[幻獣召喚]三つ目が[魔力無限]四つ目が[超回復]そして最後に[魔法の無制限使用]この四つ」
…一瞬言葉が出なかった、チートとか言うレベルじゃねえもはや、歩く天災と同じレベルじゃねか、と言うかそれならもう[兵器召喚]と[超回復]あと、[魔力無限]でいいんだが
「君がそれでいいならいいよ、最終的には君が決めるんだから」
「一つ質問いいか?この[兵器召喚]って出していられる時間とか制限はあるのか?」
「まあ、せいぜい五日間かな出せて、それ以上だと、形を保てなくて崩れちゃう」
「それじゃあ、火力面では何も制限を受けないのか?」
「それはないよ、動かす時も足りない人員は召喚したときに一緒に召喚されるようになっているから心配いらないよ、操縦に関しては送るときに直接流しこむから心配しなくていいよ」
そうなると、車両の召喚は気兼ねなくできそうだ、それだけじゃない攻撃ヘリや輸送ヘリも召喚出来るのか、それじゃあ何か足りないからあれを付け足すか
「なら、あと一つ付け足していいか?」
「いいよ、何を付け足したいの?」
「[部隊召喚]も頼む」
「了解…はい、付け足せたよ、しっかしこんなスキル構成は今まで見たことがないよ、これからが楽しみだ」
「俺は、これから恐怖でしかないがな」
実際、足が小さく震えている、これからどうなるか考えたら怖くてしょうがない
「まあ、一応転移先は私の別荘にしてあるから、転移早々襲われるって事はないと思うよ、それに別荘には外部からの侵入を防ぐシールドを張ってあるし、私に直接つながる電話も置いてあるから、大丈夫だと思うよ」
さすが、神様の別荘である、ただその一言に尽きる、と言うか、その家に引きこもっていればいいんじゃね
「でも残念ながら、食料があと一日分しかないんだよね」
「…なんで、そんな高性能な家で食料だけがないんだよ!」
「聞きたい?」
…こいつ、わざとなくしてやがったな
「人聞き悪いな、そんなわけないじゃん、…とりあえず、もうそろそろ、異世界に転移する時間だよ」
「あっ逃げた、まあいいや、でっ、俺はどこに行けばいい?」
特に魔法陣らしい物は一切見当たらないが、取り合えず席から立っておく
「そこに立っててくれたらいいよ…それじゃあ、いくよ{我の名を持っ転移を命ずる}」
呪文らしいのが聞こえた瞬間、部屋が光り出した、その光はどんどん強くなり、目を開けていられないほどとなる、たえられず目を閉じた瞬間、体が浮く感覚があった、時間にしたら多分1秒も無いとは思うが、その感覚は無限にすら感じられた、やがて浮遊感が無くなり、地に足を付けている感覚が戻る、意を決して目を開けると、そこのはさっきまでいた部屋とは全く違う部屋に出ていた、ぱっと見窓は見当たらないし、さっきまでの豪華な感じが全くしない、床は綺麗な木目が入っていて、壁は白く塗られている、さっきまでいた部屋とは違って、落ち着いた感じがする
「…ここは、そうかメリダの別荘か…とうとう俺は異世界に来てしまったのか…これからどうしようか?」
最初は何をすればいいのか、わからないが、取り合えずこの家の探索から始めようか