4
「よし、お前、ウチの店で働いてくれ」
「よろしいでしょう、ただし代償……え?そんな願い?」
私は思わず聞き返してしまいました。
「えっと、大金とかそういう」
「別に必要ない」
「異性にモテたいとか」
「色恋してる暇はない」
「権力が欲しいとか……」
「俺が今一番欲しいのはアルバイトなんだよ!」
これは予想外です。ですが思っていたよりも簡単な話になりそうです。
「分かりました、あなたの元で働くという願いを叶えましょう」
「よし早速だが、明日から来てくれよ」
「えっと、明日、ですか」
「なんでも願いを叶えてくれるんだろ」
「た、確かにそうは言いましたが……」
そもそも何をやらされるのだろう。
はっ、そういえば先輩が言ってました。
『人間にはいかがわしい事を求めてくる者もいる』と。
なるほど、やっぱりお前も人間なんだな。私は騙されませんよ。
「ところでさ、名前は」
「私のですか」
「君以外に誰がいるんだ」
「それもそうですね、私はアリーです、悪魔です」
「はいはい悪魔ちゃんね、俺は竹中、まあ働くわけだし店長でいいよ」
「悪魔ちゃんではありません、アリーです店長」
「はいはい」
この人間、私の事、実は信じてないのではないでしょうか。まあいいでしょう。代償はしっかり頂きますので、それまでは働いてあげるとしましょう。
こうして私は店長のお店で働く事になったのです。あっ、結局代償の話はしてませんでしたが、まあ、そのうちお話しすることにしましょう。