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上に行けないなら、下に行けば良いじゃないか?
エロい人は、たぶん、そう言いました。
うん、結論から言えば、上が鬼畜なら、下は無理ゲーだった……。
上にも逝ける、下にも逝ける……が、正しいとは、どういうことだってばよ!?
―――
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上層の攻略が困難だと判断したオレは、とりあえず下層の攻略を進めることにした。
ココが山中や塔の中で、想定通りに2Fだとすれば地上に出れる。
地下迷宮の名の通り、地下だとしても、地上へのワープゲートとかそう言った脱出口が有る可能性は否定出来ない。
そんなわけで、敢えて意気揚々と元気よく階段を下ったは良いが……。
そこに有ったのは……所謂、ボス部屋だった。
中ボスか大ボスか、それともタダの固定モンスターか、詳細は不明だが、ソコにヤツは居た。
階段を降りた先にあった、大広間に降り立つと……部屋の床全体に巨大な魔法陣っぽい図形が浮かび上がり、結界のようなモノを創りだした。
そして、少し離れた先に異様な存在感を放つ大きな彫像が、ギシギシと軋みを上げながら動き出した。
生きた立像は、動きは鈍く、歩みもトロいが……パワーだけはあった。
似たタイプだが、オークとコイツとでは、決定的な違いが有った。
見た感じと、槍を突きつけた感触と音から判断するに、こいつは青銅製の動く石像だ。
それはつまり、手持ちの武器では文字通り、歯がたたないってことだ。
虎の子の紋章入りの剣なら傷を負わせるが出来るかもしれないが……削り切る前に、剣が折れるであろうことは想像に難くない。それは、あちらこちらに散乱している先駆者が残したであろう残骸が、物語っている。
ダメだ、完全に手詰まりだ……。
無駄なあがきとばかりに、ゴーレムの横をすり抜け、先に続くであろう扉を開けようと試みたが……鍵穴どころか、ドアノブすら無いので開けようがなかった。
逃げようにも、謎のバリアーによって、封鎖されて帰れない。
しばらく逃げ惑ってたが……スタミナが尽きて追いつかれ、オレは壁のシミと成り死に戻りした。
規定通り、部屋に戻された後。オレはノートを開き下層……便宜上1Fで体験した内容を書き記す。
コレはアレだ、ハンマー系。それも青銅ではなく、鉄。出来れば鋼製の武器がいる。
もしくは、魔法だ。
物理防御の高い敵は、魔法攻撃で対処するのがゲームではお約束だからだ……。
まあ、これがゲームのように“攻略法”が存在するか……攻略出来るように作られてるか怪しくはあるが……それを言い出したら、絶望しか残らないので考えないことにしよう。
いずれにせよ、下層の攻略は現時点では不可能なのは間違いない。
―――となると、やはり、あの魔窟をどうにかするしか無いってことか……。
ん……とりあえず水でも飲んで一服しよう……って、アレ?
ペットボトルが再出現してない!?
どういうことだ?
……あっ!?
今頃気づいたけど、バックパックも無い!
……まさか、アノ魔法陣のせいか?
慌てたオレは、確かめるためにも、乱暴に斧をつかみとると下層へと駈け出した。