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くっ……殺せ!
―――え? あ、ちょまて!?
え? え? オレ食われるの? 性的な意味で!? ちょちょちょ!? アッー!!
「オレは女騎士でも姫騎士でもねーよっ!!?」
布団を跳ね除け飛び起きる。
弾む息を整え、辺りを見渡す。
見慣れたオレの部屋だ。
だが、隅っこに無造作に積まれた武器が、悪夢は終わったが、真の悪夢は終わってないことを示す。
ふぅ……。
諦めと安堵の入り混じったため息をついて、オレはベットから降り、いつものように装備を整える。
ドアから出ようとして、思い出したように机に向かい。ノートを開き筆記用具を取り出す。
前回のチャレンジで分かったことを整理しよう。
上の階層。便宜上3Fとするが……ソコはこれまでいた2Fとは違うようだ。
壁などの作りは大して変わらないが、構造が根本的に違う。
具体的に言うと、外周部はこれまでと大差ない、広いようで狭い通路だが。
内部は、かなり広い空間があり。さらに天井部分がかなり高くなっている。
そして、その広場は、無骨な作りだが西洋の城。それも城塞とか呼ばれる類の城のような構造になっていた。
城の周りは塀に囲まれ。四方には物見櫓が立ち。
外から観察した限りでは、5階建てのようだ。
そして最悪なことに、上の階に続くであろう階段は……その城塞の向こう側にしかないようだ。
―――これは困った。
城塞に要るモンスターの構成は、おおよそこんな感じだ。
番犬 コボルト
歩兵 オーク
兵長 ゴブリン
門番 一角の鬼面
騎兵 二角の鬼面
将校 三角の鬼面
意外なことに、オークがゴブリンを従えているのではなく、ゴブリンがオークを従えているようだ。
元いた場所の2Fでは、オークがゴブリンを引き連れてるように思えたんだが……階層によって違うのだろうか?
だがまあ、分からないでもない。
この城塞の構成を見る限り。オーガが主として支配してる区域ならば、恐らく同族か、それに近い立場であるゴブリンが、オークより立場が上でも不思議ではないだろう。
しかしそれ自体はどうでもいい。
総数が多く、組織だって動いているのは厄介だが……これまでのようにトライ&エラーを繰り返せば、いずれ突破できるだろう。
―――お持ち帰りされなきゃの話だがな!
そう、厄介なのは2Fと違ってこいつらは、オレを生け捕りにしようとしてくる。
理由は……娯楽だ。
捕まって連れられた部屋を見て、オレは絶望したね。
どうみても人間としか思えない男女が、様々な意味で……オモチャにされてたのだから……。
オレ以外にも人間がいた喜びや驚きもあったけど、それどころじゃなかった。
どうやら、ゴブリンの中に、魔法を使えるタイプが要るようで、そいつが、傷の治療をすることで拷問の無限ループが成立してるようだ。
そして今から、オレがそこに仲間入りする……冗談じゃない!?
オレは、最後の力を振り絞って、隠し持っていたカッターナイフで首を掻ききり自害したのだった。
そんなわけで、安易に特攻して捕まった場合。
今回は運が良かったが……自害しそこねた場合……。
ソレを考えると、これまでのような特攻! 玉砕! 大喝采!! を繰り返す気にはなれない。
さあて……マジでどうしたものか?