<52>
結論から言うと失敗した。
魔剣を手にとった時点で、オレの意識は暗転。
予定通りに聖騎士の手によって、死に戻りすることになった。
しかし、何度か検証した結果。分かったことがある。
それは、魔剣を“素手”で装備しなければ、呪われることはないと言う事実だ。
「だからと言って……うむむ、合理的ではあるが……」
「ロマンより実利優先! オレは騎士じゃないし、戦士でもない……勝てばイイのさ!」
見た目がアレなので、聖騎士には不評だったが、写メを見た爺さんは笑った。感心でもなく、嘲るのでもなく……ただ爆笑してた。解せるが解せぬ。
現在オレの両手には、魔剣と魔杖の両方が有る。
しかし、二刀流ではない。
魔杖と魔剣ではなく、魔杖+魔剣である。
素手で触ればアウト。手袋越しでも、手に持てばアウト。
ならば、こうすれば良い。
シーツを束ねた紐とガムテープで、魔杖に魔剣を括りつける。
発想の原点は銃剣だ。
それと、原始的だが合理的な作りでもある黒曜石の槍が大いに参考になった。
呪われない代わりに、魔剣を持つことによる身体能力の向上などの副次的な恩恵は受けれないが……。
頑丈で鋭くて、切られたら生命エネルギーを奪われると言った、刃自体に込められた呪力はキチンと機能しているから、なんら問題はない。
正規に作られた槍と違って、重量バランスがよろしくないが、まあそこは慣れれば良い。
魔杖も呪われた品だが、魔剣と違って精神汚染は無いので手に持つ、土台としても問題はなく。
これは想定外の事象だったが……魔剣と魔杖をくっつけた事で、呪力が増幅されてるっぽいのも朗報だ。
おかげで、魔杖+魔剣……偽装魔槍とでも呼ぶべき、オレの愛用の武器が完成した。
―――見た目はアレだが。
「くっ……認めたくないが、我が聖槍より格上か……!?」
「―――火を放てっ!」
「ぐっ……コレは……避けっ……ぐはっ!?」
聖騎士の槍と、オレの魔槍が激突する。
コレまでだったら、オレが力負け&技負けして、最悪、武器を弾き飛ばされたりしていたが……今は互角だ。
そして、呪力上昇の恩恵も大きく。
魔槍を通してファイアショットを使った場合。
コレまでは拳大で、弾速もそこそこ。小石を投げつけるのと大差ない程度だった魔法が……大きさはサッカーボール並。威力も漬物石を投げつけるのと同じくらいになった。
「今だ! 我は死を呪う、怪我を遠ざけよ―――
―――治癒せよっ!」
「……ぐふっ!?」
さらに、もう一つ。
魔杖の効果に、通して唱えた魔法に“負”の属性を付与すると言った力があった。
それだけだと、ヒーリングを使っても、正負で相殺され回復量が激減するデメリットしか無かった。
しかし、呪いと呪いを合わせた相乗効果……呪力増大により、逆回復とでも言うべき効果を発揮するようになった。まさに嬉しい誤算だった。
ヒーリングの性質上。射程は短く、回復量……もとい、減衰量もソコまで大きくはない。
だが、鎧などの物理的な影響を無視して、直接身体に影響を及ぼせるのは大きい。
ようはアーマー無効&回避不能の攻撃手段となるわけで……オレの中でいらない子だったヒーリングの株が大上がりした。
対アンデットには使えなくなったが……その時は、魔杖を通さずに魔法を使えば良いだけなので、デメリットは実質0だ。
「み、見事成り! ……色々と釈然としないが」
「だが勝ちは、勝ち! ……だろ?
じゃあ、約束通り、先に進ませてもらう」
「……よかろう。騎士に、二言は無い」
こうしてオレは、釈然としない顔を浮かべた聖騎士に見送られ。次の階層へと足を進めたのだった。




