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なにわともあれ。残念女神の会談は無事に終わり。オレは次の階層に進むことが出来そうだ。
女神がオレのスマホを通して話した相手は、どうやら爺さんだったらしい。
詳しい話の内容は知らないが、オレが無事に帰還できるように色々と手を打ってくれてるようだ。
聖騎士も含めて、微妙にポンコツ臭い気もするが……信じるしかない。
「さて、少年よ。剣を取るが良い」
「……え?」
しかし、先に進もうとしたところで、聖騎士に呼び止められた。
どうやら稽古を付けてくれるっぽい。
有りがたいと言えば、ありがたいんだろうけど……意味有るんだろうか?
「賢人殿の準備が整うまでは、先に進んだ所で意味はあるまい?
ならば、我が剣の基礎を教えて進ぜようぞ!」
「……剣の基礎を習うのに、なんでランスを構えてるのかも謎だが。
ソレ以前の問題として、なんで馬に乗ったままなんだよ!?」
「我らは契約時の状態が維持される。意図的に装備を変えたりは出来ぬ
なに、形稽古の手本を示せぬのは残念であるが……。
このままであろうと助言する分には問題はない! 心配は無用である!」
「ええ……」
室内で馬に乗るような脳筋だと思っていたけど、ちゃんとした理由があったらしい。
かなり不安だが、最悪でも死に戻るだけだし、まあいいか……。
「短期間で腕を上げるなら、実践がもっとも良い。
災いも転じれば福とならん。
手加減は一切せぬ! 全身全霊を持って我を打倒してみよ!!」
「ちょっとまて!? 稽古じゃないのかよ!」
「何を言うておる?
今の我如きに敗れるようであれば……この先に進んでも結果は同じである!
死して終わりで無いことを、今は感謝するが良い!
勝機は常に、死線の先にあると心得……全力を尽くすのである!」
「……ああ、要するに死んで覚えろってことか……マゾゲーじゃねえか」
――
―
こうしてオレは、聖騎士に剣を習うことになった。
死んで死んで死んで、死にまくって……自室とココを往復するだけの日々が始まる。
―
――
それから一週間ほど経過して、延々と往復してる内に……ゴーレムをルーチンワーク的に余裕で倒せるようになった。
しかし、何度挑もうと、聖騎士を倒す目処が立たない。
一応というか、毎回毎戦、戦いについて、アドバイスを受けはするものの……。
「ふむ、ソコはソレ。気合で避けるのだ!」
「今のは駄目だ。ソコはこうフワッとだな……」
「違う違う、ソコはこう! えいっ! とやってな……」
肝心のアドバイスが抽象的すぎて訳わからん。
どうやら聖騎士は典型的な天才タイプで、感性に頼った説明しか出来ず。根本的に教師には向いてないようだ……駄目だこりゃ。
しかも、実践を繰り返す内にオレの癖を読まれたのか、戦えば戦うほど勝率が下がっているように思えてならない。
そりゃそうだ、ゴーレムと違って聖騎士は“学習”するんだから、当たり前だ。
お互いに学習して、成長するなら。地力が高い方が有利なのは必定であり、勝敗が変わるはずもない。
あれ? コレ詰んでないか?




