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<45>

 門番が出してきた問い掛け(リドル)の答えは普通に「人間ヒューマン」で正解だった。

 

 ベタなシチュエーションに、ベタなクイズなら、答えもベタで良いんじゃないかと考えた結果だ。

 

 「汝を賢者と認めよう。

  ―――先に進むが良い」

  

 「お、おう……」

 

 正解はしたが、どうにも釈然としない気持ちのまま生返事を返し、開いた扉への中に、オレは足を進める。

 

 入った先は広いホールであり、見上げた際には色とりどりのステンドグラスで飾られ、正面と左右に通路が伸びている。

 

 しかし、中央には白馬に乗った聖騎士(パラディン)立像(スタチュー)がある。

 

 どうせ動くんだろうな……と、オレはため息をつく。


 しかして、実際に立像は動き出すが……それは想定とは異なり。立像に亀裂が走り、内側から閃光が漏れ始める。

 

 「おおっ!?」

 

 パラパラと剥がれ落ちるように崩れた立像から、生々しい白馬の騎士が飛び出す。

 

 「やーやー! 我こそは! 時の女神に剣を捧げ! 神の庭に住まうことを許されし者!!

  ―――主の安寧を祈り! 主の守護を担いし天の使徒である!!

 

 「お、おおう……?」

 

 「罪深き、邪悪なる侵入者よ……断罪を下す! 

  ―――疾く滅びよっ!!」

 

 「は? ……あぶなっ!?」

 

 予想外の展開に頭が追いつかないまま、オレは突き出された騎兵槍(ランス)を間一髪で避ける。

 

 「抗うか……愚かな!

  ―――贖罪と断罪を与える我が剣に抗えば、その分だけ罪は重くなるだけだっ!!」

 

 「ふざけんな! 何処が剣だ! 槍じゃねーか!?」

 

 「……贖罪と断罪を与える我が槍に抗えば、その分だけ罪は重くなるだけだっ!!」

 

 「言い直してんじゃねーよ!?

  ―――エゴ人生(ビィビル)(イムプレ)……」

  

 攻撃を受けたことで、オレは反射的に詠唱を始め。流れるように杖で方陣を描き魔法を行使する。


 「……我が言葉は正された。

  ―――次は、汝の性根を正すとしよう!」

 

 言葉による応酬に続けながらも、相手は攻撃の手を緩める事はなかった。

 しかし、騎槍突撃(ランスチャージ)は、一度避けてしまえば隙だらけだ。

 

 「……よ 嗤え(イルジンテス)―――火を放て(ファイアショット)っ!」

 

 ましてや広いとはいえ、ココは室内。馬を乗り回すには不向きな場所だ。

 

 助走が足りないので突進力は鈍るし、迂闊に突撃すれば壁や柱に激突して自爆する。

 

 言動や対応からも垣間見れたが……もしかして、この騎士、アホなのではなかろうか?

 

 そんな事を考えながら、オレはお馴染みの攻撃魔法を打ち出した。

 

 爺さんからのアドバイスで、魔術戦のコツを聞いた。

 移動すると魔力が霧散するのは、方陣が崩れるからだ。

 

 ならば方陣を崩さずに移動できれば、なんの問題もない。

 

 しかし、それをするには精密な魔力操作(マニュアル)が必要で、魔術師でも無いオレに出来るはずもない。

 

 だが、もう一つ方法がある。

 それが、発動体を使うことだ。

 

 発動体には魔力を一時的に保持する機能があり。それを経由して使えば、方陣は発動体に合わせて移動するようになる。

 

 そして、オレが今持っている杖。コレは当然だが発動体だ。

 

 魔杖としての特殊能力は不明だが、単なる発動体として使えば問題はないっ!

 

 「牽制か知らぬが初級魔術なぞ使いおって……真面目に戦わぬつもりか?

  ―――小童が! 我を愚弄するかっ!!」

 

 迫り来る攻撃を避けながら、カウンター気味に打ち出したファイアショットは、聖騎士の顔面に直撃したが、怯ませることすら出来ない。

 

 まあ真の問題は、オレが使える程度の魔法じゃたいした威力が無いってことだ……。

 

 「違う! コレがオレの全力だっ!!」

 

 「全力? はははっ! ……この程度で全力だと? 巫山戯るでない!」

 

 「ふざけてねーよ! お前こそ、オレ如き子供あいてに本気になるなんて恥ずかしくないのか!」

 

 「ふん! 小童が……だが我を欺こうとしても無駄である!

  姿形こそ貧弱なれど、その邪悪なる気配は誤魔化せぬ……我を舐めるでないっ!!」

 

 剣もない、魔法も通じない。

 このまま避け続けても、打つ手がなければ勝ち目はない。

 

 ―――しかし、どういうことだ?

 

 どうもコイツは、残念な感じだが、騎士は騎士。それも聖騎士だ。

 

 コレが入り口に有ったような試練とかそういった類ならば、戦いは避けられそうにもない。


 だが、どうも違うっぽい。

 

 オレのことを邪悪な罪人扱いしている事から、ソレがコイツが戦う理由だろうと思う。

 

 「何の気配だよ! オレはタダの迷い子。普通の高校生! 一般ピーポーだっ!!」

 

 だったら、オレが邪悪ではない。罪人ではないと釈明できれば戦いは避けられるはずだ!

 

 「はっ! 邪神の祭器である屍蝿の王笏(ベルゼブルセプター)を携えた邪教徒が何を言う!!」

 

 「……え、コレのせいかよっ!?」

 

 オレは思わず手元の杖を見る。尖端に意匠された髑髏がケタケタと嗤う。オレも釣られて力なく笑った。

 

 

 ……さあ、どう言い逃れようか?

 




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