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おれはけんをてにとり、ぜつぼうをもたらすものにたちむかう。
しんたんをさむからしめるりゅうのがんこうに、おれはいくすめられそうになるが―――がゆうきをくれた。
だけど、こまくをゆさぶるりゅうのほうこうが、おれのゆうきをくじく。
こころがおれ、からだがきょうふにしばられうごかない。
りゅうのつめがせまる。
うごけうごけにげたいにげたいしにたくないと、おれはこころでさけぶが、からだはこたえてくれない。
かわりに―――がこたえた。
むぞうさにふりおろされたりゅうのつめを、かみひとえでおれはかわし、みをかがめいっぽふみだす。
たいかくさをりようして、おれはりゅうのふところにもぐりこむ。
きょくげんまでしゅうちゅうされたいしきは、ときをとめたかのようにあたりのじょうけいをせいかくにうつしだした。
れっぱくのきせいをあげ、おれはけんをななめうえにつきだす。
りゅうのむなもとにけんをつきたて、ぜんしんぜんれいのちからをこめてつきあげる。
にぶいかんしょくと、にくにやいばをつきたてるふかいなてごたえにおれはこうかくをゆがめてわらう。
たのしそうに―――もわらっている。
だんまつまのこえと、おやをうたれたこのひつうなこえがかさなって、おれと―――のこうしょうがひびきわたる。
おれはけんをひきぬく。
つらぬかれたりゅうのしんぞうから、おびたたしいりょうのちがふきだし、おれをそれをぜんしんにあびた。
からだがあつい。
しょうりのこうようではなく、ぶつりてきにあつい。
あついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついつついつついつついつついつついつついつついつついつついつついつついつついつついつついつついついいいいいいいいいぃ……。
うるさいくらいにきこえていた―――のこえがとおのく。
どうじに、おれのいしきもとおのいた……。
―――
――
―
ん、ちっちゃらちゃららちゃらららちゃららららちゃちゃちゃちゃちゃらああああああ♪
「は!?」
ひどい夢を見た気がする。
朝、目が覚めて部屋から出ようとしたらソコが何故かダンジョンになっていて、地獄のサバイバルが始める夢だ。
そう、これは夢だ。
窓の向こうが真っ暗闇でも。
ベットの脇に、夢で見た悪趣味な杖と、紋章入りの剣が置かれているが……きっと夢だ。
その証拠に、うるさく鳴っているスマホの着信音が聞こえるじゃないか!
アンテナが立ってないのになぜ通じてるのか? とか、オレは自室にいるのに、着信元が自宅とかは、些細な事よ!
「あーはいはい、オレだよオレ!」
「うむ、ワシじゃよワシ。どうやら無事なようじゃな……」
母でも父でも妹でもない声がだが、これも夢の続き……だったら良かったのに!!
「ああ、現在進行形で悪夢を見てる状態を、無事と言うなら無事なんだろうな……」
「やさぐれておるのぉ……なにがあったかはなしてみるとよい」
それから小一時間ほどオレは爺さんに当たり散らし、愚痴を垂れ流した。
吐き出すものを吐き出して、一息ついたオレに、爺さんは言った。
「アノの魔剣を手にして、その程度で済んだのは幸運じゃよ」
爺さんが言うには、オレが手にした魔剣はかなり性質の悪いものだったらしい。
あのまま持ち続けていたら、精神を完全に乗っ取られていたそうだ。
竜の血を無防備に浴びて死に戻った際に、剣を手放せたのは確かに幸運だと言える。普通なら死んで終わりだった。
しかし、竜を倒せたのは事実であり、竜を倒す唯一の手段でもある。
だとすれば、何とかして狂わされること無く魔剣を使う方法が有れば……。
「ん、何を悩んでおるのじゃ?」
「ああ、何とかして魔剣を使えないかと思ってね」
「なんで魔剣を使う必要があるのじゃ?」
「他に竜を倒す方法が無いからしょうがないだろ!」
「なぜ、竜を倒さねばならんのじゃ?」
「は? そりゃ竜を倒さなきゃ先に進め……な……い……あ!?」
「ふむ、気づいたようじゃな。たぶんじゃが、その階層に門番はおらん」
「…………」
よくよく考えれば、財宝の有った場所は行き止まりだ。
あそこに居た赤竜は、お宝の番人であって、次の階層にいくために倒さざる得ないボスじゃない。
宝に目が眩み、そんな単純な事を忘れるなんて……我ながらアホ過ぎる。
そんな感じで、爺さんに礼を言ったあと。
オレは赤竜の巣である9Fに再挑戦して、竜を迂回する形で突破したのだった。
余談ですが、作中の着信音は、国家と称される有名RPGのオープニングテーマのつもりです。




