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<30>

 「誰かって……ワシじゃよワシ。お主こそだれじゃ?」

 「そんなのオレに決まってるだろ! オレだよオレオレ!」

 「ふむ、ではオレオレ殿」

 「まて、オレはオレであって、オレオレじゃねーよ!!」

 「むぅ? それはすまんかったのぉ……オレ殿」

 「いやいやいや、オレは一人称であって、名前じゃねーよ! それにお前こそ誰だよ!?」

 「ワシはワシじゃよ?」

 「そうか……ワシはワシさん?」

 「……ワシも一人称じゃよ?」

 

 ―――

 ――

 ―

 

 「……ふぅむ。にわかには信じられん話じゃのぉ」

 「そりゃそうだろうが、嘘は言ってない」

 

 お互い動転していたのか、アホなやり取りを繰り返していたが、話してる内に落ち着き。情報交換することになった。

 

 それで分かったのは、通話相手は真理の塔(ヴェリタス)……よくある魔術師ギルドってとこのお偉いさんらしい。

 

 自宅の固定電話に掛けたのに、見知らぬ爺さんの携帯に繋がったのはミステリーだが、考えるだけ無駄だろう。

 

 お互いに自己紹介した後、オレはオレの境遇を話した。

 ついでに、鬼の砦のこととソコに捕まってる人たちのことも伝えた。

 

 むこうの反応は微妙だ。

 見も知らぬ相手から、いきなり救援要請を受けても普通ならイミフだろう。

 

 しかも所在地不明で、助けようにも何処にいけば良いかすらわからないとくれば、反応が微妙でも仕方がないと思う。

 

 だが、こっちは必死だ。

 何せようやく垂れてきた蜘蛛の糸だ。プチンと切れる前になんとかしなくちゃいけない。

 

 幸いなことに、相手は温厚な人物らしく。動転して支離滅裂になりがちなオレの説明をちゃんと聴いてくれている。

 

 ああ、涙が出そうだ……いや、出てるな。自分でわかるくらいに鼻声になってるし……。

 

 それからしばらくオレは、爺さんと話をした。

 

 いくつも質問され、いくつも質問をした。

 

 「死んでも復活する……と、それは稀有な現象じゃのぅ」

 「ほうほう、学生とな? ふぅむ……」

 「なあに、親御さんや妹君は無事じゃろう……根拠はあるぞ? それはじゃな……」

 「……なんと? そうか通路が崩壊して……」

 「ふむ、それはオーガじゃな。概ねその認識で間違ってはおらぬ」

 「ほむほむ……それは不可思議な現象じゃな……じゃがこうして話ができるのも事実じゃな……ふむ」

 「うむ、よいぞ。ワシはその道のエキスパートじゃからの……ふむ、それは魔法印(ルーン)じゃな。

  見ただけで意味がわかるとは、実に便利じゃ……羨ましいのぉ」

  

 そうやって長々と話をしていると……アラートが鳴り始めた。

 

 ―――電池切れだ!?

 

 不味いと思うも、無情にも電源が落ち。辺りは静寂と暗闇に包まれた。

 

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