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ざんねん!! わたしの ぼうけんは これで おわってしまった!! てれれんてんてんてんててててれ……。
「……じゃねえよ!?」
オレはベットから跳ね起きた。
知ってる天井。
知ってる家具。
知ってる部屋。
「……ああ、夢か」
そりゃそうだ、いくらなんでも有り得ない。
自室の部屋の外がゲームみたいなダンジョンになってるなんて有り得ない。
あーそうか、携帯小説読んだ影響か!
どうりで変な夢を見たわけだ……くきゅぅるる……安心したら腹が減ってきた。
―――台所に行けばなんかあるだろ。
妹にお菓子を分けて貰うのも悪くないな……ははっ、しかしなんて夢みたんだか……。
ベットから降りて立ち上がり、ドアノブに手をかける。
……大丈夫だよな?
「ほーら、ソコに有るのは見慣れた風景画と廊下が……ねーよ!? チクショー!!」
無情にも、開いたドアの先に広がる廊下は―――見知らぬ廊下だった。
――――
―――
――
見知らぬ廊下に絶望してから、三日経った。
分かったことも3つ。
部屋の外は迷路。それもモンスターの徘徊する、ゲームで言うダンジョンに酷似してるってこと。
部屋に電気は通っているが、電波は届いてないってこと。
そして……“死んだら部屋で目覚める” ……ってことの3つだ。
モンスターに殺されようと、自殺しようと、たぶん餓死しようと、ベットで目が覚める。
死に戻り上等の覚えゲー。
無限地獄。
孔明の罠。
冗談じゃない状況に絶望しても、変化は無い。
何もしなくても死ぬだけどころか、死んでも終わらない鬼畜仕様。
しかも、腹は減るし、喉も渇く。
死ぬたびに体調はリセットされるっぽいが、だからと言って死にたくはない。
なぜなら、文字通り……“死ぬほど痛くて、死ぬほど苦しい”からだ……。
三日経ち、死亡回数も二桁を超えた今、さすがに落ち着いた。
諦めたとも、開き直ったとも……狂ったとも言えるが、些細な事だと切り捨てる。
異世界入りか、ゲームの現実化か、それとも秘密結社の陰謀か知らないが……上等だッ!!
「この現実! 意地でもクリアーしてやるぜ!!」
押し入れに仕舞い込んで放置してた金属バットを引っ張りだし、軽くスイングする。
何度か素振りをして、イメトレした後。
イケる! っと、満足したオレは、意気揚々とドアを開き、そろそろ見慣れてきた廊下に、足を踏み出したのだった。
―――その直後。
不意打ちでゴブリンを葬ったのは良いが……勝利に浮かれ、罠を踏み。床から飛び出した槍に串刺しにされ……オレはあっさり死んだ。