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<27>

 万魔殿(パンデモニウム)

 

 666万の軍勢を率いた魔王の残した遺跡であり……数ある迷宮の一つにすぎない。

 

 迷宮の規模自体も、他の大迷宮と銘打たれた遺跡に比べれば小規模と言えるだろう。

 

 しかし、それでも特殊性及び、攻略難度の高さは随一であり。勇者すら攻略を断念した事からもソレを疑う余地はない。

 

 もっとも、勇者でなくとも、一介の冒険者(ヴァンガード)であろうと迷宮の現状を知れば攻略は不可能だと断言するだろう。

 

 迷宮を攻略するには、迷宮に挑むには方法はどう有れ、内部に侵入する必要がある。

 

 裏を返せば、侵入出来なければ……攻略以前に挑戦すら許されなければ……ソレは不可侵と言って良い。

 

 「ふむ……やはり難しいか……」

 

 「いえ、老師様。介入には成功しております」

 「姉弟子よ、途中で遮断(シャットアウト)され……予定の半分も書き換えていないのだ……成功とは言えない」

 「末弟、現状報告せよ」

 「了解。術式を再解析します……コードネーム“ジューダス”の存在を確認」

 「了解した。目標(ジューダス)精査(スキャン)を開始する……分析失敗(error)。ダメです拒否されました」

 「位相を落とし、精査をやり直します……分析成功《success》。旗印(フラグ)反転(リヴァース)を確認しました」


 「……軍旗(バナー)の改竄は成功したか……ならば、最低限の目的は果たせたのぉ……ふぅむ、良し一旦、帰還するぞ!」

 

 「「「「了解」」」」


 実のところ。万魔殿は、攻略難度はさほど高くはない。

 万魔殿の名に相応しい特殊性として、多種多様の魔物(クリーチャー)の存在が確認されているが、勇者にとっては脅威ではなく。

 一般の冒険者から見ても、危険性は高いが、攻略不可能と断じる程の存在は確認されていない。

 

 ―――なのになぜ、難攻不落。勇者すら攻略を断念したのか?

 

 答えは単純だ。いかな勇者とて……不可能を可能にするのが勇者と言えども限度は有る。

 

 上層部が完全に崩落し、土砂と瓦礫で埋もれた迷宮を、新たに掘り返し攻略する事など出来ようもない。

 

 否。長い長い時間をかければ掘り返すことも出来ただろうが……勇者に……魔王の脅威が迫った世界に時間など無い。

 

 ならば迷宮の攻略を後回しにするのは必然であり……魔王の脅威が取り除かれた後も、壊された世界の復旧が優先されるのも当然の話である。

 

 そうこうしてる間に時が経ち、勇者は去り。世界も平穏を取り戻し、安定し始めた頃……残された迷宮の存在が浮き彫りとなった。

 

 殆どの迷宮は、勇者の志を継ぐ冒険者……立ち向かうもの(ヴァンガード)と呼ばれる彼らが攻略したのだが……。

 

 ―――今だに、万魔殿だけは、攻略できずにいた。

 

 トンネルを掘り、内部への侵入を果たしても……すぐさま新たな崩落によって無為に帰す。

 転移魔法を使っても、常とは理の違う、閉じた世界である迷宮への出入りは困難であり。なんとか侵入出来ても、脱出は不可能であった。

 

 こうして数多の冒険者が犠牲となり、攻略は中断。されど、迷宮の放置は出来無い。


 迷宮を司る(コア)、それは世界を軋ませる楔。理を歪め、魔を優する唾棄すべき魔法装置(マギウス)

 

 迷宮はソコに有るだけで、世界にとって害悪となる。

 

 各国の首脳陣は会議に会議を重ね。結論を出した。

 

 勇者の仲間であり。世界最高の魔術師に攻略を委ねよう……と。

 

 

 

 

 ―――人、ソレを丸投げと言う。

 

 かくして世界の命運は、またしても一人の手腕に委ねられたのであった……。

 




 勇者「俺の時から、まるで成長していない…………」 AAry

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