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20/53

<19>


 思い浮かべるは永久凍土(ツンドラ)

 ありとあらゆる生命を奪い、世界を銀に染め上げる……究極にして至高、絶対最強と謳われし極死の魔砲。

 

 それが……コレだっ!

 

 

 「―――禁忌(リク)……氷殺ゼット(ライラック) ―――さあ、(エターナル)ふるえるがいい(フォースブリザード)ッ!」


 

 

 しかし、なにもおきなかった。


 


 ブラックな歴史を思い出し、僕の考えた最強の呪文(オリジナルスペル)を唱えてみたが、やはり忘れたままの方が良かったようだ。

 

 くっ……魔法が使えたから、もしやと思ったけど、そう甘くはないか……。

  



 ―――気を取り直し、状況整理を続けよう。

 

<魔法の仕様について>

 

 ゲームで言うMP。魔法使用の資源(リソース)については不明だが、どうやら冷却時間(クールタイム)があるらしく。


 連続して再詠唱(リキャスト)を行っても、一定時間は何も起きないようだ。

 

 しかも、そのクールタイムは、魔法を使うこと、そのものに関係してるらしく。

 同じ呪文(スペル)だろうと、違う呪文だろうと一度使えば、一定時間は一切魔法が使えなくなる。

 

 また、不思議なことに移動しながら詠唱しても、何か……便宜上、魔力(マナ)としよう……が、動く事はなく。魔法を使うには、立ち止まる必要がある。


 ただ逆に、魔法を唱えた後、移動するとクールタイムは消滅し、即座に魔法の再使用は可能になる。


 コレによって、オレが最初に考えた“回復は速いけど、最大値MPが低い”との考えは否定された。


 恐らくだが、場にある魔力的な何かを使って魔法が発現してるのではないか? ……と思われる。

 

 それと現在オレが使える魔法は二つあるが……実質一つと考えた方が良い。

 

 なぜならば、回復魔法……ヒーリングが無意味だったからだ。

 

 そう、使えないのではなく……使う意味が無い。

 

 回復魔法の効果は実体験通りに素晴らしく。

 テストとして、死にかけのコボルトに使ったところ……流石に一回で全快とは行かなかったが、見て分かるくらいには傷が塞がり回復した事が確認できた。

 

 クールタイムもファイアショットより短い様だが、現時点では意味が無い。

 

 なぜ意味が無いかと言えば……術者。つまり、オレ自身に魔法を掛ける方法が分からないからだ。

 

 魔法は描かれた魔法陣からまっすぐに飛び出す。

 

 詠唱を始めた時点で、体の中の魔力が動き出すので、それを剣先なり指先なり、足先なども含めた好きな箇所に誘導しつつ図形を描けば良い。


 描けばよいのだが……描けるのは“外側”だけなのだ。

 

 鏡文字のように、内向きに描こうとしても書き損じ(スペルミス)として扱われ、魔法は発動せずに霧散する。

 

 現時点において、オレは他人に魔法を掛ける事しか出来無い。

 現時点において、オレに仲間はいない。

 

―――後は分かるな?

 

 

 

 ぼっちかよ?!

 

 ぼっちだよ!!

 

 うがあ! ……クソっが!!

 

 元の世界なら、友達くらいいるし! 恋人は……いねえけど……幼なじみはいるぞ!!

 


 ―――これからも良い友達でいようね! って言われたけどな! 義理チョコと一緒に!!

 

 

 

 

 

 なんか、無理して帰らなくても良いような気がしてきた……ああ、でもやっぱり帰りたい……。



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