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思い浮かべるは永久凍土。
ありとあらゆる生命を奪い、世界を銀に染め上げる……究極にして至高、絶対最強と謳われし極死の魔砲。
それが……コレだっ!
「―――禁忌……氷殺ゼット ―――さあ、ふるえるがいいッ!」
しかし、なにもおきなかった。
ブラックな歴史を思い出し、僕の考えた最強の呪文を唱えてみたが、やはり忘れたままの方が良かったようだ。
くっ……魔法が使えたから、もしやと思ったけど、そう甘くはないか……。
―――気を取り直し、状況整理を続けよう。
<魔法の仕様について>
ゲームで言うMP。魔法使用の資源については不明だが、どうやら冷却時間があるらしく。
連続して再詠唱を行っても、一定時間は何も起きないようだ。
しかも、そのクールタイムは、魔法を使うこと、そのものに関係してるらしく。
同じ呪文だろうと、違う呪文だろうと一度使えば、一定時間は一切魔法が使えなくなる。
また、不思議なことに移動しながら詠唱しても、何か……便宜上、魔力としよう……が、動く事はなく。魔法を使うには、立ち止まる必要がある。
ただ逆に、魔法を唱えた後、移動するとクールタイムは消滅し、即座に魔法の再使用は可能になる。
コレによって、オレが最初に考えた“回復は速いけど、最大値MPが低い”との考えは否定された。
恐らくだが、場にある魔力的な何かを使って魔法が発現してるのではないか? ……と思われる。
それと現在オレが使える魔法は二つあるが……実質一つと考えた方が良い。
なぜならば、回復魔法……ヒーリングが無意味だったからだ。
そう、使えないのではなく……使う意味が無い。
回復魔法の効果は実体験通りに素晴らしく。
テストとして、死にかけのコボルトに使ったところ……流石に一回で全快とは行かなかったが、見て分かるくらいには傷が塞がり回復した事が確認できた。
クールタイムもファイアショットより短い様だが、現時点では意味が無い。
なぜ意味が無いかと言えば……術者。つまり、オレ自身に魔法を掛ける方法が分からないからだ。
魔法は描かれた魔法陣からまっすぐに飛び出す。
詠唱を始めた時点で、体の中の魔力が動き出すので、それを剣先なり指先なり、足先なども含めた好きな箇所に誘導しつつ図形を描けば良い。
描けばよいのだが……描けるのは“外側”だけなのだ。
鏡文字のように、内向きに描こうとしても書き損じとして扱われ、魔法は発動せずに霧散する。
現時点において、オレは他人に魔法を掛ける事しか出来無い。
現時点において、オレに仲間はいない。
―――後は分かるな?
ぼっちかよ?!
ぼっちだよ!!
うがあ! ……クソっが!!
元の世界なら、友達くらいいるし! 恋人は……いねえけど……幼なじみはいるぞ!!
―――これからも良い友達でいようね! って言われたけどな! 義理チョコと一緒に!!
なんか、無理して帰らなくても良いような気がしてきた……ああ、でもやっぱり帰りたい……。




