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<15>

 立てたフラグは即回収。

 

 懇親の願いを込めた、人生初の魔法攻撃は、ゴブシャーマンに直撃こそしたものの……あんまり効いて無い。

 

 以前オレが食らった時は、一発で大やけどを負って、痛くてまともに動けなくなるくらいだったが……目の前の相手は、赤く腫れて、少し焦げた程度で済んでいた。

 

 コレはアレか? シャーマン(プロ)オレ(アマ)魔法抵抗(レジスト)の差か?

 それとも、オレの技量や、魔力っぽい何かが、インプより低いだけか?

 

 ―――いずれにせよ不味い。ピンチだ……。

 

 魔法が発動したは良いが……目の前の相手を倒せなかったのはもとより……使うタイミングが拙かった……。

 

 こいつらの人数は一定じゃない。理由は知らないが少なくなった時に試すべきだった。

 

 チッ……オレが魔法を使える者(マジックユーザー)だと認識されちまった。

 

 これまでオレが、五感を潰されなかったのは……同族(ヒューマン)が嬲られる様を見せて、反応を愉しみ。拷問に苦悶の声を上げるのを見て聞いて嗤う……こいつらの悪趣味な嗜虐心のおかげだ。

 

 しかし、魔法を使えると思われたらどうなる?

 

 危険と判断して殺してくれるならば……望むところだが、そうはいかない。

 

 こいつらは、オレが何度でも黄泉帰り(リザレクション)するのを知っているフシが有る。

 

 ―――だったらどうするか?

 

 簡単だ……喉を潰せば良い。

 

 ソレこそ猿ぐつわでも噛ませば良い。

 

 無詠唱で魔法が行使できるかどうかは知らないが……少なくとも今のオレにソレは無理だ。

 

 そもそも、たった今使った魔法すら、マグレだと言われても否定は出来無い。

 

 魔法理論を全く知らない状態で、見様見真似だけで使えたことが、我ながらスゴイと思うが……そんなことは相手には関係ない。

 

 オレが魔法を普通に使えるものとして、相応の対応を取るだけだろう……つまり、詰み、だ。


 

 しかして、ゴブシャーマンの反応はと言うと……予想外にも逃亡だった。


 

 「……は?」

 

 オレは逃げていくゴブシャーマンの背中を唖然としたまま見送る。

 

 たいして効いてないように見えたが……実はめっさ効いてたのか?

 

 それとも驚いてビビって逃げただけか?

 

 

 

 ―――違うな、仲間を呼びに行ったんだ!?

 

 

 これまでの経験上……。

 

 インプとコボルトは臆病で、ゴブリンはアホだが、ゴブシャーマンはバカだ。

 ついでに、オークとゴーレムは間抜けで、オーガは脳筋だ。

 

 しかし、獣よりはマシな……少なくとも、頭の悪い人間(・・)並の知能は有る。

 

 だとしたら時間がない! 早く逃げなくては!? ……しかしどうやって?


 

 ―――先ずは、自由の確保っ!


 

 「―――火を放て(ファイアショット)っ!」

 

 括られた縄を魔法で焼き切る。二度目の魔法も無事成功。

 MPとかリソースどうなってるのか不明だが、今はソレどころじゃない!

 

 ―――良し、これで動ける!

 

 だが、今のオレの状態じゃ、走って逃げるることは物理的に不可能だ……。

 

 どうする?

 どうすればいい!?

 

 グズグズしてたらアイツらが戻って……「ぐぎゃぐぎゃ!!」……きちまったよ!?

 

 クソ、こうなりゃ一人……一匹でも道連れに大暴れしてやるっ!

 

 

 「エゴ人生(ビィビル)(イムプレカ)……うわっ!?」

 

 ヤケになったオレは、無理矢理立ち上がり、強引に詠唱(スペル)唱え(キャスト)ようとするが、途中、何かに躓いた。

 

 「がふっ!?」

 

 受け身も取れないまま、叩きつけられるように倒れたオレは、床にしこたま顎を打った。

 

 そして……喋りながら顎を強打したため、ブツッと舌を噛み切り……オレの口の中が、激痛と鉄錆た匂いで満たされる。

 

 あははっ……結果おーらい、だ……。

 

 呼吸が止まり、薄れゆく意識の中。

 最後に見えたのは、愕然とした目でオレを見ているゴブシャーマンと……悪魔から、オレの救世主(メシア)へと転職(クラスチェンジ)した―――

 

 ―――部屋に転がる使いふるしの拷問用具(ガラクタ)だった。




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