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ねーねーお兄ちゃん、彼女できたって本当? ……あはは、やっぱり?
もう! 勝手に私のおやつ食べないでよ!
だ・か・ら! お兄ちゃんはモテナイのよ!
あれ? どうしたの? ……ぷっ 似合わない服きちゃって! きゃはは変なの!
「ええい笑うな! コレでもブランド物なんだぞ!! 変Tシャツ言うな!!
―――ああ、夢か……」
ちっ……いつの間にかに気を失ってたようだ。
―――状況は変わらない。
気合一つでどうにか出来るほど甘い状況じゃないから当然だろう……。
アレから何時間……いや、何日経ったのか分からないが、状況が改善する様子は無い。
一縷の望みとして、救助隊か何かが助けに来る可能性がある。
囚われているのがオレだけじゃないならば、警察や冒険者や勇者とかが助けに来てくれるかもしれない。
もっとも、ココに囚われているのがオレと同じような状況。
つまり、異世界から拉致された被害者だった場合、救助が来る確率は限りなく低かった。
しかし、残された衣服や顔立ちを見るに、確実ではないが、囚われてるのは、この世界の住人である可能性が高い。
そうだとすれば、この世界の住人は、この迷宮や被害者を放置せずになんとかしようとしているはずだ……。
ならば後は、ただひたすらに耐えれば良い……。
………………って、冗談じゃない!
思考を止めるな!
希望を捨てるな!
有るか無いか分からない救援を待ち続けてどうする!!
仮に待ち続けるにも、現状維持なんて嫌過ぎるっ!!
だが状況は最悪も最悪。
拘束されて嬲られる続けてる今、喩え開放されてもろくに動けやしないだろう……。
もっとも、その場合、早々に自害すれば良いだけなんで問題はない。
そうなるとやはり、最低でも拘束を解く必要はある。
拘束自体は大したことはない。首輪を付けられ、縄で括られてるだけだ。
刃物が有れば容易に脱出出来る。
その刃物も、鈍器や拷問具に紛れて、そこらに無造作に転がっているので刃物の入手に問題は無い。
―――問題となるのは、今のオレに“手”が無いことだ。
比喩的な意味ではなく、物理的に無いのだからどうしょうもない。
手がなければ足で! ……足も無い。
手首足首は潰されてる。真っ先に潰された。
手の届く範囲に無造作に武器を転がしてるのも、拾ったところで使いようがないどころか、拾うことすら難しいと分かっているからだろう……くっ、厭らしい真似をしやがってっ!
今できることは、見ること、聞くこと、考えること……そして、呻くことくらいだろうか?
ははは……どうしょうもねーや……。
ほっといてくれれば衰弱して死ねるものの、シャーマンの回復魔法っぽい何かが邪魔をする。
餓死しようにも、材料不明の糞不味い飯を、無理矢理に食わされ飲まされるので、不可能だ……。
「ぐぎゃぐぐ……ぐぎゃあっ!」
醜悪な面構えゴブリンが、杖を振りかざし……ぐぎゃぐぎゃと呪文らしきモノを唱える。
言葉の意味は、死を呪う事で、怪我を遠ざけ、傷を癒やす事だと、なんとなく分かる。
そりゃそうだろう、もうすでに何十回、何百回聞いたかって感じなのだから、わからない方がオカ……シ……イ……?
―――意味が分かる?
今のオレでも……呻くことくらいは出来る……“発音”は出来る……っ!?




