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歯無しをしよう、あれは今から36万……って茶化してる場合じゃねえよ!?
毛が無くても、怪我は有るって……やかましいわ!?
ああクソ! くだらない事でも考えてないと正気じゃ耐えられん。
―――現在オレは、拷問の真っ最中だ。
もちろんヤッてる方ではなく、ヤられてる方だ。
不幸中の幸いか、性的な意味で食われることは無かったが……物理的には食われた。
鏡がないので正確な現状は不明だが、達磨大師の末路一歩手前って感じの瀕死状態だろう。
だが、杖を持った刺青の小鬼によって、定期的に回復魔法を掛けられてるので失血死を期待するのも無駄だ。
ドの過ぎた痛みは、感覚を麻痺させるとは言うが、それでもやはり苦しいは苦しい。
喉から出るのは叫び声で、ただひたすらに苦悶に呻くことしかできない。
これでは歯が折られて無くても、まともに喋れそうにないし、歯を食いしばって耐えようにも、その歯がないから、どうしょうもない。
視界は霞み、耳鳴りは酷く、頭痛は最早……BGMでしかない。
現状を打破するには、なんとかして死ぬしか無い。
パワーアップに見せ掛けた自爆が無理なら、殺してもらうしかないのだが、挑発しようにも言葉が出せなきゃ意味が無い。
幸いかどうかはわからないが、簡単なコミニケーションなら取れることが判明した。
ぐぎゃぐぎゃ言ってるだけなのに、なんとなく何を言ってるのか理解できるのだ。
もちろん理解できると言っても、大雑把にしか分からないので議論とか討論は無理だろう。
それに知能レベルの問題も有る。
オークやコボルトは幼稚園児以下。
ゴブリンやインプでも、小学生レベル。
これじゃ話にならない。
問題のオーガは人並み。少なくとも、囮を使ってオレを罠に嵌める程度の知能があることが確定しているが、話し合う気は無いらしい。
現にオレを捕らえた時以来、姿を全く見ていない。
拷問の実行役はオークとゴブリンだ。
囚われているのはオレも含めて10人程度。
男女問わず、すでに限界を超えているようで、理性的な反応は全く無い。
このままではいずれオレも、限界を超えるだろう。
……いや、すでに超えているのかもしれない。
自室の外がダンジョンになって、もう一ヶ月近く経っている。
その間にオレがしてきたことは、自分も含めた大量殺戮であり……発狂しない方がオカシイくらいだ。
だがオレは、今だに理性を残している……はずだ。
意図的にテンションを上げ。ゲームだと思い込み。色々と茶化すことでストレスを抑えてきたつもりだったが……。
いや待てよ?
ゲーム? ゲームか! これをゲームだと仮定するなら突破口は必ず有るはず……。
バグやセーブミスでハマったりする事もあるが、大抵の場合は解法が存在する。
霞んだ目を凝らし、必死に耳を澄まして辺りをを探る。
ああ、これが現実逃避だとわかってるさ!
だけど……そうでも思わなきゃ本格的に狂ってしまう!!
探せ……!
考えろ……!
考えることはどうやって死ぬか? ……じゃない! どうやって現状を打破するか? ……だっ!!




