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「はははっ! 何処に行こうと言うのかね?」
何処ぞの大佐と違って3分待ってやるようなこともなく、オレは追い詰めたオークの脳天に、金属バットを振り下ろす。
グシャりと鈍い手応えがして、脳震盪を起こして崩れ落ちたオークに、逆手で持った錆びた剣を突き刺し止めを刺した。
……ふぅ。
さて、これで12体。ゴブリンも含めれば36体を撃破。
―――外周部の掃除は終わった。
もっとも、こいつらもしばらくしたら復活してくるからグズグズはしていられない。
手早くオークが持っていた武器を拾い上げ、ビニール紐で縛って纏めると、肩に担ぎ上げ踵を返す。
「さて、撤収、撤収……と」
オレがなぜいきなり追い剥ぎみたいな真似をしているかと言えば、理由は単純だ。
別に学生から盗賊に転職したとかではなく、純粋に攻略のためだ。
現在オレは、1Fの砦攻略のための下準備をしている。
しかし、実のところ敵を倒すこと自体に意味は全く無い。
敵の数が有限なら、数減らしになるが……こいつらは復活する。
しかも、倒したところで経験値も無ければ、宝物の落し物も無い。
はっきり言って、戦うだけ無駄であり。リスクを負う分だけ損しか無い。
なのになんで、こうやって積極的に狩っているのか?
―――答えは魔法陣だ。
いや、厳密に違うが……ある意味では正しい。
オークやゴブリンをぶち倒しても何も落とさないと言ったが、厳密には違う。
こいつらが身に着けているもの……武装は、ちゃんと奪えるのだ。
しかも、武装を奪った場合……モンスター自身はリスポーンしても、武装はリポップしない事が判明している。
ただし、奪っただけではダメだ。
奪った武装でも、床に放置すると、やはり一定時間でロストする。
その場合、これまでの経験上。再び武器を持った状態で復活することは間違いない。
それを防ぐには、奪った武器を片っ端からオレの部屋に運び込み、補完する必要があるが……無理だ。
オレの部屋は4畳半しかなく、さらに本棚やベットやらで手狭になっている。
武器を大量に保管するスペースなんて無い。
これでは作戦……武器を奪い尽くせば余裕じゃねww? 大作戦が遂行できない。
―――だがしかし!
3Fのボス部屋(仮称 の特殊な仕様によって解決した。
魔法陣の効果なのか、3Fのボス部屋内では、アイテムのボッシュ―っと……もとい、ロストが発生しないのだ!
その仕様のため、最初に散華した際に、バックパックやペットボトルがリポップしていなかったのだ……。
そんなわけで現在オレは、1Fと3Fを往復している。
中に入ってしまうと死に戻りするしかなくなるので、一歩手前の階段の上からのポイ捨てだ。
ゴミ捨て場にゴミを放り捨てるが如く、ボス部屋に奪った武器をポイ捨てしているが……。
部屋の主が動く様子はない。
こうやって、自室にゴミをばら撒かれても、黙って佇む立像の姿が、何かモノ悲しく見えるのは、気のせいだと思いたい……。




