表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/14

2 非リア充 異世界へ割り込む の巻

 前回より文字数がちょぴぴっと増えました。

 五四九ゴージ ダツジ、言葉の誤用の指摘はウェルカムです。

 いいじゃない行進曲は名曲です。

 でも一番好きなのは折笠富美子さん。

 メトロポリタン美術館はしおりちゃんも良いけど、デレマスの小梅ちゃんも甲乙つけ難い。

 そんな思いを込めて書きました(嘘)

  目が覚めると知らない天井、というか知らない絵があった。天井自体がキャンバスになっているようだ。イタリアの有名な教会みたいだ。

 オレは起き上がった。早速、あの二人を見つけた。口をポカンと開けてオレを見ている。オレ達がいる場所は小さな舞台のようになっていて、その周りをたくさんの人が囲んでいた。見回たす限りの魔法使いっぽいローブを着たオッサン、オッサン、オッサン、お姉さん、オッサンだ。皆一様に口をポカンと開けている。


「あ、ありえん!」

「一人と思いきや二人。と思わせておいて、三人だと!」

「後から一人増えるとは、そんな馬鹿な!」

「超ラッキーじゃん!」

「棚からぼた餅ですね!」


 一人が話し出した途端、一斉にザワザワと騒ぎ始めた。しかも、オレ達をじろじろ見ながら。ウザイったら、ありゃしない。


「……何でオダケンが?」

「オダケンくん……なの?」

「ウィッス、オダケンです」


 オレと同じトラックにひかれた二人。

 男の方は多那珂彼方。髪を染めてて、ピアスつけてて、制服を気崩してて、目付き悪くて、危ない噂があって、よく学校さぼってる不良くん。しかも憎たらしい事にイケメン。

 女子は奈川木若菜。大人しくてあまり目立たないけど、かなりかわいい。多分着痩せするタイプ。隠れファンは多いと思う。清楚系黒髪ロング娘。

 そしてオダケンというのは、何を隠そうオレのあだ名。本名をちょこっともじったよくあるあだ名です。結構クラスに浸透してるものなんだなあ。二人からもあだ名で呼ばれるとは、思ってもいなかった。

 それにしても、三人とも性格もグループもバラバラじゃん。上手くやっていけっかねえ。


「オレ達トラックにひかれたはずなのに、どうしてこんな所にいるんだろうな?」


 どうしてか知ってるけど、白をきる。言えるわけないよね、召喚されたなんて。オレは無理矢理ねじこませてもらった訳だけど。

 あ、なんか偉そうなひげのオッサンが近寄ってきた。隣にはハンサムなお兄さんがいる。


「オレ達? お前もひかれたのか?」

「おう。うずくまってたから分からないかもしれないけど、後ろに居たんだよね」

「ウォッホン!」

「田那珂が奈川木を庇っていたように見えたけど、何かあったの?」

「ああ、あれはちょっとな……」

「ウォッホン! エッホン!」

「何? まさか付き合ってんの!?」

「バッカ! ちげーよ!」

「もしそうなら、オレは全力で二人の邪魔をするよ。ギロリ」

「だから、ちげぇって! 睨むなよ」

「ウォッホン、エッホン! ガハッ……ゴホッゴホッ!」


 顔を赤くして否定してくる田那珂。あれ、不良なイメージと違って結構ピュアボーイ? カワイイな。


「あの……二人とも」

「何だ?」

「どうしたの?」


 奈川木がおずおずと話を切り出してきた。


「その……あそこにいる方は何か話したい事があるのではないでしょうか?」


 奈川木は近くで、ハンサムお兄さんに背中を擦られながらむせている偉そうなオッサンを、こっそりと指差す。

 あ~あ。せっかく無視してたのに。田那珂も苦笑いで目を背けている。絶対これはあの展開だよね。ラノベでいう「異世界より召喚なされし勇者様方、どうかこの世界を救ってくだされ!」的なパティーンだよね。


「我々が異世界より召喚せし勇者達よ、この世界を危機から救うのだ!」


 ほうら、言った通り。てかむしろ図々しい。


「あの、ここは何処なんですか? 召喚とか、勇者とか、一体どういう事なんですか?」


 奈川木は状況が飲み込めていないようだ。それもそうだろう。それにしては、田那珂は意外と落ち着いている。

 田那珂がボソリと「ラノベかよ」と呟いた。へえ、そういうの読むんだ。これまた意外。


「この国はリヴィア王国。私は国王リヴィア三世だ。今この国は邪智暴虐なる魔王により、存亡の危機に瀕している。どうか其方らの力を貸して欲しい」

「断る。そんな事より、俺達を元の世界に戻せ」

「え、彼方くん?」


 奈川木が驚く。国王さんの表情は変わらない。


「残念だが、今の我々にはそれは出来ない。しかし、言い伝えによると魔王城の宝物庫に送還魔法用の魔法具があるらしい。それならば帰れるやもしれぬ」

「チッ。事実上拒否権はねぇじゃねぇか」

「や、止めなよ。彼方くん」


 舌打ちをして睨む田那珂、それを宥める奈川木。まるで狼のような凄みがある。奈川木は半泣きだ。ん……名前呼び?

 国王さんは動じない。崩れないパパパポーカーフェイス。


「最低限これは約束してくれ。俺達の衣食住を保証する事。俺達が不安のない強さ、装備になる前に旅立たせたりしない事。信用のある仲間を用意する事。俺達に国内外の情報を渡す事。それと、俺達に人を殺させない事。この五つだ」

「勿論だ」


 国王さんは應揚に頷いた。

 田那珂は「クソテンプレなラノベじゃねぇかよ」と独り言ちていた。


「田那珂、なんだか手馴れてるね。前にもこういう事あったの?」

「あってたまるかよ。その……好きな小説に状況が似てたんだ」

「読むんだ、ラノベ。意外だね」

「まあな」

「ラノベ……って何ですか?」

「ライトノベルの略。サブカルチャーの小説って言えば良いのかな。オタッキーなやつだよ」


 奈川木は分からないのかコテンと首をかしげる。かわゆいなあ。


「失礼します。勇者様方少し宜しいでしょうか。私は王宮魔法十二銃士筆頭のロクロウ・マックイーンと申します。これから皆様に魔法適性の検査及びステイタス魔法の付与を行いますので、一先ずお名前をお伺いしても宜しいでしょうか」


 国王さんの隣にいたお兄さんが、へりくだった態度で進み出た。

 魔法適性の検査及びステイタス魔法の付与か。何だか嫌な予感がする。

 各々自分の名前を言った後、オレ達は新たな部屋に移動した。そこには大仰な鏡が設置されていた。


「それでは、一人ずつ鏡の前にお立ち下さい」


 まずは田那珂からのようだ。

 田那珂が鏡の前に立つと、パシャリという音と共に閃光が鏡面から放たれた。カメラ?


「おお、なんだこれ!? スゲェ!」

「どうしましたか?」

「なになに、どうしたどうした?」

「あの、まずは全員分を終わらせてからで宜しいでしょうか?」

「「「あ、すいません……」」」


 若干興奮した様子の田那珂に詰めかけたら、皆してマックイーンさんに優しく怒られてしまった。ゴメリーヌ。あれ、カミサマのうつった?

 オレ達は粛々と作業を進めた。オレの番の時にピースしたらまた優しく怒られた。ゴメリーヌ……。


「ええと、先ずは皆さんの魔法適性ですが……視界右上のメニューをタッチして下さい。コツは目を動かさない事ですが、スライドすればアイコンを中央に持っていく事も出来ます」


 確かに右下の方にメニューのアイコンがある。それに焦点を合わせようとすると、一緒になって動いてしまう。犬が自分の尻尾を追いかけているような気分だ。

 言われた通り、中央にスライドさせてタッチ。おおお、これは凄い!

 オレの目の前には、パソコンのウィンドウのようなものが広がっていた。操作もスマホと似ていて簡単お手軽だ。これは魔法というよりSFだな。

 その後もマックイーンさんの指示に従い操作を続けた。

 オレの魔法適性はっと……炎属性と聖属性がAランク! 他は全部DとかEか。


「ねえ、二人はどう? オレは炎と聖がAで、他は全部DとかE」

「俺は雷と闇と風と水がS、他はBやCばかりだ」

「私は光と地と木と金がSです。他は全てBやCです」

「あれ、オレだけ待遇悪くね? 二人ともチートすぎね?」

「確かに不思議ですが、Aランクが出るのは百年に一度くらいで大変珍しいのですよ」


 マックイーンさんが慰めてくれた。グスン。


「ところでマックイーンさんの魔法適性は?」

「ロクロウで構いません。私の場合は……光と闇と聖がSSです。他は全部Dですけどね」

「Aって本当に凄いの……?」


 うっそーん。ロクロウさんが一番チートじゃないですかあ。もう魔王退治ロクロウさんがやってよ。

 何だか全体の雰囲気が暗くなった。


「ささ、次はステイタスを確認しましょう。きっとこっちが凄いのですよ」


 ロクロウさんが話題をずらして、空気の回復を狙った。もう不安しかない。


「先ずは俺からな。ステイタスは初期値プラス個人補正って所だろう。俺はSTRが高い。スキルに“体術”ってのと、あと称号に“勇者”ってのがある」

「私はアイエヌティー? が高いみたいです。スキルには“調理”が。称号は彼方くんと同じです」

「INT、インテリジェンスのことだね。田那珂は何で“体術”? 奈川木って料理出来るんだ!?」

「“体術”は……きっと古武術と喧嘩だろうな」

「一応家が料亭なので多少は……。で、でも大した料理は出来ません」


 スキルとして表れるってことはどっちも凄いんだろうなあ。さて、オレのステイタスは……。


「オレはAGIが高いな。スキルは“道化”。称号は……何も無いね」

「「え?」」

「そんな馬鹿な! 確かにあれは勇者召喚の魔法陣だった筈。私が何かミスをしていたのか……?いや、有り得ない」


 ロクロウさんが予想外に狼狽え始めた。二人も驚きで固まってしまっている。

 オレとしてはなんとなく予想はしていたんだけどな。この流れからいくとやっぱりちょっとショックだ。


「で、でもな。こういうのってラノベだと逆に大抵チートになるもんじゃね?」


 オレの場合は『巻き込まれて』じゃなくて、『割り込んで』の間違いだけどね。


「ラノベはよく分かりませんが、称号がないからと言ってこれからの可能性が無い訳ではないと思います」

「ワカナ様の言う通りです。称号は自分の今までの行動で決まります。未来に大した影響は御座いません。だからそう落ち込まないで下さい」

「……グスン。うん、ありがとう。もう大丈夫」


 それにしても、一気に空気が重くなったな。なんだろうこの罪悪感。オレが星座にならなかったせい?

 田那珂彼方くん、通称那珂ちゃんは『たなかかなた』と読みます。

 奈川木若菜くん、通称なっちゃんは『なかわぎわかな』と読みます。

 ただ回文になる名前をつくりたかっただけです。

 意味はありません。

 主人公のフルネームですか?

 “They say who's that guy”. と答えておきましょうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ