逃げ道と思い出。
ひっさし振りの更新です。
大変お待たせしました!!!
そんなことを思いながらセラの部屋へ向かう。
イブレットのサイズの外着は彼の部屋にしかないのだ。
「確か…ここら辺に…」
棚の服を5、6着出してベッドの上に並べる。
彼はスパイだった、それも変装を最も得意とする囮調査のプロだ。
数々の服、メイクの道具、かつら、ほんとうに沢山の物がこの部屋にはある。
防衛術に長けており、双銃を愛用する彼はボクの憧れだった。
王族であるボクは自分の立場を嫌い、逃げてきた。
自らを血に染めて悪へと染めていった。
恐怖などない。ボクに残っているのは暗殺者としての立場と呪われたこの身体だけ。
彼を見つけ出して、幸せになりたいだけなのに。
ボクは道を誤り、もう、二度と戻れない。
戻ることを許されないボクの未来は何処にあるのだろう。
見けられる日が来るのだろうか…
そんな事を考えながら服を選ぶ。
黒いフード付きのマントと外着。
「今日は雪が降るらしい、暖かくした方がいいな」
服をイブレットに渡すと自室に戻り、湯浴みをしてから着替えた。
下に降りてイブレットと合流し、玄関へ。
重たいドアをギギギっと開ける、今日はやはり冷える、息が白く、空は澄んでいる
冬に咲く青色の薔薇が咲き乱れていた。
定期的に庭師を雇ってある、料金は前払い。
イブレットはドアの後ろでモジモジとして出てきたがらない。
『うー』とか、『やっぱり止めに…』とか言ってるがしらない。
引っ張りだすと歩く。
イブレットはボクより背が高いのに肝が小さい。
可愛らしい。彼もそうだ、仕事以外の事ではおっとりとしていてリスやらなんやらに好かれていた。
長い門への道を二人で並んで歩く。
イブレットは辺りをキョロキョロと見ていた。
門につくとギギギギッと開く。
ここは街外れ、この屋敷は廃墟だと思われてるだろう。
しかし壊されることは無い王族の支配地だし、ここらはバケモノが出ると有名だ。
化け物の正体はボクなのだが。
そんな事を思いつつ、門を出ると聞き覚えのある音が聞こえた。