表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Rose, that of loneliness are silver kingdoms  作者: 劉抻(りゅうしん)
孤独の赤薔薇
2/15

奴隷を、自宅へ迎え入れる事にした。

任務の帰りにその出会いはあった。


今、歩いて自分の家に向かっているところだ。


普段は組織の個室に寝泊まりをしているのだが、約2年ぶりに自分の屋敷に帰る事にした。今更庭の薔薇が心配になったからだ。


「ん……?」


『~♪~♪』



マヌケな音楽と共に現れた馬車の男が僕を見つけるとこう言う。


「おっ、イケメンなお兄さんよ一人買っていかないかい?

若者が揃っているぜ?奴隷にするもよし。愛人にしてもよし。

今見せてやるよ。 」


「チッ、」

人身売買か面倒臭いな…それに僕は一応女だ。


「えーと、一人目は…」


長々と男と女の奴隷を売り込む店主。

眉ひとつ動かさない僕に焦りを覚えたのだろうか。


「あ、こ、こいつはどうでしょう!?青髪の若い男!愛人や労働者にいかがでしょうか?!色白の肌、このガラスの様な緑!素敵でしょう?!」


ガタガタと震え、目には光を宿さず、脅えきっているその奴隷が顔を上げた瞬間。僕は息を飲んでしまった、


似ている、これ以上に無いほど彼に似ているのだ、

数年前連れ去られたフィアンセのセラに、

あの柔らかなグリーンの瞳。クセッ毛ではねた横髪


「セラ…」



「兄さん?あー、こいつは傷物だからな、半額で良いけど男だからなぁ…」


ぶつぶつと言う。


「おい、こいつはどこで手に入れた?どこから連れてきた!!!」


思わず胸ぐらを掴み吠えるように言う。


「?!分からない!俺もこいつは別の奴から売って貰ったんだ!」



「そうか…」


がっくりと肩を落とす。


「ごほっ、ごほっ…でーこいつは買って貰えますかね…」


「ああ、こいつを貰おう。」


買ってしまった。

普段なら絶対に買わないのだが…

今日はついうっかり買ってしまったのだ。


「まーいど!!!!家まで連れていってやるよ。」


「あぁ、頼む。」


「乗りなぁー♪」


その瞬間。


鎖と手錠で拘束されたソイツは黙って僕を見た、虚ろな瞳で。


馬車の席に座り、隣に彼を座らせる。


「おい、」


「はい…ご主人様…」

一瞬激しくびくついたがすぐに返事をする。


「…名前は?」


「い、イブレットです、イブレット・ステファー…おきに召さなければお好きにお呼びくださいませ。」


彼は震えながら言う。今にも消えそうな声で。


「…イブレットか…」


彼はセラではなかった、しかし買ったからには面倒を見なければいけないだろう。


面倒臭い…


「…イブレット…血が出ているが大丈夫か?」


「?!!!」

彼は慌てて傷を拭いて血をぬぐっていた


「そんな薄汚れた服で拭いたら雑菌が入るぞ…」


僕は堪らなくなりハンカチを取りだし彼の腕に巻いた。


「あ、ありがとうございますご主人様。」

驚いた様子で彼は僕に礼を言っていた。


ただ僕はケッペキショウなダケだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ