川里 in S16 PLUS1 よくある展開
1941年12月8日午前11時。西日暮里駅に列車が来た。
川「乗りましょう!」
大「ねえ、あなたはどこから来たの?」
川「いいから!」
まさか未来から、なんて言えない。
あと4年もしない内に東京は焼け野原になる。せめて一宿一飯の恩がある大家さんだけでも避難させたかった。
2110年2月24日午後3時。バンクーバーオリンピックの中継が終わった。久しぶりに外で遊ぶか。気になるあの紙を誰かに見せてやろう。
1941年。西日暮里発軽井沢行き。軽井沢なら大丈夫だろう。川里には不安があったが。
川里は以前取材で西日暮里駅について調べたことがある。西日暮里駅は1969年に開業しているはずだが、今は1941年だ。西日暮里駅があるはずがない。とすると・・・。
川「仁か・・・?」
時空がずれるタイムスリップ。自分がいた世界の歴史と違う歴史を持つ世界に行く。そんな体験をした南方仁という医師がいるらしい。川里は会ったことはないが。
2110年。
く「・・・誰?」
?「くじら〜くじら〜」
公園に見知らぬ5歳くらいの子がいた。しかしくじらくじらとは無礼な。
く「どこから来たの?」
?「電車!」
く「どんなの?」
?「電王!」
ああ、クジーザー270か。って事は迷子だな。
ともやきつね「呼んだ?」
はっ⁉
1941年。汽車は順調に進んでいる。
大「少しお腹がすいたねえ」
もう昼だった。
川「お菓子持ってますよ。食べますか?」
成田空港で買って忘れていたポッキーがあった。大家さんに渡してみる。
大「不思議なものだね。見たこともないよ」
どうやらポッキーもこの頃にはなかったようだ。
2110年。長崎県警取調室前。
く「わかった?」
と「うん。この子が着ている服からして、向こうの世界の子だね」
長崎県警すげー。
と「年齢は5歳。西暦1986年生まれ。名前は川里俊生」
・・・えっ?
1941年午後1時1分。無事に軽井沢に着いた。軽井沢は少し曇り始めていた。
川「近い内に降るかもな・・・」
大「ねえ、これどこで買ったの?ねえ?」
川「成田空港のコンビニですよ。」
大「成田・・・空港?」
川「あ」
2110年。同じく取調室前。
と「彼と面識が?」
く「大人の彼なら・・・」
と「・・・?」
く「あっ、あとこれ」
持っていたあの紙を見せた。
と「ミライノヨゲン 3年1組 川里俊生
おそらく、近い内に浅田真央が銀メダルを取る」
浅田真央が銀メダル取ったのって昨日じゃん。あ、それはこっちの世界の話か。
1941年。川里は完全に口を滑らせた。結局2010年から来たと説明した。パスポートを見せたらあっさり信じた。
大「でも・・・そんな気はしてたわ」
川「・・・えっ?」
大「あなた・・・私の知り合いの父に似てるのよ」
川「はあ」
大「お名前は?」
川「川里俊生です」
大「あら!その子も川里ちゃんよ!」
川「ええっ⁉」
2110年。JR九州にともやきつねの上司が電話した。
車掌「本日午後2時ちょうど着のクジーザー270の車掌です。確かに、切符を持っていない小さな子がいました」
そしてあの紙の続き。
『 字日江洲成者所持素者我発見』
と「あのー、漢字がやたらむずかしいんですが」
上司「ん?・・・じーぴーえす成る物を所持する者、我を見出す」
と(こいつ人間じゃない)
ゴジラくん「呼ばれた気がした」
どこかに盗聴器でもあるのか?
1941年午後2時39分。12時間前は真珠湾攻撃が始まった頃だ。とりあえず東京から逃げて、しばらくは旅館に泊まることになった。
大「私が卒業した女学校の同級生にね、川里ヤエって子がいたのよ」
川「・・・・・・・・祖母です」
大「やっぱり?今は長崎に引っ越して結婚したらしいけど、苗字が変わってないとはねえ」
川「いえ、祖母は結婚していません。養子です」
大「あら、そう・・・あなた、戻れるといいけどねえ」
川里にとってはそれが一番問題だ。
2110年。
ゴ「なるほど。あの人ならタイムスリップぐらいできそうだ」
く「じーぴーえすは?」
ゴ「たららたったたーGPS〜」
く「・・・」
と「・・・」
上「・・・」




