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川里俊生シリーズ  作者: 川里隼生


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川里 in S16 知らない歴史

2010年2月25日午前11時28分。バンクーバー国際空港。カナダへの入国手続きをする一人の日本人がいた。毎度おなじみ川里俊生である。川里はあるものを見に来た。


2110年2月24日。この超寒いときに、にじこちゃんが家に来た。目当ては冷蔵庫の中の紙コップに入れているポッキーだろう。なぜわかった。女のカンって奴か?


2010年。

川「午後5時開始・・・」バンクーバーオリンピック、フィギュアスケート女子シングル。浅田真央が出る試合だ。時間があるので、バンクーバーを観光してみる。


2110年。もうすぐ12時。やっぱり予想通りの発言をしてきた。

に「ポッキー取って」

お前・・・遠慮しろ・・・。ポッキーは冷蔵庫の一番上にある。不安定だけどタイヤ付きのイスに乗って取ろうとした。

く「よっとっあっわっげっはっ」

に「あわわわわ」


2010年。突然だが、川里は蓋の空いたマンホールの上にいる。


2110年。これまた突然だが、ポッキーが宙に舞っている。


????年??月??日。当然落ちた川里だったが、怪我はなかった。這い上がるのも簡単だった。ただひとつ問題なのは、景色がバンクーバーと違うことだ。道行く人が新聞を持っていた。

川「貸してください・・・ん?」


2110年。ポッキー落とした・・・。


????年。川里が借りた新聞。一面だけで充分だった。

川「昭和16年12月7日・・・」西暦何年かはわからないが、かなり昔だ。


2110年。

に「あーあ」

く「・・・・・・(怒)」


昭和16年。川里は適当に歩き回った。その結果、ほぼ間違い無くここは東京だという結論に至った。東京タワーも都庁もないので決断はできないが、上野やら永田町やらの看板があった。


2110年。

に「片付けてー」

く(やられたらやり返す。倍返しだ!)


昭和16年午後8時。下宿山田。

川「ここに泊まらせてもらおう」

川里はガラス戸を開けた。どこか懐かしい匂いがする。

大家「あら、どなた?」

川「今日泊まらせていただけますか?」

大「ああ、はいはい。お客さんなんて、2ヶ月ぶりだわ」

川(大丈夫かここ?)


2110年。

く「日本国憲法第9998条」

に「えっ?」

く「全ての日本国民は個人として尊重され、何人にも支配されない。お前のやったことは憲法違反だ!さあ土下座してもらおうか!」

言ってやった!デタラメだけど!

に「・・・ごめん、もう一回言ってくれる?」

聞いてろよ・・・。


昭和16年12月8日午前6時52分。川里が起きた。寒い。川里はずっと気になっていたことがある。

川(昭和16年って、西暦何年?)

とりあえず大家さんに尋ねることにした。

川「大家さん、今は西暦何年ですか?」

大「今、朝ごはん作ってるからラジオに聞いてー」

川里は半分ほこりに埋まっているラジオを取り出した。

川(まず掃除してくれよ・・・)

ラジオでは、朝のニュースを放送していた。

ラジオ「・・・トノ事デス.先程カラオ伝エシテオリマス通リ,昭和十六年十二月八日ノ大本営発表ニヨリマスト,本日午前一時頃ニ帝国海軍特別部隊ガ米英ニ宣戦ヲ布告シ,真珠湾ヲ攻撃シマシタ.コレニ対シ海軍栗田中将ハ・・・」

川里は青ざめた。かつて新聞記者をしていたので知っている。あのとき、先輩が「報道の悪い例」として挙げたものだ。

川「大変だ!大家さん、太平洋戦争が始まる!」

大「あら、戦争なんて20年ぶりくらいかしら?」

川(大丈夫かこの人?)


2110年午後2時6分。にじこちゃんは帰って行った。さんざんしやがって。


1941年。太平洋戦争の開戦は1941年だ。東京大空襲はもっと先のはずだが、とにかく都会は危ない。

川「大家さん、今すぐ逃げましょう!」

大「えっ?いつ逃げるって?」

川「今でしょ!」

林先生の先祖「これはおもしろい」


2110年。さて、余りのポッキーを食べるとするか。

く「ん?」


1941年。おかしい。街はあまり騒がしくない。戦争が始まったのに、誰も騒いでいない。


2110年。忘れてた。いまバンクーバーオリンピックやってるじゃん。テレビつけよう。くじじろうにイタズラされた現実逃避中。


1941年。最寄りの西日暮里駅に向かっている。

大「この前みたいになにもないといいんだけどねえ」

川(なるほど。第一次世界大戦の被害が少なかったから誰も騒がないのか)

大「そういえば、あんたどこから来たの?」

川「えっ・・・?」

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