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川里俊生シリーズ  作者: 川里隼生


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15/15

川里紀行2

2011年6月19日午前7時。川里が起きると、枕元に小学生の漢字練習帳(値札付き店のテープ無し)の1ページが破いて置かれていた。「きづけ くじたろう」と書かれていた。そういえば川里は半年ほどくじたろうと会っていない。最後に見た時はいつもと雰囲気が違うと思った。


川里がリビングのドアを開けると、出した覚えのないコップふたつに牛乳がつがれている。しかもコップが一人でに浮かび、傾いたと思うと牛乳が消えた。どうやらここにいるようだ。さっきの紙とシャーペンを机に置いてみる。案の定ペンは持ち上がり、紙に下手な文字を書いていく。

「こんにちは」

川「久しぶりだな」

「いいや これが9回目」

川「え?」

「今までに6月19日が9回連続できた」

川「そうは思えない」

「覚えてないだけ」

川「どうする?」

「大船渡の人を助ける」

川「・・・危なくない?」

「あぶない」

川「・・・」


午前9時29分。長崎空港。想像していたが、やっぱり後ろに紙が浮いていると周りの視線が気になる。

川「助ければいいんだな?」

「がんばれ」

川「そろそろ姿を見せたらどうだ?」

「目の前にいるけど」

川「いるんだな?」

「ゴジラくんもいる」

川「そうか」

考えたくなかったが、川里の予想は当たったらしい。普通の人間に戻った。10年間の苦しみから解放された。悲しくなった。矛盾しているが、川里の本音だ。ベストアメニティスタジアムで彼らを探したのも、会いたかったからだったのかもしれない。恐らく6月19日が最後なのだ。終わらせたくない。でも迷惑はかけたくない。どっちをとるか、関西空港に到着するまで決められなかった。仙台空港では迷い無く災害時緊急マニュアルという本を買った。


川「さよなら、ありがとう」

以上で「川里俊生シリーズ」完結となります。ありがとうございました。

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