くじたろうと新聞記者前編
この主人公、川里俊生は僕のペンネームと同じですね。実はこのシリーズ小説が僕の初作品なのです。まだまだ読みにくい部分もあるかと思いますが、どうかご一読ください。
2008年8月26日。長崎新聞に意味不明な記事が載っていた。
「二足歩行の鯨出現」
何があったのか。それは本人たちしか知らなかった。
2108年8月23日。小雨が降る中、僕は家に帰った。今日は海の都小学校の夏休みの登校日だった。明日はJRが10年前から営業している列車に乗って旅行に行く。かなり楽しみだ。
2008年8月24日。長崎新聞の記者、川里俊生は、最近の記事がことごとくボツになっていた。北京オリンピックでの内村航平も、先月の大雨も、同期の記者に負けてしまった。上司からは明日までに記事を書かなかったらクビだと言われた。それでもネタはなかった。
2108年8月24日。長崎は今日も雨だった。家族全員で県営バスに乗って駅に向かう。僕らが乗るのは特急「クジーザー270」。長崎と長崎を5時間20分くらいで結ぶ。0番ホームはこの列車専用みたいなものらしい。
2008年8月25日午前9時57分。川里は6階のデスク室にいた。仕事が楽しいはずがないが、かと言って無職なのも困る。パソコンを前に腕を組んでいると、上司がやって来た。
「川里、どうだ?どれだけ書いたか?」
(うるさいハゲ殺すぞ)
「どうせお前のことだからノーネタだろ?」
(ノーネタとか言ってんのお前だけだぞ)
「長崎駅で福田内閣の支持率調査をせんか?」
「ありがとうございます!」
「お・・・おう」
2108年8月24日午前10時19分。クジーザー270が博多駅から空間軌道に入った。この路線は世界間を結んでいる。正直理屈はよくわからない。とにかく、僕らの長崎駅と誰かの長崎駅を結んでいるらしい。車内アナウンスが流れた。
「本日もJR九州をご利用いただきまして、誠にありかございます。次の停車駅は長崎、終点です」
2008年8月25日午前10時24分。川里が長崎駅に着いた。川里の上司は川里が困っていると必ずこういうネタを提供してくれる。川里は上司に暴言を吐いたことがない(と思いこんでいる)のが自慢である。
2008年8月25日午前11時27分。クジーザー270が長崎駅の0番ホームに止まった。僕の世界と違って鮮やかな青い空だった。車掌さんの話だと僕たちはこの世界では妖怪と呼ばれ、ほとんどの人からは見えないらしい。
2008年8月25日午前11時27分。調査開始から1時間たった。内閣支持率は川里の予想通り低迷していた。
内閣を支持する・・・65人
支持しない・・・92人
綾鷹・・・823人
約9割の人が綾鷹と回答。選ばれたのは綾鷹だった。川里が帰ろうとして前を向くと、0番ホームに見たことがない奇抜な色の列車と、人間ではない客が見えた。




