誕生日の前日
これって、残酷な描写に入るんですかね?
入らない気するけど、一応チェック付けときます!
気が付けば、明日に迫った誕生日。
でも、そんなもの、僕には関係ない。
誰も言わってくれる人がいない誕生日なんて、普通の人何も変わらない。
急に聞こえたクラクションと、大きなブレーキ音が鳴り響き、僕の視界は暗くなった。
思いのほか痛みもなく、簡単に立ち上がることができた。
しかし、目の前に転がっているそれを見て、今の状態が普通じゃないことに気付く。
「・・・いったい、何が?」
目の前には、真っ赤な僕が倒れている。
それを見下ろすような位置に、僕は立っている。
確かに地面は足についている。
風も感じることができる。
しかし、呼吸と心臓が止まっていることには、なかなか気付く気になれない。
「・・・死んだのか?」
周りの人は、僕の体を通り抜けて転がっている僕の抜け殻に集まってくる。
こうしていても仕方ない。
「・・・どこに行こうかな?」
僕は、行き先を考えずに、ただ足を進めていった。
僕の両親は、僕が小学5年生の時に事故で死んだ。
僕は、伯父に引き取られ、高校2年生の今まで面倒をみてもらっていた。
でも、僕には分かる。
伯父は、好きで僕の面倒をみているんじゃない。
当たり前だ。
ニセモノの子供に、ホンモノの愛を注げるわけがない。
内気な僕は友達もつくれず、また、それを相談でいる相手もいないまま、
今日、死んだ。
無意識歩いてきたが、まさかここに来るとは思わなかった。
気が付くと、校門の前に立っていた。
思い出も何もないこの高校。
なぜここに来たのかは分からない。
だけど、だからといって他に行くところもない。
「・・・」
僕は、校舎の中に入って行った。
初めて人を好きになったのは、中学2年生の夏。
ミサトさんという女の子だった。
明るくてやさしい、とてもいい人だった。
でも、明らかに自分とは釣り合わない。
そんな僕だったけど、気が付けば、ミサトを追いかけてこの高校に来ている。
「おい、待て!」
急に呼び止められ、僕は立ち止まった。
「君達、ネクタイはどうした?」
僕を呼び止めた男子は、僕ではなく、近くにいた生徒に声を掛けたみたいだ。
「でも、別に校則じゃないし、集会のときだけ着けたらいいだろ?」
「それだから、うちのクラスの成績が下がるんだ!」
相変わらず、委員長は・・・
委員長は、イチイチ細かいことに首を突っ込んでくる。
同じクラスの人に対しては、特に厳しい。
僕も同じクラスだから、小さいことで、委員長には何度も怒られた。
だから、この高校では、一番多く僕に話しかけてくれた人かもしれない。
「ネクタイと成績は何が関係あるんですか?」
「気が緩んでるってことだ!普段からしっかりしてないと、大事な時にもしっかりできないんだ!」
「もう、分かったって、面倒くさい・・・」
「あ、ちょっと待て!」
「まだなんかあるんですか?」
「今うちのクラスの生徒集めててな!教室に来い!」
「なんで?」
「来れば分かる!」
「理由ぐらい教えてくれたって!」
「いいから来い!」
この、委員長の強引なところも、いろいろ大変だった。
そして、うれしかった・・・
ところで、うちのクラスの生徒を集めてるっていうのは、どういうことだろう?
僕も行った方がいいのか?
まあ、今行っても何も出来ないのだが・・・
誕生日は毎年やってきた。
伯父の家族は、毎年、笑顔でシャッターを切った。
僕は、毎年、無理やりの作り笑いで、写真の枠に収まっていた。
でも、写真の数が増えるたびに、僕の心の穴も増えていった。
だって、この人たちは僕の親じゃない。
僕に気を使う。
僕は、本気で叱ってほしかった。
廊下を歩いていると、向こうから、あの人が歩いてきた。
「・・・ミサトさん」
つぶやいても、今の彼女には聞こえない。
「ミサ~、全員集まったって~!」
遠くから、同級生の声が聞こえる。
ミサトさんの友達。よく一緒にいた。
僕もあれぐらい仲のいい友達が欲しかった。
あだ名で呼びあえる友達が・・・
「そう、じゃあ、私たちも戻ろうか!」
「うん!」
そのやり取りを、ただ突っ立って見ていたが、僕は大事な事に気が付いた。
「・・・全員・・集まった」
当然、このつぶやきも聞こえない。
2人は駆け足で階段を上って行った。
僕のことなんか忘れて・・・
委員長の話からすると、うちのクラスで何かが始まるのだろう。
僕のことなんか忘れて・・・
結局そうだ。
みんな僕のことなんてなんとも思ってない。
もしかしたら、これは今日が初めてじゃないのかもしれない。
みんな、僕のことなんか忘れて、ときどき集まってるのかもしれない。
いつも、仲間はずれだったのかもしれない・・・
僕は・・・
僕は・・・・・・
伯父は、今日の朝も、笑顔で送り出してくれた。
一度も『おはよう』も『行ってきます』も言ったことがない僕。
それなのに今日も『行ってらっしゃい』と言ってくれる。
伯父だけじゃない。伯母もだ。
いつも朝ごはんを用意してくれる。
週に一回は、朝からカレーが出てくる。
どこで知ったのか知らないが、僕の好きなチーズが入っているカレー。
『いただきます』とも『おいしい』とも言わない僕の目の前に、
毎朝、笑顔で朝食を運んでくる。
なんで・・・
なんでそこまでするんだろう・・・
愛想もない僕に。
本当の子供じゃない僕に。
僕は走った。
泣きながら走った。
「なんで・・・なんで・・・」
頭の中で生前の記憶が暴れまわる。
下らないことも、大事な一歩も、すべてが頭の中を廻り出す。
「全員じゃない・・・」
やっと着いた目的地の扉を勢いよく開くと、全員がこちらを向いた。
「おお!?どうしたんだ!こんな時間に!」
息を切らした僕は、後ろを振り向いたが、誰もいない。
この人は、僕に向かって話しかけている。
この人だけじゃない、みんな僕の方向を見てる。
そして、何人かの生徒が、教室の中心を隠すように、立ち上がる。
「忘れ物?私が取ってあげるよ!席、ここだっけ?」
「ああ、先生なら、さっき呼び出しされて、職員室に行ったと思うぜ!」
僕は、少し落ち着きを取り戻した。
そして、この人たちが隠してるものが気になった。
「それ・・・何?」
「それって・・・どれ?」
「それだよ、その真ん中のやつ!」
「ん?これ?これは・・・」
「何もない!」
委員長がイキナリ割って入ってくる。
「何もないなら見せて!」
「何もないのに見ても仕方ないだろ!」
「何もないなら見ても問題ないでしょ!」
「見ても利益もないんだ!」
「その辺にしとけば?」
ミサトさんも入ってきた。
「だけど!」
「いいじゃん!ちょっと早いけど!あ、反対側持ってくれる?」
ミサトは教室の真ん中から、何かを広げて持ち上げた。
壁になっていた生徒たちが退くと、そこにはカラフルで大きな紙があった。
「せーの!」
ミサトさんの合図で、全員が叫んだ。
『お誕生日おめでとう!』
その言葉は、紙にも書いてあり、さらには、生徒たちの寄せ書きまであった。
「本当を明日渡そうと思ってたんだけど、ここまで来られたら隠しようがないからね!」
ミサトさんは、笑いながら僕に行ってくれた。
僕は広げてもらっている紙に近づき、寄せ書きを読んでいく。
『いつも黒板綺麗にしてくれてありがとうね(^^)』
『文化祭の出し物の小道具、あれメッチャカッコよかったわ!ありがとうな~!』
『たまには笑えよ(笑)』
「この企画、ミサが考えたんだよ!ちゃんとお礼言っときなよ!」
「・・・ミサトさん」
目から流れるもので、視界がぼやける。
息が安定せず、言葉が震える。
みんな・・・
みんな僕を見てくれてた・・・
「・・みんな・・・ありがとう」
ここにいるすべての人間が、その時笑顔だった。
僕も含めて。
僕は、歩いて扉に向かう。
「どこ行くの?」と聞かれたので、「トイレ」と残してった。
流石に最後がこれじゃ、カッコ悪い・・・
「みんな、本当にありがとう!」
「別にイイって!たまにはこういうのも楽しいし!」
「みんな、次は俺の誕生日も頼むぜ!」
「アホか、お前もやり出したらキリがねぇだろ!第一、もう終わった奴どうすんの?」
そして、クラスはいつも通り盛り上がっている。
これならいい。
これならみんなも・・・
僕が教室を出るとき、悲しそうな顔の先生とすれ違った。
もしかしたら、呼び出しというのは、僕のことかもしれない。
でも、どうでもいいんだ。
僕は、1人じゃないから。
期末考査終わったんで書きました!
やっぱスッキリする!
文章書くって楽しいですね^^
まあ、自己満足なものしか書けませんが・・・
ここまで読んで下さった方、ありがとうございます^^




