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精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


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執務室で4

ジグは、目を丸くしているエフィを見やり、それから、ギルノードへ視線を移した。

その口元に、静かな微笑みが浮かぶ。


「レイナルト殿下とエフィ様の潜入は、ゼンウェールの“内情”を把握するためだと、伺いました」


静かな声音だった。


「……“内情”を把握し、いざという時は、王国が後ろ盾となる……ならば。

より深く、“内情”を探り、確かな証拠を集める必要がある、ですね?」


ジグは、わずかに笑みを深めた。


「イリシャ様とリゼア様。

お二人とも、驚くほどの力を身につけておられるのがわかりました。

こちらで商談に引き付けている間、何かしらを探り出すことは、十分に可能かと」


沈黙が落ちた。


「……お父様……」


エフィが、不安と決意の入り混じった視線を、ギルノードへ向ける。


ギルノードは、すぐには応えなかった。

顎に手を添え、視線だけをジグに向け、短く問う。


「それで?」


「まずは、私と共に、先に隊へ戻っていただきます。

城下で出会った用心棒、という立場であれば、怪しまれません」


そして、静かに続ける。


「その上で、殿下とエフィ様を迎え入れる準備を整えます。

お二人の力であれば、警護という立場にも、周囲を探る立場にも、どちらにも動けます。

……いかがでしょうか?」


ギルノードは、しばし黙考し、やがて口角をわずかに上げた。


「……なるほど。

実戦の経験を積ませる、か……?」


やがて、彼は小さく頷いた。


「エフィ。二人を、呼んでくれ」


静かな室内に、次なる一手が刻まれた。






やがて、イリシャとリゼアが部屋へと招き入れられた。

部屋に集う面々に、二人は目を丸くする。


ギルノードとエフィは、一つひとつ、これまでの経緯を語る。

二人は言葉を挟むことなく、ただ耳を傾けていた。


やがて話が終わると、イリシャは驚愕に目を見開いたまま、ゆっくりと息を吐く。


「カナ……あなたって……」


その先の言葉は、声にならなかった。

言葉の続きを探すように口を閉ざし、ただ息を呑む。

驚愕と、理解と、畏敬が入り混じった表情が、そのまま彼女の胸中を物語っていた。


一方、リゼアは、堪えきれずに俯き、肩を震わせる。

溢れた涙が床に落ちる前に、彼女は必死に唇を噛みしめた。


「ジグ様……本当に……良かったです……っ」


「ありがとうございます、リゼア様」


その震える声に、ジグは柔らかく微笑み、短く頷いた。


そして最後に、ジグとギルノードから、潜入についての話が告げられる。

二人は顔を見合わせ、ほんの一瞬だけ視線を交わしたのち――同時に頷いた。


「承知いたしました。お父様、ジグ様」


「私たちの力が、お役に立つのであれば」


その表情には、覚悟を帯びた精悍な影が宿っている。

ジグはその様子に、穏やかに微笑む。


「お二人とも……頼もしい限りです」


彼女はそう言って頷くと、静かに、自らの右手を胸の前へとかざした。


「……それでは、皆様。

改めて……」


室内が、静まり返る。


「私の力を――お見せいたします」


次の瞬間、彼女の手のひらから、ぽわり、と、淡い光が生まれた。

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