ジグの訪問3
(――氷雪の指輪が……?)
胸の奥に、澄んだ感覚が広がり、カナははっと顔を上げた。
視線の先には、目を見開いて佇むジグの姿。
(……共鳴……? ううん、これは……!)
「……ジグ様。
左腕を喰われたと仰っていた、黒霧の魔獣ですが……。
もしかして、雪……あるいは氷を操りますか?」
唐突な問いに、ジグは一瞬、言葉に詰まり、それから戸惑いを含んだまま頷く。
「は、はい……。氷の魔力を放つ魔獣でした、が……?」
(……それだ!)
その言葉を聞いた瞬間、確信が胸へ落ちる。
同時に、カナの脳裏に、女神リュファリアから告げられた言葉がよみがえった。
――この指輪は、”凍てつく魔力”から守ってくれる。
(あの時、リュファリア様は……確かにそう仰っていた。
きっとこの指輪が……呪いを解く“鍵”になるかも!)
布越しに、異質な気配を“感じた”瞬間。
氷雪の指輪が、優しく脈打つように熱を帯びる。
(感じた……!
これが……解決の、糸口……!)
淡い希望が灯る。
カナは唇を引き結んだ。
「……あの、聖女様……?」
不安を滲ませたジグの声に、カナはゆっくりと顔を上げる。
「ジグ様。お願いがあります」
強い意志を乗せた声。
「直接……お手に、触れさせていただくことは……できますか?」
ジグは息を呑んだ。
空気が張り詰める。
視線が、無意識に左腕へと落ちた。
「……それは、左腕のこと、ですね?」
「……はい」
揺るぎなく。
カナは静かに、頷いた。




