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【18万PV突破!】精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


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獣人の少女4

カナは落ち着かない様子で、獣人の少女が眠る部屋の廊下を、行ったり来たりしていた。


(どうか……助かって……)


胸の奥で祈りが何度も渦を巻く。

その時――扉が静かに開き、イリシャが顔を覗かせた。


「やっぱり……カナの気配がしたと思ったんだ」


「イリシャ……あの子は、どう?」


イリシャは微笑んだ。


「うん。ずいぶん呼吸も落ち着いてきたよ。

峠は越えたと思う。大丈夫」


「そう……よかった……」


カナが胸を撫で下ろしたその時――

扉の向こうから、リゼアの声が響いた。


「カナ、イリシャ。この子、目を覚ましたよ」


カナはイリシャと顔を見合わせると、扉へと向かった。





ぼんやりとした意識の底に、光が差し込む。

瞼を開けると、柔らかな天蓋と、温かな光が視界に入った。


柔らかな布の感触。

薬草の香り。

身体の痛みは……薄い。


自分は――まだ生きている?


(――ここは、どこだろう)


「目が覚めたのね。気分はどう?」


耳に届いたのは、穏やかで優しい声。

はっとして、身体を起こそうとした瞬間、全身から力が抜け、視界がぐらりと揺れる。


「あっ! 無理しないで! まだ寝てなくちゃ!」


焦った声とともに、誰かの腕が支えてくれた。

そのままそっと、ベッドに身体を戻される。


「イリシャ、見ててあげて。

私、何か食べられそうなものを持ってくるから」


「うん。わかった。

お願いね、リゼア」


足音が遠ざかり、扉が閉じる。

静寂が戻る。


(……ここは……どこ?)


怖い。

鼓動が耳の奥でざわつく中、一歩、誰かが近づく気配がした。

視線を向けると、黒髪の少女がこちらを覗き込んでいた。


「あ、足の具合は……どう?」


柔らかな瞳。

少女は息を呑んだ。


――この匂い。助けてくれたひとの――


「あっ! あなたは……!」


鼻先に流れ込む香りが、すべての記憶を繋ぐ。


(助けてくれた――この人だ!)


カナが目を瞬く。


「私のことが、分かるの?」


ピンと立ち上がった少女の耳が、次の瞬間、しゅんと垂れ下がる。

言葉を繋ごうと口を開いた瞬間――涙が溢れた。


「はい……。においで、わかりました……。

あ、あの……っ!」


声が震える。喉が熱い。


「助けてくれて……本当に、ありがとうございました……!」


震える声。

感謝と、安心と、まだ消えない恐怖。


生きている――その実感が、涙となって頬を伝っていく。

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