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【18万PV突破!】精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


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遠乗り

翌日。

柔らかな朝の光に包まれながら、カナはレイナルトと並び、城の厩舎へと向かった。

辺境伯が誇る厩舎は広く、梁の高い建物の中には、艶やかな毛並みを持つ馬たちが並んでいた。

手入れの行き届いたその姿から、この地がどれほど馬を大切にしているかが、ひと目で伝わってくる。


カナは、その中の一頭の前で足を止めた。

漆黒に近い、深い青を帯びた毛並み。

レイナルトが手綱を取る。


「昨日は、この馬で駆けたんだ。

名はオルタス。とても賢くて、穏やかな良い馬だ」


「そうなのですね……」


カナは微笑むと、そっと近づいた。

オルタスがふっと、柔らかな眼差しを向ける。


「とても、おとなしい子ですね。

オルタス、今日は、私も一緒に乗せてもらうけど、よろしくね」


そう言って、カナが首元に手を伸ばすと、オルタスは静かに頭を下げ、彼女の手にすり、と頬を寄せた。

ブルル、と低く、満足げに鼻を鳴らす。

その仕草に、カナの表情が自然とほころんだ。


「ふふ……かわいいですね」


その様子に、レイナルトは思わず苦笑する。


「オルタス……。まったく……現金な奴だな」


ほどなくして、カナはレイナルトの前に乗り、背後には、エフィが自分の馬で控える。

馬たちは落ち着いた足取りで、城門を抜け、辺境伯領の大地へと踏み出していく。


「この先に、丘陵がある」


レイナルトが言った。


「今の季節は、花が見事だそうだ。そこへ行こう」





道は、花の咲き誇る野へと続く。

やがて森を抜けると、視界が一気に開けた。


緩やかに連なる丘陵一面に、数え切れぬほどの花々が、波のように広がっている。

風が渡るたび、花の海が静かにうねり、甘やかな香りが空を満たす。

白、淡紅、黄金――名も知らぬ花が折り重なり、視界の果てまで続いていた。


「……きれい……」


カナは思わず息を呑んだ。


どこまでも続く花の絨毯。

丘の起伏に沿って、色彩が重なり、溶け合い、

空の青と、雲の白が、その上にやさしく重ねられている。


「……すごい……」


カナは、言葉を探すように呟いた。


「こんな景色……初めてです」


「ああ……俺もだ。これは……素晴らしいな」


言葉にするのも惜しいほどの景色が、そこにはあった。

カナは、思わず小さく息を吐く。


「……まるで、絵本の中みたい……」


レイナルトは、その言葉に微かに微笑む。


「……本当だな。――共に見られて、良かった」


花と空に抱かれながら、三人はしばし馬を止め、その静かな美しさを、ただ心に刻む。

その光景は、時間さえも穏やかに溶かしていった。

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