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【18万PV突破!】精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


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辺境伯領の静かな夜

食事を終えると、レイナルトとカナは、用意された続きの部屋へと案内された。

柔らかな灯りに満ちた室内には、季節の花が生けられ、ほのかに香りが漂っている。


その少し後ろに、エフィが静かに控えていた。

カナは歩みを止め、そっと振り返る。


「エフィさん……せっかくのご実家なのに、こうして着いていただいていて、良いのでしょうか……?」


カナの遠慮と気遣いが滲む声に、レイナルトが頷いた。


「そうだな。エフィ。カナの言うとおりだ。

ご家族と過ごす時間もあるだろう。ここはもう大丈夫だ」


エフィは一瞬、言葉を失ったように瞬きをする。


「レイナルト殿下……カナ様も。

そのようにお気遣いをいただき、ありがとうございます。

本当に……よろしいのでしょうか?」


「ああ」


レイナルトは穏やかに微笑む。


「エフィこそ、ゆっくり過ごしてほしい。

また明日、よろしく頼む」


その言葉に、エフィは深く一礼する。


「かしこまりました。

それでは……お言葉に甘えさせていただきます」


エフィは静かに退出していく。

扉が閉じられると、室内には静寂が戻った。





カナは、レイナルトに導かれるまま、静かにソファーへ腰を下ろした。

柔らかなクッションに身を預ける。


「……二人きりというのも、久しぶりだな」


低く落ち着いた声に、カナは小さく頷く。


「そうですね……」


カナはレイナルトにそっと身を寄せると、そのまま目を閉じた。

肩に触れるぬくもり、髪を撫でる指先のやさしさが、心を静かにほどいていく。


言葉のない時間が、穏やかに流れた。


やがて、カナは彼に身体を預けたまま、静かに口を開いた。


「レイナルト様……。

辺境伯様に、お話は……できたのですか?」


レイナルトは唇の端に笑みを浮かべると、低く応える。


「……ああ。やはり、気付いていたか」


「はい」


「……そうか」


短いやり取りのあと、彼はゆっくりと言葉を選ぶように続けた。


「全て話したよ。

アルトリウスのこと、エルハイムのこと……。

それから――ラグナ様とディオリア様のことも」


カナは微笑みを浮かべる。


「そう、でしたか……。

それで、辺境伯様は、なんと?」


「それは……」


レイナルトは静かに頷くと、国境を見下ろす山と、炭焼き小屋で交わされた言葉の数々を語った。

話を聞き終えると、カナは小さく息を吐く。


「それは……確かに、気になりますね」


「ああ」


レイナルトの声が引き締まる。


「伯父上が備えてくれると言うのだから、大丈夫だとは思うが……。

それでも、注視はしておくべきだろう」


「……そうですね」


カナは静かに頷いた。


「……何も起こらなければ、良いのですが……」


「本当にな……」


交わされた言葉の奥に、同じ思いが宿る。

レイナルトは、再びカナの髪に手を置く。

二人は寄り添ったまま、夜の静けさに身を委ねていた。

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