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【18万PV突破!】精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


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SS エフィ・クラヴィス辺境伯令嬢8

エリアスは語った。


フェイル村へ彼女を迎えに行った日のこと。

戸惑いながらも精霊たちと心を通わせていく姿。

精霊の森での事件、そして精霊祝祭へ至るまでの、すべての関わりを。


話を聞くうち、エフィの表情は何度も変わった。


「……そんなことが、あったの……?」


「ああ」


彼女はゆっくりと視線を落とすと、噛みしめるように呟く。


「……そう、だったのね……」


エフィは深く息を吐き、そっと目を伏せた。

胸の奥に、カナへの敬意と、言葉にできない感情が広がっていく。

彼女が、この国にもたらしたものの大きさを――エフィは、改めて思い知っていた。





エフィは、ゆっくりと顔を上げた。

その瞳には、強い光が宿っている。


「エリアス。話してくれてありがとう。

さっき言ったけれど、私も――あなたに、話さなければならないことがあるの」


ただならぬ気配を感じ取り、エリアスは思わず息を呑んだ。


「……何があった? エフィ」


エフィは一瞬だけ視線を伏せる。

膝の上で、手をぎゅっと握りしめる。


「……ごめんなさい、エリアス。先に、謝っておくわ」


静かな声だった。

だが、その一言に、エリアスの胸の奥がざわめく。


「私……昔、学院であなたと交わした約束を、破ってしまうの。

いつか大神官になるっていう……あの約束。

本当に、ごめんなさい」


「……なぜだ?」


深く頭を下げるエフィに、エリアスは思わず身を乗り出した。


「君なら、きっと――」


「ううん」


エフィは首を振り、はっきりと言った。


「エリアス。私は、神官を辞めるの」


空気が、凍りつく。


「エフィ・クラヴィスに……戻るのよ」


「……何、だって?」


エリアスの声が、わずかに掠れた。

エフィは彼の目を、まっすぐに見つめ返す。

その目に、迷いはなかった。


「私は、近く学院離宮へ行くの。

そこで……聖女カナ様の、専属侍女になることが決まったの」


言い終えた瞬間、胸の奥で何かが音を立てて崩れるのを、エフィ自身が感じていた。


それでも――

この選択だけは、譲れなかった。


かつて二人で語り合った未来は、確かに眩しかった。

けれど今、彼女の胸に灯る“光”は、別の場所へと導いている。


エリアスは言葉を失い、ただ彼女を見つめた。





エリアスは、しばし沈黙した後――ふっと穏やかな微笑みを浮かべた。


「そうか……。

これからは君が、カナの傍にいてくれるのか。

それは、本当に心強いな」


「え……?」


思わず声が裏返る。


「エリアス……怒らないの?」


「なぜ怒るんだ?」


彼は不思議そうに首を傾げ、そして、静かにエフィを見つめる。


「だって、君は――」


一瞬の間。

その沈黙が、ひどく重く感じられた。


「……“陰”として行くんだろう?」


その一言に、エフィの顔から血の気が引いた。


「エ、エリアス……なぜ……」


唇が震える。


「どうして……それを……?」


エリアスは肩をすくめ、どこか懐かしむように笑った。


「昔から、知っていたよ。

王国の盾、の”盾”の意味。

そして……“神童”クラヴィス辺境伯令嬢――エフィ・クラヴィス、ってね」


そして、柔らかな声で続ける。


「そうか……君の“光”は、カナだったんだな」


エフィは、青ざめたまま、ゆっくりと口を開いた。


「……ああ……そ、んな……。

エリアス、なんで、そこまで知っていて……。

それでも、一緒にいてくれていたのね?」


「もちろんだ」


縋るような問いに、エリアスは即座に答える。

その声には、一片の迷いもない。


「俺は、君の身分や立場じゃなくて、内面だけを見ていたからね」


少し間を置いて、穏やかに微笑む。


「でも……良かったな、エフィ。本当に」


「エリアス……」


エフィは、胸の奥が熱くなるのを感じながら、静かに頷いた。

エリアスは表情を引き締めると、真剣な声で続けた。


「エフィ。カナの力は、あまりにも膨大だ。

全精霊に愛されている存在など、他国からすれば――垂涎の的だろう」


視線が、まっすぐエフィを射抜く。


「どうか、守ってやってくれ。

レイナルトと君なら、できる」


「ええ。任せて」


力強く頷くと、エフィは笑った。


「命にかえても、お守りするわ」


エリアスもまた、微笑む。


「……君がいてくれれば、安心だな」


「エリアス……」


「俺たちは、国を守る“同志”だ。

今までも――そして、これからもな」


エフィの目に、堪えきれず涙が滲む。


「ええ……!」


声を震わせながら、深く頷く。


「そう……そうね!」


互いの歩む道が違っても、同じ未来を守る。

こうして二人は、かつて夢見た“並び立つ未来”とは違う形で、国を支える存在となったのだった。



――そして、数年後。



グラン侯爵家から、クラヴィス辺境伯家へ、正式な結婚の打診があったというのは……。

また、別のお話。

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく読ませて頂いています。 500話おめでとうございます!! そして、エリアスとエフィ、口に出さなくてもお互いを思いやる心に……とても感激しました。二人とも素敵!
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