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【19万PV突破!】精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


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SS エフィ・クラヴィス辺境伯令嬢2

エリアスは、周囲の者とは全く違っていた。


初めて同じ課題に取り組んだ日。

精霊との同調、魔力制御、理論構築――。

結果は、並んだ。


(……なん、ですって……?)


次の実技。

さらに次の理論試験。

そのどれにおいても、彼はエフィと並ぶか、あるいは僅かに上回る結果を叩き出した。


結果は明白だった。

エフィが積み上げてきた「当然の首位」は、あっさりと塗り替えられる。

名簿の一番上に記された名は、初めて彼女のものではなかった。


(……やっぱり……そうなるよね……)


動揺が走る。

敗北の悔しさよりも先に湧いたのは、理解できないという感覚だった。


努力が足りなかったわけでもない。

油断した覚えもない。


それでも――届かなかった。


焦りとも違う。

怒りでもない。

初めて味わう「上には上がいる」という現実に、エフィは打ちのめされていた。


そして次の瞬間、彼女は気付いてしまう。


(……この人は……すごい)


彼は、必死ではない。

ただ、自然体なのだ。

それが、エフィの心を強く打った。


――初めてだった。

誰かを純粋に“認める”という感覚は。


その瞬間、エフィの中で、止まりかけていた何かが、再び動き出した。





エリアスは、自分が誰かと競っているという意識を、ほとんど持っていなかった。

ただ精霊と向き合い、ただ学び、ただ、自分の理解を深めているだけだ。


(ああ……なるほど)


エフィと並んだ成績を見ても、エリアスは勝ったとも、競ったとも思わなかった。

同じ方向を見ている人だ、という認識だけ。

ただ、それだけだった。


それでも――。

無意識のうちに、彼女を探している自分に、エリアスは気付いていた。


エフィ・クラヴィス。

常に完璧な解を導き、迷いなく前へ進む少女。


最初に彼女を見た時、率直に「凄い」と思った。

才能も、鍛え上げられた技量も、疑いようがなかった。


だが同時に、どこか危うさも感じていた。


(強すぎるんだ)


精霊を従わせる力。

正しさを押し通せる理。

それらを持ちながら、彼女はあまりにも一人で完結していた。


(……あ)


廊下の先で、エフィの姿を見つける。

こちらに気づいた彼女は、一瞬だけ立ち止まり、そして小さく会釈をした。


それだけ。

言葉は交わさない。


だがエリアスは、なぜかそれで十分だと思えた。


(競う必要は、ないな)


勝ち負けでも、上下でもない。

並んで立てる相手。


そして――


話せば、きっと面白いことになる相手。

彼は自然と、微笑んでいた。


(もう少し、知りたいな)


それは初めて、“誰かに向けて抱いた、静かな興味”だった。

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