辺境伯領でのお茶会3
カナは、視線を巡らせると、イリシャとリゼアの方を見る。
少しだけ逡巡してから、そっと口を開く。
「あの……こんなことをお聞きして良いのかどうか……。
お二人とも……エフィさんと、同じように……?」
問い掛けに、エフィが静かに頷いた。
「はい。二人とも、必要な修業はすでに済んでおります。
……中等部から入学する諸事情とは、そういう訳なのです」
「……そうでしたか……。すみません。立ち入ったことを……」
カナが小さく頭を下げると、イリシャはすぐに首を振った。
「ううん。知っておいてもらった方がいいと思うから」
そう言って、隣の妹を見る。
「ね、リゼア」
「うん」
リゼアも素直に頷いたあと、付け加える。
「あ、でも……能力は、お姉さまには劣るけどね」
「そうなの……?」
目を瞬かせるカナに、イリシャは肩をすくめる。
「うん。もう全然。お姉さまはね、“神童”って言われてたから」
「神童……?」
首を傾げるカナに、リゼアが肩をすくめて小さく笑う。
「そう。文武両道。何をやらせても完璧で。
私たちがどんなに頑張っても……全然、追いつけなくって」
その言葉を聞いて、エフィは微笑んだ。
「カナ様。二人はそのように申しておりますが……」
一拍置くと、少しだけ首を傾け、穏やかに続ける。
「戦いの場面だけでしたら、二人で揃って来られたなら……恐らく、私は負けると思います」
「えっ……!? そ、そうなんですか?」
「はい。それと……」
思わず声を上げたカナに、エフィは静かに頷いた。
「私は暗器のみを使用しますが、この子達は剣も扱います。
そして二人共、もともとの素質に加えて、太刀筋がとても素晴らしいのです。
その連携技だけでも十分なのですが……」
一瞬、双子を見る目が、姉のそれになる。
「イリシャの隠密。リゼアの膨大な魔力。
それらが重なれば――向かうところ、敵無しでしょう」
その瞬間、イリシャとリゼアが揃って目を見開いた。
「……うそ……お姉さまに、褒められた……?」
「え……あの、お姉さまが……? もしかして、偽者……?」
目を丸くする二人に、エフィは苦笑する。
「失礼ね、まったく……あなたたち、何を言っているの」
そのやり取りを見て、カナは目を丸くしたまま微笑む。
「凄いのですね……お二人とも……」
そう言うとカナは微笑みを深め、まっすぐにエフィを見た。
その瞳に、あたたかい光が宿る。
「でも……さすが、エフィさんです。
頼りがいがあって……私にとっても、本当に、素敵なお姉さんで。
私は、精霊祝祭で初めてお会いした時からーーずっと、お慕いしているのです」
その言葉に、エフィは一瞬、言葉を失い――
次いで、頬をほのかに染めた。
「……カナ様……っ? あ、あの、ありがとうございます……身に余る光栄です……」
姉が頬を赤らめる様子に、双子は再び目を丸くする。
穏やかな笑い声が部屋に溶け、あたたかな空気が部屋を満たしていた。




